76 / 120
76 私と王子様が友達になれた理由
しおりを挟む
みんなの足音が遠ざかっていく…
「大丈夫か、ミランダ嬢顔色が悪い。震えている…
君に見せるべきではなかった。考慮が足りず申し訳なかった。温かいお茶と帰りの馬車を用意する」
と王子様の声がした。
顔を上げて見ると、やっぱり私がよく読んでいた絵本の王子に似ていた。
…あぁ、と目で彼を追うと、ゆっくり息が漏れた。
私は知らない内に息を止めていたみたいだ。
目の前の王子様が、動きや言葉で侍女に指示をしながら動いているのを見て、私の為に…私の事を思ってくれているのだなぁ、私は今一人ぼっちじゃないのだなぁと、昔の思い出とは違う光景にどんどん温かいものを感じてくる。
心配してくれる人がいる、こういう風に見えるのか…。
イズリー家のみんなも、いつも心配してくれる。だけどこんな姿は見たことないなぁ。慌て動いている目の前の人は、大量に温かいブランケットを頼んだり、ハーブティーをあれこれ言ったり、慌て机の角に足をぶつけてあたふたしている…
…
笑ってはいけないのに、
思わず、感情が緩む。あたふた、あたふた、フッフフフ。
何かこれは、嬉しいな。
「…あなた様が、以前言ってましたね、自分の事を心配してくれる人がいると思ったら嬉しかったと。今、私も同じ気持ちになりました…」
「ミランダ嬢?」
「こんなこと言うのは不敬かもしれませんが、お気持ちがわかった気がします。こんなに沢山のお菓子を用意して下さりありがとうございます。出来れば、一緒にお茶を一杯頂きたいです」
と言えば、凄く嬉しそうな笑顔で返された。
私も全然言葉が足りないけど、ただ何となく王子の壁や孤独が、わかった気がした。私とは違うかもしれないけど…
この気持ちは、きっとリリエットにも義兄にも言えないしわからない、ような気がする。
だからなのかな、王子と友達になる事ができたのは…
お互い何となくの同類意識があったのかな。傷や壁の思い出や匂いが…
似ていた?
「どうした?ミランダ嬢、急にニコニコして?」
「だって、このお菓子達が光輝いていますよ!」
『寂しい』を言葉に出せない。『辛い』と言っても変わらない。不自由な世界の中では、『我慢』にもならない。
その中が、当たり前だから…
私を覗きこむアンドル王子様と目が合った。
「!?」
「眼鏡で瞳が見えない…だけど」
と静かに話す。
「私は、ミランダ嬢の彼方の世界には入れないよ。でもこうやって戻ってくるのを待つ事は出来るよ。だから大丈夫だよ、心配してない。ゆっくり話そう」
あぁ、やっぱり。
何となく、どこか知っている気持ちや匂いは、同類としての安心なのかも…
「ありがとうございます、アンドル王子様…」
それから、本の話をしたり、植物の話をしたり、お菓子の話をしたり、話が詰まるとどちらから、ぎこちなく話題を変えたり、まだまだお互い噛み合わなくて、上手な会話にはならないけど、なんかこれはこれで楽しい。
「ふふ、せっかく馬車を用意してくださったのに、結局長居してしまいましたね」
「いや、こちらこそ旅の話があんな告白を受けて気分が悪くなったのに、私に付き合ってくれて、すまなかった」
「それは、誤解です。私が、…お茶にお付き合いしてもらい、こんな美味しいお菓子を頂き、幸せです。先日の団子も美味しかったですし、王宮の料理人は凄いのですね」
「素直に言葉を受け取るよ、ありがとう、ミランダ嬢。その、これからも、また話す機会をくれるかな?」
王子に言われて、来る時決めていた言葉を思いだした。
「あの次回は、義兄を連れて来ますわ。最近機嫌が悪いですけど、本当は最初義兄も王宮の図書館に行くと言ったのです。きちんと話せば誤解も解けるのではと考えまして」
と言えば、今度はアンドル王子様も困った顔をした。
何か変なことをまた言ったかな?
これが、リリエットの言っていたデリケートな友達関係?
私、わからないくせにまた怒らせてしまった?
「確かに、先日もディライドを怒らせた…でも謝罪するつもりはない」
えっ!?ケンカをしたの?
「ああ、誤解しないで欲しい。勿論今でもディライドは私の幼馴染で側近だと思っている。それに競い相手だとも。
だけど、ミランダ嬢とこうやって話す事を拒否されるのは嫌だと思っている。だから謝らない」
「お義兄様は、確かに心配性でして…否定なんて」
あー、心当たりがあります。
これってどうしたらいいの?ごめんなさいリリエット、勝手にまた突っ込んでしまった!
「ミランダ嬢に迷惑をかけるつもりはなくて、でも今、困らせているね。もう少し時間がかかる気がする」
あー、やっぱり私の馬鹿!
「違うんです。二人でお会いすると、その目撃した人に婚約者候補と誤解させるのではないかと、今皆様の関心がその話題なので。みんなで話をした方が、楽しいのではとか考えまして」
「確かにね。複数人のお茶会の方が誤解はされないよね…もう少しだけ、少人数で慣れさせてくれないかな。困らせてごめんね」
と頭を下げられた。
まさか王子にこんなことをさせてしまうなんて!
「すみません。私もまだ友達になったばかりで、お互い知らないですから知りたいです。我儘を言ってしまい申し訳ございません。二人でお話ししましょう」
と言えば、王子様は次はいつにするかと日付を見ながら笑顔で進めていく。
ただ調子良く頷いた。
ラナと二人になると、ぼんやり考えが浮かぶ。マリングレー国の教会が調査しているという事実。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ええ、到着後、お義父様にご報告しなければね」
*
執務室に入る。
「失礼します、お義父様、アンドル王子様と東方諸国の商人の旅の話を聞こうとしたら、突然間者じゃないという告白と謝罪から始まり、マリングレー王国の教会から依頼を受け、ダイアナさんの関わった事件と関係者、神官の事件の目撃者から水色の髪と…私の名前が出てきました。教会は、本当は私を…忌み子を探しているのではないでしょうか…
今後、皆様に迷惑をかけることに」
お義父様は、ゆっくり顔を振り、
「大丈夫だよ。例の神官の事情聴取など見る限り、確かに聖女様はダイアナ嬢を大変気にしている。それは、同じ夢見の力を持っているから…と書いてあったし気にする必要はない。今まで通り過ごし、学校に通って楽しみなさい」
優しい笑顔で言われた。
「私は、本当に気にしなくても良いのですか?」
「ああ、もちろんだよ。クリネット国に忌み子の迷信なんてないと言ったはずだよ。堂々としていい」
「ありがとうございます、お義父様」
会話が終わり、執務室を出るとお義兄様とすれ違う。
「ミランダちゃん、父上に報告かな。あの馬鹿王子が変な事言ったとか?」
と聞かれ否定する。
「違います。みんな私の心配をしてくれて嬉しいのですよ!」
と言えば、
「当たり前じゃないか。ミランダちゃんはイズリー家の一員、家族だよ」
「もうーーー
お義兄様、これ以上私を感激させないで下さい」
と話し終えると、義兄はお義父様の執務室に入って行った。
「大丈夫か、ミランダ嬢顔色が悪い。震えている…
君に見せるべきではなかった。考慮が足りず申し訳なかった。温かいお茶と帰りの馬車を用意する」
と王子様の声がした。
顔を上げて見ると、やっぱり私がよく読んでいた絵本の王子に似ていた。
…あぁ、と目で彼を追うと、ゆっくり息が漏れた。
私は知らない内に息を止めていたみたいだ。
目の前の王子様が、動きや言葉で侍女に指示をしながら動いているのを見て、私の為に…私の事を思ってくれているのだなぁ、私は今一人ぼっちじゃないのだなぁと、昔の思い出とは違う光景にどんどん温かいものを感じてくる。
心配してくれる人がいる、こういう風に見えるのか…。
イズリー家のみんなも、いつも心配してくれる。だけどこんな姿は見たことないなぁ。慌て動いている目の前の人は、大量に温かいブランケットを頼んだり、ハーブティーをあれこれ言ったり、慌て机の角に足をぶつけてあたふたしている…
…
笑ってはいけないのに、
思わず、感情が緩む。あたふた、あたふた、フッフフフ。
何かこれは、嬉しいな。
「…あなた様が、以前言ってましたね、自分の事を心配してくれる人がいると思ったら嬉しかったと。今、私も同じ気持ちになりました…」
「ミランダ嬢?」
「こんなこと言うのは不敬かもしれませんが、お気持ちがわかった気がします。こんなに沢山のお菓子を用意して下さりありがとうございます。出来れば、一緒にお茶を一杯頂きたいです」
と言えば、凄く嬉しそうな笑顔で返された。
私も全然言葉が足りないけど、ただ何となく王子の壁や孤独が、わかった気がした。私とは違うかもしれないけど…
この気持ちは、きっとリリエットにも義兄にも言えないしわからない、ような気がする。
だからなのかな、王子と友達になる事ができたのは…
お互い何となくの同類意識があったのかな。傷や壁の思い出や匂いが…
似ていた?
「どうした?ミランダ嬢、急にニコニコして?」
「だって、このお菓子達が光輝いていますよ!」
『寂しい』を言葉に出せない。『辛い』と言っても変わらない。不自由な世界の中では、『我慢』にもならない。
その中が、当たり前だから…
私を覗きこむアンドル王子様と目が合った。
「!?」
「眼鏡で瞳が見えない…だけど」
と静かに話す。
「私は、ミランダ嬢の彼方の世界には入れないよ。でもこうやって戻ってくるのを待つ事は出来るよ。だから大丈夫だよ、心配してない。ゆっくり話そう」
あぁ、やっぱり。
何となく、どこか知っている気持ちや匂いは、同類としての安心なのかも…
「ありがとうございます、アンドル王子様…」
それから、本の話をしたり、植物の話をしたり、お菓子の話をしたり、話が詰まるとどちらから、ぎこちなく話題を変えたり、まだまだお互い噛み合わなくて、上手な会話にはならないけど、なんかこれはこれで楽しい。
「ふふ、せっかく馬車を用意してくださったのに、結局長居してしまいましたね」
「いや、こちらこそ旅の話があんな告白を受けて気分が悪くなったのに、私に付き合ってくれて、すまなかった」
「それは、誤解です。私が、…お茶にお付き合いしてもらい、こんな美味しいお菓子を頂き、幸せです。先日の団子も美味しかったですし、王宮の料理人は凄いのですね」
「素直に言葉を受け取るよ、ありがとう、ミランダ嬢。その、これからも、また話す機会をくれるかな?」
王子に言われて、来る時決めていた言葉を思いだした。
「あの次回は、義兄を連れて来ますわ。最近機嫌が悪いですけど、本当は最初義兄も王宮の図書館に行くと言ったのです。きちんと話せば誤解も解けるのではと考えまして」
と言えば、今度はアンドル王子様も困った顔をした。
何か変なことをまた言ったかな?
これが、リリエットの言っていたデリケートな友達関係?
私、わからないくせにまた怒らせてしまった?
「確かに、先日もディライドを怒らせた…でも謝罪するつもりはない」
えっ!?ケンカをしたの?
「ああ、誤解しないで欲しい。勿論今でもディライドは私の幼馴染で側近だと思っている。それに競い相手だとも。
だけど、ミランダ嬢とこうやって話す事を拒否されるのは嫌だと思っている。だから謝らない」
「お義兄様は、確かに心配性でして…否定なんて」
あー、心当たりがあります。
これってどうしたらいいの?ごめんなさいリリエット、勝手にまた突っ込んでしまった!
「ミランダ嬢に迷惑をかけるつもりはなくて、でも今、困らせているね。もう少し時間がかかる気がする」
あー、やっぱり私の馬鹿!
「違うんです。二人でお会いすると、その目撃した人に婚約者候補と誤解させるのではないかと、今皆様の関心がその話題なので。みんなで話をした方が、楽しいのではとか考えまして」
「確かにね。複数人のお茶会の方が誤解はされないよね…もう少しだけ、少人数で慣れさせてくれないかな。困らせてごめんね」
と頭を下げられた。
まさか王子にこんなことをさせてしまうなんて!
「すみません。私もまだ友達になったばかりで、お互い知らないですから知りたいです。我儘を言ってしまい申し訳ございません。二人でお話ししましょう」
と言えば、王子様は次はいつにするかと日付を見ながら笑顔で進めていく。
ただ調子良く頷いた。
ラナと二人になると、ぼんやり考えが浮かぶ。マリングレー国の教会が調査しているという事実。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ええ、到着後、お義父様にご報告しなければね」
*
執務室に入る。
「失礼します、お義父様、アンドル王子様と東方諸国の商人の旅の話を聞こうとしたら、突然間者じゃないという告白と謝罪から始まり、マリングレー王国の教会から依頼を受け、ダイアナさんの関わった事件と関係者、神官の事件の目撃者から水色の髪と…私の名前が出てきました。教会は、本当は私を…忌み子を探しているのではないでしょうか…
今後、皆様に迷惑をかけることに」
お義父様は、ゆっくり顔を振り、
「大丈夫だよ。例の神官の事情聴取など見る限り、確かに聖女様はダイアナ嬢を大変気にしている。それは、同じ夢見の力を持っているから…と書いてあったし気にする必要はない。今まで通り過ごし、学校に通って楽しみなさい」
優しい笑顔で言われた。
「私は、本当に気にしなくても良いのですか?」
「ああ、もちろんだよ。クリネット国に忌み子の迷信なんてないと言ったはずだよ。堂々としていい」
「ありがとうございます、お義父様」
会話が終わり、執務室を出るとお義兄様とすれ違う。
「ミランダちゃん、父上に報告かな。あの馬鹿王子が変な事言ったとか?」
と聞かれ否定する。
「違います。みんな私の心配をしてくれて嬉しいのですよ!」
と言えば、
「当たり前じゃないか。ミランダちゃんはイズリー家の一員、家族だよ」
「もうーーー
お義兄様、これ以上私を感激させないで下さい」
と話し終えると、義兄はお義父様の執務室に入って行った。
4
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません
悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました
黒木 楓
恋愛
旧題:悪役令嬢に転生するも魔法を使えることの方が嬉しかったから自由に楽しんでいると、王子に溺愛されました
乙女ゲームの悪役令嬢リリアンに転生していた私は、転生もそうだけどゲームが始まる数年前で子供の姿となっていることに驚いていた。
これから頑張れば悪役令嬢と呼ばれなくなるのかもしれないけど、それよりもイメージすることで体内に宿る魔力を消費して様々なことができる魔法が使えることの方が嬉しい。
もうゲーム通りになるのなら仕方がないと考えた私は、レックス王子から婚約破棄を受けて没落するまで自由に楽しく生きようとしていた。
魔法ばかり使っていると魔力を使い過ぎて何度か倒れてしまい、そのたびにレックス王子が心配して数年後、ようやくヒロインのカレンが登場する。
私は公爵令嬢も今年までかと考えていたのに、レックス殿下はカレンに興味がなさそうで、常に私に構う日々が続いていた。
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
執事が〇〇だなんて聞いてない!
一花八華
恋愛
テンプレ悪役令嬢であるセリーナは、乙女ゲームの舞台から穏便に退場する為、処女を散らそうと決意する。そのお相手に選んだのは能面執事のクラウスで……
ちょっとお馬鹿なお嬢様が、色気だだ漏れな狼執事や、ヤンデレなお義兄様に迫られあわあわするお話。
※ギャグとシリアスとホラーの混じったラブコメです。寸止め。生殺し。
完結感謝。後日続編投稿予定です。
※ちょっとえっちな表現を含みますので、苦手な方はお気をつけ下さい。
表紙は、綾切なお先生にいただきました!
私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。
悪役令嬢に転生したと思ったら悪役令嬢の母親でした~娘は私が責任もって育てて見せます~
平山和人
恋愛
平凡なOLの私は乙女ゲーム『聖と魔と乙女のレガリア』の世界に転生してしまう。
しかも、私が悪役令嬢の母となってしまい、ゲームをめちゃくちゃにする悪役令嬢「エレローラ」が生まれてしまった。
このままでは我が家は破滅だ。私はエレローラをまともに教育することを決心する。
教育方針を巡って夫と対立したり、他の貴族から嫌われたりと辛い日々が続くが、それでも私は母として、頑張ることを諦めない。必ず娘を真っ当な令嬢にしてみせる。これは娘が悪役令嬢になってしまうと知り、奮闘する母親を描いたお話である。
令嬢はうたた寝中
コトイアオイ
恋愛
前世でプレイしていた乙女ゲーム、『花結びのセレナーデ』の世界に生まれた私は気付いた。これがゲームの世界だと。そして、私は悪役令嬢、藤峰織花になっていると。悪役令嬢ってヒロイン虐めるんだよなぁ…めんどくさいなぁ。思えば、織花ってあんなに働いてるのにバッドエンドって可哀想だ。どうせ報われない運命なら、役目を放棄しよう。私は本能に従って…寝ることにした。
睡眠大好きな令嬢が、色々振り回していく物語。
節のタイトルがですます調でないところは第三者の視点になります。
15章くらいで完結させたいという野望のもと頑張ります。
私と離婚して、貴方が王太子のままでいれるとでも?
光子
恋愛
「お前なんかと結婚したことが俺様の人生の最大の汚点だ!」
――それはこちらの台詞ですけど?
グレゴリー国の第一王子であり、現王太子であるアシュレイ殿下。そんなお方が、私の夫。そして私は彼の妻で王太子妃。
アシュレイ殿下の母君……第一王妃様に頼み込まれ、この男と結婚して丁度一年目の結婚記念日。まさかこんな仕打ちを受けるとは思っていませんでした。
「クイナが俺様の子を妊娠したんだ。しかも、男の子だ!グレゴリー王家の跡継ぎを宿したんだ!これでお前は用なしだ!さっさとこの王城から出て行け!」
夫の隣には、見知らぬ若い女の姿。
舐めてんの?誰のおかげで王太子になれたか分かっていないのね。
追い出せるものなら追い出してみれば?
国の頭脳、国を支えている支柱である私を追い出せるものなら――どうぞお好きになさって下さい。
どんな手を使っても……貴方なんかを王太子のままにはいさせませんよ。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる