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59 薬草園に行きました 其の3/ディライド・イズリー4
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帰り道、リリエットが緊急招集をクラスメイトにかけた。
そして授業終わりに今日の出来事をみんなに報告をした。
驚く者、私を慰める者、考える者、怒る者と様々だったけど、みんな
「ダイアナさんに注意をしよう」
意思統一を図った。
それぞれ危機意識が高いわ。
私も見習わないといけない。
私は、頷くばかりでどうしたらいいか思い当たらないわ。
全く意見を出せないし、見ていたと思ったけど、実際肝心な場所を見ていなかった…
リリエットを見習わないといけません。
もちろん、今日のことはラナ達に報告ね。
私も侍女達に対策を聞いて、リリエット達にも教えないと。こういうのは、集団でいることが重要で、情報も共有した方がいいと聞いたから。
「ミランダちゃん、今日は王宮に行ってくる。屋敷についたら、そのまま行くから」
と帰りの馬車で言われ、私が、侍女達にお義兄様の帰りが遅くなることを説明した。たぶんダイアナさんのことを報告に行くのだろう。
彼女、お義兄様のこと仲間と言っていたし、アンドル王子様の側近という意味なのかしら?
でも仲間が、みんなに嫌われる環境は困るものね~、注意するのかな。
*
「ラナ、今日ね、お義兄様と私の間にダイアナさんが、手を伸ばしてきてお義兄様の腕に絡みつこうとしたのを、お義兄様が拒否して、その後、ダイアナさんが体勢を変えた時、リリエットが私を引っ張ってくれて、ダイアナさんが突然地面に座って…
私が制服を引っ張って転ばしたみたいに言われたの。リリエットが距離があるのにそんなはずないと言ったら、勘違いでしたと謝ってきたのだけど。
クラスで、ダイアナさんには、気をつけようと意思統一したのだけど、どう気をつければいいかわからないの?教えてくれる?」
と聞くと、
「わざと転んだふりをしてくるのですか?貴族令嬢同士で?そんなはしたないことするなんて信じられませんが…男爵家の方ですよね?…そんなの見る人がいれば、すぐバレる話ですよ。それをお嬢様のせいにするなんて言語道断です」
本当にその通り。
他の侍女もザワザワし始めた。
「…きっとディライド様の気を引きたくてわざとですよね。ミランダ様を貶めて、そんな演出許せませんよ。私達も包囲網を敷いた方が良いのではないですか?」
と違う侍女がお茶を用意している侍女に話し、ラナが、
「奥様に意見を窺いましょう」
と言い始めた。お義母様まで話が行くの?私達って使用人一同!?
広がりが凄い…いや、早い
侍女達が、私は、あの家に知り合いがいるとか聞こえる。
これは、侍女関連も広がる。
「事が大きくなっていないかしら?」
と聞くと、
「お嬢様!これはとんでもないことですよ。イズリー家の令嬢を罠に嵌めようとしたのですから!」
そうなの?そんな凄い大変なことなの?
その前にマリアーノ様とのいざこざがあって、あちらも罠に嵌められた可能性があるらしいのだけど。
サロンに来るように、お義母様から呼び出された。
キリッとした様子で優雅にお茶を飲む貴婦人と可愛いレオン。
何故レオン?
「ミランダ、聞きました。そのダイアナ・ガトルーシーさんの言った言葉を教えてちょうだい」
「教えて、お義姉様」
二人から食いいるような目線、目力を浴びて、これは面接?イズリー家のテストかもしれない…
ここは流石に忘れましたは、絶対にないわ。
私も同じ過ち、マユリカ王女様の黒鞭事件の二の舞はしないよう、自分の所だけは、覚える努力はしていますから!
「ええっと、まず、ダイアナさんが『ディライド様、ミランダ様が突然私の制服を引っ張って、私、転ばされました』と言われ、リリエットが、『ミランダはこっちにいるのよ。あなたの制服を引っ張れるとしたら、ディライド様のみよ!』と反論して、『えっ?あ、違いました。私、一人でよろけてしまって、引っ張られたと勘違いです。ディライド様は関係ないです』でした。その後、謝って走って去りました」
と言うと、二人は頷き合いながら、
「完全にクロだね」
レオンが言った。クロ?何故色をいうの?
「まぁ、この事は育て方にも問題があるわね、今度のお茶会でみなさんに気をつけた方が良い例として、お話しさせてもらうわ」
「僕も今度、第二王子の茶話会に呼ばれているから、話を紹介するよ」
と明るく話す。紹介?
…そんな大層な話なのかしら?
でも、もう言えない。
話さなきゃ良かったかもなんて…
いずれ今日の薬草園の話もみんなに読んでもらうつもりだったのだから…
きっと、今か先かの違いだけ。
…たぶん。
みんな気をつけましょう、と危機意識を呼びかけるだけよね?
*
ディライドside
王宮に向かっている。
「なんか会いたくない。イライラするし、話したくない」
今までは、ただ面倒な相手で厄介な役職だから、少し距離を開けて付き合う幼馴染み。
「何故アンドルは、ミランダちゃんに好意を持って見るのか…あの目、あの表情が許せない」
私を苛立たせる。
ミランダちゃんの素顔を知らないはずだ。一度見た時、女神とミランダが同一人物とは、間違いなく気づかれていない。
どう調査をしても、接点が無い。ウランダル王国から帰国後に、あいつの言動や表情、纏う空気感、人としての感情…が突然変わっていた。
出発前に、ミランダの名前さえ覚えていない程度の存在だったはずなのに。
人は、いきなりこんなに変わるはずはない。
それもわかりやすいぐらいミランダに対してのみ。
絶対にどこかで接点があり、関わりがあったはず。ミランダが、アンドルを隠し庇い立てをするような誤魔化しが出来る子ではない。
会ってない、話してないと言うなら、間違いなくアンドルとは身分を明かしてない誰かとして、話したに違いない。
あの態度に答えがあるなら、それしかない。
…その証拠が、出て来ない。
*
王宮の執務室の扉をノックする。
「ディライド・イズリーです。失礼します」
「…ディライド。珍しいな、ここに来るなんて」
とこちら見ずにペンを動かしている。心なんか入っていない単なるやり取り。こういう奴だ。職業王子のままだな。
変わってないと思う…なのに!!
「アンドル、いや、サイファ、ダイアナ・ガトルーシーの手綱はどうなっている?」
「今日の事ですか?マリアーノ嬢との争い、マリアーノ嬢がダイアナ嬢に手を出し転ばせた話ですよね。私は、二人を保健室や応接室に連れていき、事情聴取しましたが、薬草園へ馬車で行きたい、それは駄目だという喧嘩ですよ」
とサイファが呆れを表して言った。やっぱりダイアナは、自分の都合の悪いことは報告しないタイプか。
「違う、薬草園で、あの調子に乗った馬鹿令嬢は、うちのミランダに手を出した!」
ガタッ
立ち上がったアンドル。
そういう態度が、私を苛立たせるんだ。
「アンドルが立ち上がる必要はないだろう。関係ないよ」
と言うと、睨むように私を見る。優しい顔されるより、その方がマシだと思うのは何故だろう。だが、心が落ち着かない。
「ディライド、ダイアナ嬢がミランダ嬢に何をした?」
と王子自らの質問か。今までだったら無視だろう。
…イライラする。
「私に腕を絡みつけようとして、断ったら方向転換して、いきなり地面に座り込んだ。ミランダの友人が、機転をきかせて、ミランダのいた位置をずらしたが、言い分がこれだ。
『ディライド様、ミランダ様が突然私の制服を引っ張って、私、転ばされました』
側にいたのが私だと気づいて、
『えっ?あ、違いました。私、一人でよろけてしまって、引っ張られたと勘違いです。ディライド様は関係ないです』
だよ、何がしたいんだ?」
と聞くと顔色を悪くしたサイファ…
「す、すまない、今から事情聴取に行く」
と答えたが、
「調子に乗らせすぎだ。私にウランダル王国の謀略を潰した仲間じゃないですかと言ってきたよ。ミランダちゃんは、危機意識が低いから、ダイアナ嬢が自分を嵌めようとしたことをわかっていない」
「まさかミランダ嬢に手を出すなんて…ディライドと一緒にいたいからか」
サイファも憎々しい言い方になったが、私は頷く。
「アンドルは何かしたか?」
と聞くと、
「まさか、サイファに言われた馬車の中で、いじめられたという報告だけ受けた。私からは、何の言葉もかけてない。ただいつも通りの顔をしていただけだ。もちろんミランダ嬢の話もイズリー家の話もしていない」
あぁ、あのどうとでも取れる顔な。
「すまない、私は、頼まれて、王宮の知り合いの教師を紹介した」
とグレゴリーが話した。こいつも人の世話をするなんて…変わったな。
「で、どうするんだ、対策は?」
「すまない、ディライド、ミランダ嬢の様子はどうなんだ?怖がっているのか?」
止めろ!アンドルがミランダを心配するな。
「関係ないだろう」
言葉が強く出る。
…
「対策を言え!」
何故アンドルは、私を苛立たせることばかり言う!
「わかった、ダイアナ嬢には止めろと忠告する」
「いや、サイファ、助言も手も貸すな。夢見と言われても耳を貸すな。ファンド侯爵家には、私から助言して事を動かす。あと、どんな方法でミランダに会ったか知らないが、近づくな。話すな。顔を見るな」
と言うと、グレゴリーが、突然、腹を抱えて笑った。
「珍しいな、ディライド、何をそんな子供ぽいことを言っている。同じ学校にいるんだ、会うだろう?焦って、動揺して、慌てふためく我儘な子供みたいだぞ」
と笑う。まだ笑う。
腹が立つ。
真っ直ぐに見てくるアンドルの視線が痛くて、視線を逸らした。
…負けた気分になった。
最悪だ。
だからここに来たくなかった。
そして授業終わりに今日の出来事をみんなに報告をした。
驚く者、私を慰める者、考える者、怒る者と様々だったけど、みんな
「ダイアナさんに注意をしよう」
意思統一を図った。
それぞれ危機意識が高いわ。
私も見習わないといけない。
私は、頷くばかりでどうしたらいいか思い当たらないわ。
全く意見を出せないし、見ていたと思ったけど、実際肝心な場所を見ていなかった…
リリエットを見習わないといけません。
もちろん、今日のことはラナ達に報告ね。
私も侍女達に対策を聞いて、リリエット達にも教えないと。こういうのは、集団でいることが重要で、情報も共有した方がいいと聞いたから。
「ミランダちゃん、今日は王宮に行ってくる。屋敷についたら、そのまま行くから」
と帰りの馬車で言われ、私が、侍女達にお義兄様の帰りが遅くなることを説明した。たぶんダイアナさんのことを報告に行くのだろう。
彼女、お義兄様のこと仲間と言っていたし、アンドル王子様の側近という意味なのかしら?
でも仲間が、みんなに嫌われる環境は困るものね~、注意するのかな。
*
「ラナ、今日ね、お義兄様と私の間にダイアナさんが、手を伸ばしてきてお義兄様の腕に絡みつこうとしたのを、お義兄様が拒否して、その後、ダイアナさんが体勢を変えた時、リリエットが私を引っ張ってくれて、ダイアナさんが突然地面に座って…
私が制服を引っ張って転ばしたみたいに言われたの。リリエットが距離があるのにそんなはずないと言ったら、勘違いでしたと謝ってきたのだけど。
クラスで、ダイアナさんには、気をつけようと意思統一したのだけど、どう気をつければいいかわからないの?教えてくれる?」
と聞くと、
「わざと転んだふりをしてくるのですか?貴族令嬢同士で?そんなはしたないことするなんて信じられませんが…男爵家の方ですよね?…そんなの見る人がいれば、すぐバレる話ですよ。それをお嬢様のせいにするなんて言語道断です」
本当にその通り。
他の侍女もザワザワし始めた。
「…きっとディライド様の気を引きたくてわざとですよね。ミランダ様を貶めて、そんな演出許せませんよ。私達も包囲網を敷いた方が良いのではないですか?」
と違う侍女がお茶を用意している侍女に話し、ラナが、
「奥様に意見を窺いましょう」
と言い始めた。お義母様まで話が行くの?私達って使用人一同!?
広がりが凄い…いや、早い
侍女達が、私は、あの家に知り合いがいるとか聞こえる。
これは、侍女関連も広がる。
「事が大きくなっていないかしら?」
と聞くと、
「お嬢様!これはとんでもないことですよ。イズリー家の令嬢を罠に嵌めようとしたのですから!」
そうなの?そんな凄い大変なことなの?
その前にマリアーノ様とのいざこざがあって、あちらも罠に嵌められた可能性があるらしいのだけど。
サロンに来るように、お義母様から呼び出された。
キリッとした様子で優雅にお茶を飲む貴婦人と可愛いレオン。
何故レオン?
「ミランダ、聞きました。そのダイアナ・ガトルーシーさんの言った言葉を教えてちょうだい」
「教えて、お義姉様」
二人から食いいるような目線、目力を浴びて、これは面接?イズリー家のテストかもしれない…
ここは流石に忘れましたは、絶対にないわ。
私も同じ過ち、マユリカ王女様の黒鞭事件の二の舞はしないよう、自分の所だけは、覚える努力はしていますから!
「ええっと、まず、ダイアナさんが『ディライド様、ミランダ様が突然私の制服を引っ張って、私、転ばされました』と言われ、リリエットが、『ミランダはこっちにいるのよ。あなたの制服を引っ張れるとしたら、ディライド様のみよ!』と反論して、『えっ?あ、違いました。私、一人でよろけてしまって、引っ張られたと勘違いです。ディライド様は関係ないです』でした。その後、謝って走って去りました」
と言うと、二人は頷き合いながら、
「完全にクロだね」
レオンが言った。クロ?何故色をいうの?
「まぁ、この事は育て方にも問題があるわね、今度のお茶会でみなさんに気をつけた方が良い例として、お話しさせてもらうわ」
「僕も今度、第二王子の茶話会に呼ばれているから、話を紹介するよ」
と明るく話す。紹介?
…そんな大層な話なのかしら?
でも、もう言えない。
話さなきゃ良かったかもなんて…
いずれ今日の薬草園の話もみんなに読んでもらうつもりだったのだから…
きっと、今か先かの違いだけ。
…たぶん。
みんな気をつけましょう、と危機意識を呼びかけるだけよね?
*
ディライドside
王宮に向かっている。
「なんか会いたくない。イライラするし、話したくない」
今までは、ただ面倒な相手で厄介な役職だから、少し距離を開けて付き合う幼馴染み。
「何故アンドルは、ミランダちゃんに好意を持って見るのか…あの目、あの表情が許せない」
私を苛立たせる。
ミランダちゃんの素顔を知らないはずだ。一度見た時、女神とミランダが同一人物とは、間違いなく気づかれていない。
どう調査をしても、接点が無い。ウランダル王国から帰国後に、あいつの言動や表情、纏う空気感、人としての感情…が突然変わっていた。
出発前に、ミランダの名前さえ覚えていない程度の存在だったはずなのに。
人は、いきなりこんなに変わるはずはない。
それもわかりやすいぐらいミランダに対してのみ。
絶対にどこかで接点があり、関わりがあったはず。ミランダが、アンドルを隠し庇い立てをするような誤魔化しが出来る子ではない。
会ってない、話してないと言うなら、間違いなくアンドルとは身分を明かしてない誰かとして、話したに違いない。
あの態度に答えがあるなら、それしかない。
…その証拠が、出て来ない。
*
王宮の執務室の扉をノックする。
「ディライド・イズリーです。失礼します」
「…ディライド。珍しいな、ここに来るなんて」
とこちら見ずにペンを動かしている。心なんか入っていない単なるやり取り。こういう奴だ。職業王子のままだな。
変わってないと思う…なのに!!
「アンドル、いや、サイファ、ダイアナ・ガトルーシーの手綱はどうなっている?」
「今日の事ですか?マリアーノ嬢との争い、マリアーノ嬢がダイアナ嬢に手を出し転ばせた話ですよね。私は、二人を保健室や応接室に連れていき、事情聴取しましたが、薬草園へ馬車で行きたい、それは駄目だという喧嘩ですよ」
とサイファが呆れを表して言った。やっぱりダイアナは、自分の都合の悪いことは報告しないタイプか。
「違う、薬草園で、あの調子に乗った馬鹿令嬢は、うちのミランダに手を出した!」
ガタッ
立ち上がったアンドル。
そういう態度が、私を苛立たせるんだ。
「アンドルが立ち上がる必要はないだろう。関係ないよ」
と言うと、睨むように私を見る。優しい顔されるより、その方がマシだと思うのは何故だろう。だが、心が落ち着かない。
「ディライド、ダイアナ嬢がミランダ嬢に何をした?」
と王子自らの質問か。今までだったら無視だろう。
…イライラする。
「私に腕を絡みつけようとして、断ったら方向転換して、いきなり地面に座り込んだ。ミランダの友人が、機転をきかせて、ミランダのいた位置をずらしたが、言い分がこれだ。
『ディライド様、ミランダ様が突然私の制服を引っ張って、私、転ばされました』
側にいたのが私だと気づいて、
『えっ?あ、違いました。私、一人でよろけてしまって、引っ張られたと勘違いです。ディライド様は関係ないです』
だよ、何がしたいんだ?」
と聞くと顔色を悪くしたサイファ…
「す、すまない、今から事情聴取に行く」
と答えたが、
「調子に乗らせすぎだ。私にウランダル王国の謀略を潰した仲間じゃないですかと言ってきたよ。ミランダちゃんは、危機意識が低いから、ダイアナ嬢が自分を嵌めようとしたことをわかっていない」
「まさかミランダ嬢に手を出すなんて…ディライドと一緒にいたいからか」
サイファも憎々しい言い方になったが、私は頷く。
「アンドルは何かしたか?」
と聞くと、
「まさか、サイファに言われた馬車の中で、いじめられたという報告だけ受けた。私からは、何の言葉もかけてない。ただいつも通りの顔をしていただけだ。もちろんミランダ嬢の話もイズリー家の話もしていない」
あぁ、あのどうとでも取れる顔な。
「すまない、私は、頼まれて、王宮の知り合いの教師を紹介した」
とグレゴリーが話した。こいつも人の世話をするなんて…変わったな。
「で、どうするんだ、対策は?」
「すまない、ディライド、ミランダ嬢の様子はどうなんだ?怖がっているのか?」
止めろ!アンドルがミランダを心配するな。
「関係ないだろう」
言葉が強く出る。
…
「対策を言え!」
何故アンドルは、私を苛立たせることばかり言う!
「わかった、ダイアナ嬢には止めろと忠告する」
「いや、サイファ、助言も手も貸すな。夢見と言われても耳を貸すな。ファンド侯爵家には、私から助言して事を動かす。あと、どんな方法でミランダに会ったか知らないが、近づくな。話すな。顔を見るな」
と言うと、グレゴリーが、突然、腹を抱えて笑った。
「珍しいな、ディライド、何をそんな子供ぽいことを言っている。同じ学校にいるんだ、会うだろう?焦って、動揺して、慌てふためく我儘な子供みたいだぞ」
と笑う。まだ笑う。
腹が立つ。
真っ直ぐに見てくるアンドルの視線が痛くて、視線を逸らした。
…負けた気分になった。
最悪だ。
だからここに来たくなかった。
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