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86 学年テストの勝負 其の2
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テスト 当日
「ミランダちゃん、もし一位になったら…私とまたデートしてくれるかい?」
馬車に乗るといきなり言われた。
どうしたのだろう、ふざけた様子もなくて、真面目な表情で…闘志を感じる?
「お義兄様、一位にならなくても、私自身テスト終了の楽しみとして、今週末にはお菓子選びや書店など、またご一緒にお付き合い頂きたいのですが…」
と言えば、
「グッ!?お誘い…ミランダちゃん大丈夫。間違いなく一位になるから、今週末だね。予定はない。あぁ、レストランも予約しよう。お祝いをしなくちゃいけないし…高級レストランがいいな、そうしよう!」
いや、レストランじゃなくて、お菓子選びだから!レオンも一緒にと考えているのだけど。
目的が…
あぁ、まぁ、もう一度行けば良いかしら。お義兄様の好きな時間の過ごし方をしてもらおう。
いつも誰かの為に動いている人だから…
「はい!お義兄様、乾杯をしましょうね」
と言えば、喜んで頷き返してくれる。
「ああ!絶対に。そうだ、年暮れの特別メニューに切り替わるかもしれない時期だし、少し贅沢をしようね」
もう、気分はすっかりレストランに思考が切り替わっているみたいですね、あれこれと計画や考えが漏れ出している。
「そうですね。楽しみですね」
お義兄様が生き生きしてくれるのは、私も凄い嬉しいから!
「だけど、デートの他に時間を作って下さいね。…そう、今回はレオンも誘って、書店やお菓子選びですよ。それも忘れないで下さいね!」
念押しした。
「ああ、もちろんだよ。今日は良い日だな、何か身体中がスッキリとしている。テストを受ける最高に良いコンディションだよ。わかりやすくて良いと言ったアンドル王子の気持ちに同意だな」
やっぱり、レオンとシュワルツ王子みたいな関係なのね。ライバルであり友達…そこに側近も入ってくるのかしら!
「頑張ってくださいね。もちろん私も今日は、少しでも良い順位を目指します!」
馬車から降りると、一つ前には王家の馬車。朝から鉢合わせしてしまった。周りの生徒は歓声を上げ、観客に変身する。今回の勝負は数日の内に一大行事になったみたい…
ハァー、
「アンドル王子様、グレゴリー様、おはようございます」
と言えば、
「お、おはよう。ミランダ嬢…」
と何とも言えないはにかんだ笑顔付きで 、返答が返ってきたと思えば、義兄が私を隠すように前に出て、
「おはようございます、殿下。まさか待ち伏せですか?」
と不穏な言葉を言う。グレゴリー様が大きな溜息を吐いて、
「いい加減にしろ、ディライド、偶々だろう」
「お義兄様、いくらテストで勝負するからと言っても、不適切な発言は駄目です。申し訳ございません、アンドル王子様。義兄の言葉は流して頂ければ幸いです」
と謝罪すれば、
「大丈夫だよ。朝から元気が出たし、今日は良い日だから最高の結果が出るな」
と王子が言って歩き出した。
それを聞いて、更に周りの歓声が大きくなった。
流石、アンドル王子様と言う声が聞こえてくる。
お義兄様の盛大な舌打ちを掻き消してくれたのはありがたいけど、盛り上がりすぎだわ。
「ほら、お義兄様、周りの皆さんは、すっかりアンドル王子様を応援している様子です。これはお義兄様の挑発のような発言のせいでもありますからね。後でしっかり謝罪して下さいね。私も頑張りますから、お義兄様も頑張って」
そう宣言して、テストを受けた。
私だって真剣に一つでも上の順位を目指している。養女としてイズリー家に恥はかかせられないから。
ノートは完璧に写していたし、先生の話もきちんと聞いていた…私は大丈夫と自信をもってテストを受けた。
しかし何故テストていうものは、中々満点を取れるようになっていないのでしょう?
「ミランダでも難しかったなら、私、出来たと思ったけど、怪しいかもしれないわ」
「違うの、リリエット、私もその場では、出来たと思って自信を持って見直ししたのだけど、…今、気づいたことがあったの。私スペルを間違えたわ、絶対に間違えてしまったわ!」
何故その時は気づかないのか、答案用紙を前に出してから気づくなんて。
ショックだわ。
どうせなら思い出したくなかったわ。
これって微妙に引きずってしまう問題よ…
大丈夫よ、たった一問でしょう?と慰め笑ってくれたリリエット。それよりやはり話題は、二学年の教室にみんな思いはいくようで、
「どうなっているかしらね?」
『勝負』とあちらこちらで噂話が聞こえてくる。
どうかなるべく穏やかに終わりを告げてくれればいいな。
*
帰りの馬車の中で、突然お義兄様が、笑い出した。
「フッフフフ、ミランダちゃん、今回のテスト、私は、はっきり言うと完璧だった。あんな自信満々だったアホンドルの悔しそうな顔が今から想像出来るよ。フッフフフ…」
また悪口…
お義兄様の何とも言えない腹黒い笑顔を見てしまったわ。
「お義兄様、何とも言えないお顔をされてますよ。ハァ、お願いですから、アホとか言わないで下さい。不敬ですし、お友達だからと言ってもご本人が聞いたら、悲しくなりまりますから…」
「呆れないでよミランダちゃん、アンドルなんて私のことをナヨディって呼んでいたんだよ。剣の稽古はいつも私ばかり指名して、対戦で負けると訓練所を走らされるから、隠れたり逃げたりしていたら、ナヨディって呼ばれながら探された。絶対今もグレゴリーに言っているに決まっている」
…ナヨディ?アンドル王子様から聞いた事がないけど?
お義兄様の被害妄想じゃないかしら?
「信じてないね、ミランダちゃん。あいつはあぁ見えて、陰口を言うやつだよ。腹黒!信用してはいけないタイプだから」
でもお義兄様、今の言葉は貴方自身に向かいそうですが、ね。
子供の頃に何かあったのね。レオンとシュワルツ王子様みたいな感じかと思ったら、もっと子供ぽい…
「お義兄様、レオンよりも子供ぽいこと言ってますよ。聞かれて恥ずかしいと思いますから、どうか悪口はその辺で控えて下さい」
まだまだ言いたりないような顔をしていたけど、これ以上はよくないと思いを込めてお義兄様を見ると…
対面に座るお義兄様の手が私の顔に伸びてきた…
スッと眼鏡のフレームに手を触れた。
「どうしたのですか?」
「今、どんな顔をしているのかなって思ったんだ。言葉で呆れているのかな、怒っているのかなってわかるけど。急に不安になったよ、ガッカリされたかもって、嫌われたかなと…馬鹿な事を言い出したから。でも、触ったぐらいじゃ動かないね。きちんと両側を持って上にあげないと動かない…本当の顔をみんな知らない。今、私も知らないんだと思ったら…
手を伸ばしてしまった。
ごめんね、自分勝手で…自分でも何でこんな行動をしてしまうんだろう…最近、自分自身がわからないんだ。
これを外したミランダちゃんをみんなが見たら一体どうなってしまうのだろう…
そんなことを考えると、どうにもならない焦りみたいな不安が来る。私は…誰にも…見せたくない…」
どうしたというのだろうか?
先程まで笑って悪口を言っていたのに…
何が、お義兄様を不安にさせたのかもわからない。
「…お義兄様、眼鏡を外すことはありません。たとえ、お友達に言われてもです。ただ…
いえ、今度行くレストランはどこの店なんですか?もう決めているのですか?」
このスーパー眼鏡のおかげで、助かった事がいくつもある。
この幸せな毎日があるのは、眼鏡をしているから。
マリングレー王国の人間だとか、忌み子として気づかたら、私の事をみんなどう見るのだろう?アンドル王子様は、嫌な顔をするのだろうか、リリエットは?もう誰も話し掛けてくれなくなるのだろうか?知りたくないのに、知りたいと思うこの矛盾が、私もわからない。
何故か私を知ってもらいたいという、この気持ちは何?
「ミランダちゃん、もし一位になったら…私とまたデートしてくれるかい?」
馬車に乗るといきなり言われた。
どうしたのだろう、ふざけた様子もなくて、真面目な表情で…闘志を感じる?
「お義兄様、一位にならなくても、私自身テスト終了の楽しみとして、今週末にはお菓子選びや書店など、またご一緒にお付き合い頂きたいのですが…」
と言えば、
「グッ!?お誘い…ミランダちゃん大丈夫。間違いなく一位になるから、今週末だね。予定はない。あぁ、レストランも予約しよう。お祝いをしなくちゃいけないし…高級レストランがいいな、そうしよう!」
いや、レストランじゃなくて、お菓子選びだから!レオンも一緒にと考えているのだけど。
目的が…
あぁ、まぁ、もう一度行けば良いかしら。お義兄様の好きな時間の過ごし方をしてもらおう。
いつも誰かの為に動いている人だから…
「はい!お義兄様、乾杯をしましょうね」
と言えば、喜んで頷き返してくれる。
「ああ!絶対に。そうだ、年暮れの特別メニューに切り替わるかもしれない時期だし、少し贅沢をしようね」
もう、気分はすっかりレストランに思考が切り替わっているみたいですね、あれこれと計画や考えが漏れ出している。
「そうですね。楽しみですね」
お義兄様が生き生きしてくれるのは、私も凄い嬉しいから!
「だけど、デートの他に時間を作って下さいね。…そう、今回はレオンも誘って、書店やお菓子選びですよ。それも忘れないで下さいね!」
念押しした。
「ああ、もちろんだよ。今日は良い日だな、何か身体中がスッキリとしている。テストを受ける最高に良いコンディションだよ。わかりやすくて良いと言ったアンドル王子の気持ちに同意だな」
やっぱり、レオンとシュワルツ王子みたいな関係なのね。ライバルであり友達…そこに側近も入ってくるのかしら!
「頑張ってくださいね。もちろん私も今日は、少しでも良い順位を目指します!」
馬車から降りると、一つ前には王家の馬車。朝から鉢合わせしてしまった。周りの生徒は歓声を上げ、観客に変身する。今回の勝負は数日の内に一大行事になったみたい…
ハァー、
「アンドル王子様、グレゴリー様、おはようございます」
と言えば、
「お、おはよう。ミランダ嬢…」
と何とも言えないはにかんだ笑顔付きで 、返答が返ってきたと思えば、義兄が私を隠すように前に出て、
「おはようございます、殿下。まさか待ち伏せですか?」
と不穏な言葉を言う。グレゴリー様が大きな溜息を吐いて、
「いい加減にしろ、ディライド、偶々だろう」
「お義兄様、いくらテストで勝負するからと言っても、不適切な発言は駄目です。申し訳ございません、アンドル王子様。義兄の言葉は流して頂ければ幸いです」
と謝罪すれば、
「大丈夫だよ。朝から元気が出たし、今日は良い日だから最高の結果が出るな」
と王子が言って歩き出した。
それを聞いて、更に周りの歓声が大きくなった。
流石、アンドル王子様と言う声が聞こえてくる。
お義兄様の盛大な舌打ちを掻き消してくれたのはありがたいけど、盛り上がりすぎだわ。
「ほら、お義兄様、周りの皆さんは、すっかりアンドル王子様を応援している様子です。これはお義兄様の挑発のような発言のせいでもありますからね。後でしっかり謝罪して下さいね。私も頑張りますから、お義兄様も頑張って」
そう宣言して、テストを受けた。
私だって真剣に一つでも上の順位を目指している。養女としてイズリー家に恥はかかせられないから。
ノートは完璧に写していたし、先生の話もきちんと聞いていた…私は大丈夫と自信をもってテストを受けた。
しかし何故テストていうものは、中々満点を取れるようになっていないのでしょう?
「ミランダでも難しかったなら、私、出来たと思ったけど、怪しいかもしれないわ」
「違うの、リリエット、私もその場では、出来たと思って自信を持って見直ししたのだけど、…今、気づいたことがあったの。私スペルを間違えたわ、絶対に間違えてしまったわ!」
何故その時は気づかないのか、答案用紙を前に出してから気づくなんて。
ショックだわ。
どうせなら思い出したくなかったわ。
これって微妙に引きずってしまう問題よ…
大丈夫よ、たった一問でしょう?と慰め笑ってくれたリリエット。それよりやはり話題は、二学年の教室にみんな思いはいくようで、
「どうなっているかしらね?」
『勝負』とあちらこちらで噂話が聞こえてくる。
どうかなるべく穏やかに終わりを告げてくれればいいな。
*
帰りの馬車の中で、突然お義兄様が、笑い出した。
「フッフフフ、ミランダちゃん、今回のテスト、私は、はっきり言うと完璧だった。あんな自信満々だったアホンドルの悔しそうな顔が今から想像出来るよ。フッフフフ…」
また悪口…
お義兄様の何とも言えない腹黒い笑顔を見てしまったわ。
「お義兄様、何とも言えないお顔をされてますよ。ハァ、お願いですから、アホとか言わないで下さい。不敬ですし、お友達だからと言ってもご本人が聞いたら、悲しくなりまりますから…」
「呆れないでよミランダちゃん、アンドルなんて私のことをナヨディって呼んでいたんだよ。剣の稽古はいつも私ばかり指名して、対戦で負けると訓練所を走らされるから、隠れたり逃げたりしていたら、ナヨディって呼ばれながら探された。絶対今もグレゴリーに言っているに決まっている」
…ナヨディ?アンドル王子様から聞いた事がないけど?
お義兄様の被害妄想じゃないかしら?
「信じてないね、ミランダちゃん。あいつはあぁ見えて、陰口を言うやつだよ。腹黒!信用してはいけないタイプだから」
でもお義兄様、今の言葉は貴方自身に向かいそうですが、ね。
子供の頃に何かあったのね。レオンとシュワルツ王子様みたいな感じかと思ったら、もっと子供ぽい…
「お義兄様、レオンよりも子供ぽいこと言ってますよ。聞かれて恥ずかしいと思いますから、どうか悪口はその辺で控えて下さい」
まだまだ言いたりないような顔をしていたけど、これ以上はよくないと思いを込めてお義兄様を見ると…
対面に座るお義兄様の手が私の顔に伸びてきた…
スッと眼鏡のフレームに手を触れた。
「どうしたのですか?」
「今、どんな顔をしているのかなって思ったんだ。言葉で呆れているのかな、怒っているのかなってわかるけど。急に不安になったよ、ガッカリされたかもって、嫌われたかなと…馬鹿な事を言い出したから。でも、触ったぐらいじゃ動かないね。きちんと両側を持って上にあげないと動かない…本当の顔をみんな知らない。今、私も知らないんだと思ったら…
手を伸ばしてしまった。
ごめんね、自分勝手で…自分でも何でこんな行動をしてしまうんだろう…最近、自分自身がわからないんだ。
これを外したミランダちゃんをみんなが見たら一体どうなってしまうのだろう…
そんなことを考えると、どうにもならない焦りみたいな不安が来る。私は…誰にも…見せたくない…」
どうしたというのだろうか?
先程まで笑って悪口を言っていたのに…
何が、お義兄様を不安にさせたのかもわからない。
「…お義兄様、眼鏡を外すことはありません。たとえ、お友達に言われてもです。ただ…
いえ、今度行くレストランはどこの店なんですか?もう決めているのですか?」
このスーパー眼鏡のおかげで、助かった事がいくつもある。
この幸せな毎日があるのは、眼鏡をしているから。
マリングレー王国の人間だとか、忌み子として気づかたら、私の事をみんなどう見るのだろう?アンドル王子様は、嫌な顔をするのだろうか、リリエットは?もう誰も話し掛けてくれなくなるのだろうか?知りたくないのに、知りたいと思うこの矛盾が、私もわからない。
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