上 下
1 / 1

ショボい癒やし魔法の使い方

しおりを挟む
 『断罪』 悪役令嬢その末路、いかがお過ごしですか?

誰か助けてくれますか?

反省はしましたか?

嵌められてしまったお馬鹿さんは、貴女ですか?

可哀想ですか?

それとも幸せですか?




馬車は、国境付近を急いで目指す。
誰にも見つからないように…
そして…
この中に泣いている令嬢が一人。

「なんで私が~こんな事にあわなければいけないの~」

シクシク泣く令嬢。
この国の中央学園では、新しい聖女様が現れて、みんなを今まで騙していた罪、我儘を聖女に言った罪、悪役令嬢と勝手に決められ、惨めな断罪が行われた令嬢となった。
突然の事で、あれよあれよで、家から追い出され、王宮の王子様(婚約者)からは、国から出て行けと命令された令嬢。

御者一人、令嬢一人の強行旅。
もうすぐ国境。
哀れな令嬢は、知らない町で家名も取り上げられ、名も変えさせられる。

「ここまでですね、お嬢様」
「嫌よ」
「駄目です、さよならです」

続く押し問答。
御者は令嬢の顔を見ず、服を掴まれたまま鞄を馬車から離れたところに置く。

「さよならです、お嬢様、荷物は道端に、では」
「行かないで~」

突然の猛ダッシュ、振り向きもせずにさようなら。

令嬢一人取り残される。
側から見れば三文芝居、本人は本気。
川の橋あっちとこっちで別の国。
こっちに留まって一番近くの村や町で暮らそうか、悩む令嬢。

「国から出て行けと言っていたわ、でも二度と入るなとは言われてない!」



令嬢、あっちの国に行って少し滞在して戻ってきたらいいのではと気づく。

いざ行かん、左手に鞄右手にも鞄、令嬢、荷物運びなどした事はなかった。

「どうしましょう?」

困った令嬢、こっちの国の警備の詰め所に荷物運びを頼む。
無視される令嬢。

「私は、侯爵家の者よ!」
「お前に家名はない」

まぁ!?そう言われた事を思い出した。御者がずっと『お嬢様』と呼んでくれたから、令嬢のままでいさせてくれた。

ただの小娘になっていたことを知る小娘。
小娘、よたよたと橋を渡る。左手に鞄右手にも鞄、馬車に轢かれないよう端をよたよた歩く。
ゆっくり、ゆっくり歩く小娘。
あっちの国につけば、詰め所に連れて行かれる小娘。
こんな辛いこと生きていて初めてだと思い知る。
泣きながら、現状もつい先日の『断罪』を話しても理解されない。
左手と右手の掌の皮が捲れ、痛い痛いと泣く小娘。

ここまでくると一人ぐらいは、どうしよもなく気の優しいお人好しはいるもので、小娘、新たな世話人を手に入れる。

「お前さん名前は、何て言うんだ」
「あっちの警備の詰め所で、アリスと言いなさいと言われました」

どこからか溜息が聞こえた。

「アリス、何処に行く気か?」
「わかりません」
「うん?」
「あなたのお宅に御厄介になりたいです」

突然の信じられない要求に、大変厄介者を拾ったことに気付くお人好し。

「貴方のお名前は?どちらにお住まい?」
畳み掛ける質問。

「ジョン、カロックの町」

普通に答えてしまうお人好し。
あ、と気づくのも遅い。

「ジョン、では行きましょう。暗くなる前に町につかなければ」

手ぶらで歩くアリス。左手に鞄右手にも鞄なジョン。二人はカロックを目指す。

「ジョン、馬車はないかしら?横を通る馬車に乗せて貰えない?」

歩き疲れたアリス。
ジョンの呆れながら、

「アリス、そんなことばっか言ってないで足を動かせ。荷物ここに置いて先に行くぞ」

少し脅すジョン。しかし、手を貸すことも世話を焼くことも完全に受け入れているお人好し。

「ジョン、歩くの早いわ、でも頑張るわ」

やってもらうことも、甘えることも我儘も当然のように受け入れられていた元令嬢アリス。
しかし、この一週間で状況が変わった。もう誰も(御者とジョンを除く)我儘を受け入れないことを知った。
歩くしかない。ジョンに捨てられたら大変だ。アリス、人を見る目(自分を甘やかす人)今、感度良好。

「ハァー、カロックの町だ、通行料と身分証明を出せ」

「わかったわ」

実は、お人好しの御者は、何日間分の旅費を節約しまくり、帰りの旅費までアリスに餞別だと渡した。なので少しばかり資金がある。

「これからどうするか?」

考えるが、面倒くさいと思うお人好しのジョン。

「早く休みたいわ~」

気の抜けた返事をするアリス。頭を毟りかくジョン。深い溜息をつきながら、

「孤児院が備えてある教会に行くか、…俺の親がやっている潰れそうな食堂に行くか、どっちがいい?ちなみに働いても両方とも金は出ない。働き口が見つかるまでだ」
「食堂で」
「えっなんで?」
「教会嫌いなの~」

一応アリスにも事情はある、悪役令嬢になったワケですから。

寂れた食堂に着いた。

「親父、お袋、頼みがある。こいつなんだけど少し面倒見てほしい。働き口が見つかるまで、置いてやってくれないか?手伝いはさせてくれ、駄賃は無しとは話をつけてある」

「まぁ、何かしら事情があるのだろうが、働けよ」
親父さんが言った。

「息子の部屋があるからね、お名前は?」
お袋さんが言った。

「アリスです」

アリス、ジョン一家ジッと見つめる。甘やかしレーダーが反応する。この一家は、お人好し一家である。

寂れた食堂の理由、食事のツケを許して踏み倒されることもしばしば、ライバル店に意地悪されるのもしばしば。

アリスの感度は最高を示している。

「ふふふ、皆さん是非ともよろしくお願いします」
「そろそろ警備隊の宿舎に戻るわ、休みが潰れたな」
「ジョン、お待ちになって。御礼をさせて下さい。店主茶葉はありますか」

「店主って、おじさん、おばさんでいいよ。アリスちゃん」
とおばさんが言う。
「わしは、アリスと呼ばしてもらうぞ」
ゲラゲラ笑う店主。

おばさんに茶葉を貰い、水の中に手をいれよく洗う。

湯を沸かす。食堂の安い茶葉を両手で少し揉み、何かを呟く、そしていつも通りに茶を淹れる。

「凄い美味しいよアリスちゃん」
「ありがとうございます」
「どれ、いつもの茶葉なのになんか元気が出る」
おじさんも言うが、ジョンの怪訝そうな顔。

「なんだか身体が軽くなったような、でも美味いな。アリスにこんな才能があるとは、だから食堂で働くと言ったんだな」
一口飲んだジョンは、軽快に言う。

アリス、実は、聖なる癒しの魔法を使える。
残念ながら、アリスは、転んで擦りむけても血を止め瘡蓋になる少し前、水にあてたらちょい沁みるかなぁぐらいの癒しの魔法。光ったりしない、あれってという程度の地味さだ。
今の聖女ならヒールとか使えば、光ってすぐ治るだろう。

こんな地味でも、不思議だか子供の時に教会で、魔法が使えるか属性調べで引っかかった。魔法が使える人が、ほぼいない状態で、しかも聖なる魔法だときたもんだから大変なことになった。
家族は大喜び、教会は聖女だとか言い、王族はなんとか取り込もうと王子の婚約者として約束をした。蝶よ花よと育てられ我儘、私が言うことならその通りと何処でも祭り上げられた。
こんなそんなの少女時代、成人の儀を迎えるころ、子供の頃はショボい癒し魔法も魔力が増え、普通の聖女になるのだろうと周りは思ってた。
しかし残念結果はずっと一緒。

「喜んでいただけて嬉しいです」
おばさんが、優しい笑顔で
「ついておいで、部屋に案内するわ」
「おばさん、ごめんなさい、私、掌の皮が剥がれてしまって、鞄が持てないの」と言う。
すでに癒し魔法を使ったので皮は剥がれてない。手に豆が出来て赤くなってる程度だ。
「いいよ、わかったわ」
気軽に言うおばさんの温かさがわかる。流石お人好し、疑わない。ジョンに別れを告げ、部屋に案内される。
簡素なベッドと棚が一つ机と椅子が一つづつ。不満だらけだが

「ありがとうございます」

と言う。もう小娘アリス、嫌われては大変。
さぁどうしたものかと考える。
アリス、お茶を入れるのが上手いわけじゃない。誰もやってくれないから仕方なしでやり始めた。それもこの一週間マナー程度の知識で。

アリス、この強行旅で気付いたことがある。アリスの一回の魔法はショボいし地味。
ただ何回も使える。
それこそ無限に。疲れない。
馬車の中、身体中が痛いので足の先から首や肩まで、泣いていた目元も。泣きながらずっと何回も使い、休憩すれば馬達に何回も使い御者にはお茶を入れた。その時に茶葉やお水に魔法を使ってみた。
そのおかげかはわからないが、全員国境まで無事に着いた。もちろん誰にも言ってない。アリスがショボいが無尽に魔法を使えるというのは、アリスだけしか知らない。今の聖女が、一回のヒールで10本の指のささくれを治すなら、アリスはきっと10回のヒールで治る。
転んだ傷を普通の聖女なら1回でも、アリスなら10回で治る計算。

「でも今の聖女は、一日一回という癒やしの魔法力」


今回、世間知らずだが、裏切りや陥れられたことはわかる。新しく見つかった今の聖女と呼ばれる平民は、邪険な雰囲気が凄い、とアリスは感じた。
だから近づかなかったのに。
よくわからない罪状を並べられた。

そんなことを考えていたが、この部屋はちょっと寒い。お金が無ければ稼げばいいと思う。仕事は嫌いじゃないの、出来なさそうなだけ。

全てイメージだけど。

「今日から店に立ちましょう」

夕方になり、この寂れた食堂前の道も大変賑わっていた。
「おじさん、おばさん、私、この服でお店に立ってもいい?」
「えっ、あんたアリスちゃんかい?」
きつく一本に三つ編みで結んだ髪を解き、ツインテールにした髪は三つ編みのウェーブが残り、顔に書いたそばかすを消し、実家から勝手に拝借したメイド服を身に着けた。

「えらい別嬪さんじゃないか、お姫様のようだよ」
「ありがとう、おばさん」
おじさんは声にもならず、腰を抜かしていた。
「ふふっ」
色々ごめんなさいと心の中でいたずらをしている子の気持ちになっていた。拠点となる場所を確保しなければ、自分を晒してはいけないと、お人好しの御者に強く言われていた。ふらふらしていると盗賊や商人に目をつけられ、売られてしまう可能性が高いと何度も言っていた。

御者のお人好し度は、国一番だと信じている。

そしてこの一家からも似た匂いがする。きっと悪どい事は出来ないし、利用されることもないだろう。だから素顔を晒した。私の見る目を信じている。

寂れた食堂は『うさぎ亭』

「いらっしゃいませ」
知らない美少女の軽やかな声が響く。
「ご注文は?」
客が答える。しかし、アリス
「まだ覚えられないわ」
と首を軽く傾けて困った顔を見せると、客は自ら注文を店主に告げ、出来上がったとおじさんがアリスに声をかければ、客が、自ら取りに行く。
数分で、うさぎ亭、満席。
初顔の小娘を見に来たらしい。
おじさん、おばさん大忙し。
お茶の給仕はアリスの

「仕事ですから」

と微笑んで言われると、お客さん見惚れるわ、傅くわ、気を失いそうになるわ、悶えるわの状態異常。
貴族令嬢万歳、平民にない高貴なオーラが出ているらしい。
まぁ美少女は三日で飽きると言われるが…

アリスのお茶は癒しのお茶、ちょっとだけ体調が良くなる。少し身体が軽くなる。少し穏やかになる。

それは、癖になる。
気の持ちようではなく、癒やしの魔法を使用しているのだから!

一週間後

夕方過ぎのうさぎ亭、扉から続く行列に周りの店も驚く。

連日食材が、切れてしまった店主は、並んでいたお客さんに頭を下げて、今日は食事が出せないと告げると、暴言を浴びせられる。
「お茶を皆様方飲みませんか?」
アリスが微笑めば、
「はい」
と揃った元気な声が響く。

本来ならまだ夕食を食べに来る人がぽつぽついるうさぎ亭。

お人好しなジョン、一週間後の様子を見に夕飯を食べる予定で来てみれば、閉まっているうさぎ亭に大慌て。
「親父、お袋、どうした?」
「…」
「誰?」
「アリスです」
「えっ、お姫様ですか?」
「アリスです」
ガタガタ足を震えて土下座をした。
貴族令嬢オーラを感じてしまったらしい。
「お姫様じゃなくても高貴な御令嬢ですよね。ふふ不敬な言動をしてしまい申し訳ありません」
「ジョン、私は、ただのアリスです。事情がありまして家名も外され、名前を取り上げられた小娘です。頭を上げて。ジョンがこちらに連れて来てくれて嬉しいの」
と微笑めばジョン、真っ赤になって敬礼する。おじさん、おばさん、大笑い。みんなでお茶を飲む。
「先の忙しさの疲れが取れたよ」
おじさん、おばさん、いい人。だってアリスの癒し魔法はほんの少しの効用、腰が軽くなる程度のはずだから。

連日連夜続く大忙しのうさぎ亭。
ライバル店の意地悪は、お客さん達がギャフンとやり返し、ツケなんてアリスの前で出来るわけもなく、ジョンを筆頭に警備隊がお得意様になって、騒動もサッと解決。
いつ来ても千客万来うさぎ亭。
アリスのお茶は美人になるお茶。おばさん1日に何度も飲んでたら、いつのまにかシミが消えて、髪の切れ毛もなくなった。艶も出てきたなんて騒ぐ者現れれば、どこかの御婦人のクチコミが輪になり広がり、またまた大変なうさぎ亭。
おじさんも毎日毎食飲んでたら、腰痛緩和と髪の毛の量が増えたとパン屋や鍛冶屋の殿方衆の陽気なツマミになる話、これまた年中騒がしく話題が、尽きないうさぎ亭。

一年経てば、店構えは大きく、年中大忙しのうさぎ亭。雇われ人も多くなったけど、アリスの仕事はお茶入れ。配膳はお手伝いにお願いして。お茶マスターとして、茶葉を軽く混ぜては、助手が袋詰め。
今後袋で販売いたします。
新たな事業開始です。
うさぎ亭ブレンド茶です。

実家から国境に送ってくれたお人好しの御者も、こっそり様子を見に来て、商人に職業チェンジ。
荷馬車に積むのは、アリスのお茶。
うさぎ亭ブレンド茶、更なる大儲け。
商人、お茶専門店立ち上げ、いつの間にか王族まで御用達店。
流行り病が蔓延し始めるこちらの国。うさぎ亭ブレンドのアリスのお茶を飲んでいる人達は、みんな病が軽かった。

そんな噂のお茶マスター。

病気にもかからない美人なお茶マスター。女性の美の追求は凄いもので、こちらの国の王妃様のお気に入りのお茶マスターとの噂。

噂とは絶大で、更なる儲けのうさぎ亭ブレンド茶。

王族の皆様方、特に王太子様が面白がり、噂の真相を解き明かそうと度々アリスを王宮へ誘う。

「面白いなアリスは!」

何故か面白いお茶マスターというポジションになる。

「アリスは癒やし魔法が使えるのだと!凄いじゃないか!あちらの国では侯爵令嬢!断罪?そんなもの知るか!是非この国を一緒に守って欲しい。盛り立てて欲しい。
一緒に幸せを作って生きたい。結婚して欲しい」

「王子様、私は今は、平民です。癒やし魔法って言ってもたかだか知れてるレベルです」

「こんな沢山の人々を救っているアリスは民の希望だ!」

…ハァ、困ったわ。
トントン拍子に王太子の婚約者になったお茶マスター。
今日もお茶を揉み揉み…

それが王太子の婚約者の仕事。更に人気のうさぎ亭ブレンド茶。


今日は、隣国からもご招待した結婚式。

あら、あの方は私の元婚約者の王子様と今の聖女…

、ご機嫌いかがですか?」

悪役令嬢から平民ヒロインに職業チェンジ。笑って挨拶をした。

二人の驚いた顔。


アリスのお茶を飲みましょう。
国民に大人気のお茶です。
隣国にも輸出してくれ?
流石にそれは…
だって私、国から出て行けと言われた者で、私の物なんてそちらの国に入れられないでしょう?

規則?法?ではない国外追放?
確かに…

一言宜しいですか。

「今の聖女は私より優秀ですから、断罪が行われて私は追放されたのですよね?きっと私より素晴らしいお茶をブレンド出来ますよ」


頑張って…お茶マスターと同じやり方は、普通の聖女は出来ないですって!
あら、茶葉一枚にしか癒やし魔法が使えないですって!?
そんなの知りません。
ショボい癒やし魔法は、地味に無限に茶葉一枚づつに付与されているから。
どの茶葉を買っても効果は一緒。
国民みんなにね、

今日も明日も少しの癒しを与えます。


~fin~
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

mikan
2024.05.11 mikan

お茶マスターで幸せになれて良かった❗

犬野きらり
2024.05.12 犬野きらり

お読みくださり、ありがとうございました。

解除

あなたにおすすめの小説

足が不自由な令嬢、ドジはいらないと捨てられたのであなたの足を貰います

あんみつ豆腐
恋愛
足が不自由であり車いす生活の令嬢アリシアは、婚約者のロドリックに呼ばれたため、頑張って彼の屋敷へ向かった。 だが、待っていたのは婚約破棄というの事実。 アリシアは悲しみのどん底に落ちていく。 そして決意した。 全ての不自由を彼に移す、と。

公爵令嬢の私を捨てておきながら父の元で働きたいとは何事でしょう?

白山さくら
恋愛
「アイリーン、君は1人で生きていけるだろう?僕はステファニーを守る騎士になることにした」浮気相手の発言を真に受けた愚かな婚約者…

【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。 あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。 私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。 アリシア・ブルームの復讐が始まる。

妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。

なんでそんなに婚約者が嫌いなのかと問われた殿下が、婚約者である私にわざわざ理由を聞きに来たんですけど。

下菊みこと
恋愛
侍従くんの一言でさくっと全部解決に向かうお話。 ご都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。

いじめてきたのはあなたの方ですよね?

ララ
恋愛
いや、私はあなたをいじめてなどいませんよ。 何かの間違いではないですか。 むしろいじめてきたのはあなたの方ですよね?

婚約破棄? そもそも君は一体誰だ?

歩芽川ゆい
恋愛
「グラングスト公爵家のフェルメッツァ嬢、あなたとモルビド王子の婚約は、破棄されます!」  コンエネルジーア王国の、王城で主催のデビュタント前の令息・令嬢を集めた舞踏会。  プレデビュタント的な意味合いも持つこの舞踏会には、それぞれの両親も壁際に集まって、子供たちを見守りながら社交をしていた。そんな中で、いきなり会場のど真ん中で大きな女性の声が響き渡った。  思わず会場はシンと静まるし、生演奏を奏でていた弦楽隊も、演奏を続けていいものか迷って極小な音量での演奏になってしまった。  声の主をと見れば、ひとりの令嬢が、モルビド王子と呼ばれた令息と腕を組んで、令嬢にあるまじきことに、向かいの令嬢に指を突き付けて、口を大きく逆三角形に笑みを浮かべていた。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。