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11 義兄と話すと大変でした
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「本当にあと二日なのに学校に行くんですか?」
「本当なら月初めに帰れたのに、あの工房の奴らが、アレを押し付けたから遅くなったんだ」
口調が荒れているわ。
確かに重い箱で重量の問題がありそうだけど…
お義兄様の留学話は、マリングレー王国を調査していたと聞いたけど、殆どがマジックアイテムの工房にいたのではないかしら?
とても仲が良いように聞こえる。
「遅いって、五日程度の話では?」
冷静に返したつもりだったのに、前のめりで食いつかれた。
「何を言うのか、五日だよ!全く、私がいなかった半年の間に、誘拐されたミランダちゃんには、わからないよ!五日!この期間に何回アンドル達と話した?」
それを言われると辛辛~。
「えっと、一回挨拶したかな?」
廊下でみんな頭を下げた程度よ。
「私がいたら、0回だったよ、間違いなく!」
それ、もう先輩後輩とか身分とか、色々不敬だから。
この話題はもうしない方がいいね。
あー、私の冒険譚、今、誰が持っているのかしら、早く回収しなきゃいけないわね。あんな事情聴取読まれたら…義兄、噛みつきに行ってしまいそう。
それに、やたらアンドル王子様達と関わりたくないらしいし。
喧嘩でもしたのかな?
「お義兄様は、皆様と仲良しじゃないの、幼少期を共に過ごしたとお義母様が、話されましたし、側近にも誘われているし」
と聞くと、
「心配しているような喧嘩はしていないけど、私は彼らのような野蛮人とは気性が合わない」
野蛮人って、自国の王子様に向かって言ってはいけないでしょう。
絶対に不敬罪で、ドーンだわ。
まぁ、こんな風になった義兄に何を言っても無駄だな。
「では、また帰りに同じ馬車で帰りましょう」
「えっ?お昼ご飯は?」
と当たり前と言う感じで聞かれた。
「学年が違いますから、私はリリエットさんと食べますし…」
「えっ?ミランダちゃんは、久しぶりの学校転入初日の兄を放置するのか…
離れていた兄を!」
ええー!
捲し立てないで下さいな。兄、兄、面倒くさいよ。
それこそ、入学した時の友達と一緒に食べればいいのに。
久しぶりで、会話も弾みそうだし。
スタイルも面構えもあの方達に負けていない義兄だもの、初日から騒がれるに決まっているし…目立つのは必然。
だからこそ、私が入学前に『野蛮』的な何かがあったとか…
ふふっ、目眩くる人気者達の世界…
友情あり、喧嘩あり、肩を組み仲直りしたり、方向性の違いでライバル関係になったり、アレやコレ…
それで顔を合わせ辛いとか…
「また彼方に行っているの~?」
「あ、いや!違います。あちらは彼方ではなくて、私の思い出の記憶の一片、ロマンスの派生話といいますか…
まぁ、私のことは良いんです。
お義兄様は、友達作りなら幼少期から、この国で上手くやってそうだなと思ったのに意外です」
平然と、
「友達、話す相手ならいるけど。損得もあるな。まぁ、今日は、特に嫌な感じがするから一緒にいたいだけかな」
と私を見つめる。
無駄に顔がいいから、見つめ合うのは無理な話です。負けます。
すぐに視線を逸らし、
「正直でよろしい!」
ドキドキするから~例の人気者達にはしなかったけど、義兄に見つめられたら、無理だったわ。
ということは、義兄の方が美青年ということ!?
まかさ、この国一番は義兄の顔にあるのかしら?
ふざけた会話を終え校舎に入る。
目立つこと、この上なし。
あちこちで「あの方は誰?」の視線と会話。
「では後でね」
「ええ、お義兄様」
これで満足ですか?教室に入れば、療養明けにはなかった囲み質問がきて、
「彼は、私の義兄のディライド・イズリーです」
まぁこれで最終的に収まった。
「大変でしたわね、囲まれるなんて」
とリリエットさんが苦笑いをして、私は何度も頷いた。
勢いのある人間怖い。
「ミランダ様、ディライド様がご帰国されたなら、私に一番に報告してくれても良いんじゃないのかしら?」
バサッと羽の扇子を口元に出したマリアーノ様。
何故あなたに?
と言う疑問は顔に出たらしく、取り巻きの一人が、
「マリアーノ様は、いずれ王子妃になるお方。王子の側近の把握は必要不可欠なんですわ」
と。教室内が静かになって、その後ザワついた。
バシッ
羽扇子の風を切る音。
「そろそろ年齢的にその時期でしょう。私自身の将来としての一つの可能性ね。下世話な誤解はしないで欲しいわ、あなたもね」
と取り巻きの一人に注意した。
しかし嬉しそう。随分と機嫌が良さそうです。王子妃を夢見ているのか、まぁ、頑張ってください。
「義兄とお知り合いでしたら、本日は昼食を食堂で取る予定になってますので、本人に色々聞いて下されば、(私は)助かります」
「そうなのですね、もう一つ、婚約者は決まったのかしら?」
何故に?王子妃とかなんとかはどうしたのかな?もしかして、一つの可能性って話。
それだけは、絶対に嫌だわ!!
「私は存じあげません!」
わざわざ私に、そんなことを確認にくるなんて、ご両親に聞きなさいよ。侯爵令嬢として、もう少し厳しい礼儀作法を受けた方が良いわ。
マリアーノ様以外の高位貴族のご令嬢に会ったことなかったわね。養子縁組で半年前だったから、色々とこの国の人間関係が疎いわ。
「聞いてますか?ミランダ様!」
「はい?」
「もうあなたは、その野暮ったい眼鏡でどこを見ているかわからないけど、呆けるのはやめなさい」
とマリアーノ様から注意された。ハァー、
「そうですね」
「あなたは、またそうやって私の助言を流して!失礼ですのよ」
あら、またマリアーノ様が怒ってしまったかしら?何を言っていたのかしら?
「聞いていますわ、マリアーノ様。もうすぐ予鈴ですね、お教室に戻られた方が良いのではないですか?」
「まぁ!急ぎますわよ、みなさん」
御一行を連れて出て行った。その間リリエットさんは、教室の前の方に移動していた。マリアーノ様との交流は避けているみたいで、
「ごめんなさいね、リリエットさん。座っていたあなたに動いてもらって。今日は食堂にマリアーノ様来そうだけど、どうする?」
「ええ、もう戻ってきて良いと言われているのだけど…」
人間関係は複雑だわ。輪に入ったり出たり…知らなかった世界。
面倒という言葉は絶対に言ってはいけないと習ったので、
「大変ね」
と言うと、
「まぁ東部地方は特に派閥主義だから。南部のイズリー伯爵領は海が近くて貿易の街なんでしょう?楽しそうよね~」
確かに何日間か寄ってみて楽しかったわ。商人の街、貿易の街、物が豊かにあったなぁ~。本も沢山~
「そうね、リリエットさんも一度きて欲しいわ。お祭りもあるわよ」
今年の夏季休暇の最大の楽しみ!
「あの、ミランダ様、もしよろしければ私のことは、リリエットとお呼び下さい」
これって、親しい友達になりましょうっていう意味よね!?
「私も、ミランダと呼んで下さい!」
朝から面倒の押し売り状態で、お腹いっぱいでしたが、人生初の快挙!!仲良し友達を獲得しました!!
あぁ、私、今、胸いっぱいです!
「本当なら月初めに帰れたのに、あの工房の奴らが、アレを押し付けたから遅くなったんだ」
口調が荒れているわ。
確かに重い箱で重量の問題がありそうだけど…
お義兄様の留学話は、マリングレー王国を調査していたと聞いたけど、殆どがマジックアイテムの工房にいたのではないかしら?
とても仲が良いように聞こえる。
「遅いって、五日程度の話では?」
冷静に返したつもりだったのに、前のめりで食いつかれた。
「何を言うのか、五日だよ!全く、私がいなかった半年の間に、誘拐されたミランダちゃんには、わからないよ!五日!この期間に何回アンドル達と話した?」
それを言われると辛辛~。
「えっと、一回挨拶したかな?」
廊下でみんな頭を下げた程度よ。
「私がいたら、0回だったよ、間違いなく!」
それ、もう先輩後輩とか身分とか、色々不敬だから。
この話題はもうしない方がいいね。
あー、私の冒険譚、今、誰が持っているのかしら、早く回収しなきゃいけないわね。あんな事情聴取読まれたら…義兄、噛みつきに行ってしまいそう。
それに、やたらアンドル王子様達と関わりたくないらしいし。
喧嘩でもしたのかな?
「お義兄様は、皆様と仲良しじゃないの、幼少期を共に過ごしたとお義母様が、話されましたし、側近にも誘われているし」
と聞くと、
「心配しているような喧嘩はしていないけど、私は彼らのような野蛮人とは気性が合わない」
野蛮人って、自国の王子様に向かって言ってはいけないでしょう。
絶対に不敬罪で、ドーンだわ。
まぁ、こんな風になった義兄に何を言っても無駄だな。
「では、また帰りに同じ馬車で帰りましょう」
「えっ?お昼ご飯は?」
と当たり前と言う感じで聞かれた。
「学年が違いますから、私はリリエットさんと食べますし…」
「えっ?ミランダちゃんは、久しぶりの学校転入初日の兄を放置するのか…
離れていた兄を!」
ええー!
捲し立てないで下さいな。兄、兄、面倒くさいよ。
それこそ、入学した時の友達と一緒に食べればいいのに。
久しぶりで、会話も弾みそうだし。
スタイルも面構えもあの方達に負けていない義兄だもの、初日から騒がれるに決まっているし…目立つのは必然。
だからこそ、私が入学前に『野蛮』的な何かがあったとか…
ふふっ、目眩くる人気者達の世界…
友情あり、喧嘩あり、肩を組み仲直りしたり、方向性の違いでライバル関係になったり、アレやコレ…
それで顔を合わせ辛いとか…
「また彼方に行っているの~?」
「あ、いや!違います。あちらは彼方ではなくて、私の思い出の記憶の一片、ロマンスの派生話といいますか…
まぁ、私のことは良いんです。
お義兄様は、友達作りなら幼少期から、この国で上手くやってそうだなと思ったのに意外です」
平然と、
「友達、話す相手ならいるけど。損得もあるな。まぁ、今日は、特に嫌な感じがするから一緒にいたいだけかな」
と私を見つめる。
無駄に顔がいいから、見つめ合うのは無理な話です。負けます。
すぐに視線を逸らし、
「正直でよろしい!」
ドキドキするから~例の人気者達にはしなかったけど、義兄に見つめられたら、無理だったわ。
ということは、義兄の方が美青年ということ!?
まかさ、この国一番は義兄の顔にあるのかしら?
ふざけた会話を終え校舎に入る。
目立つこと、この上なし。
あちこちで「あの方は誰?」の視線と会話。
「では後でね」
「ええ、お義兄様」
これで満足ですか?教室に入れば、療養明けにはなかった囲み質問がきて、
「彼は、私の義兄のディライド・イズリーです」
まぁこれで最終的に収まった。
「大変でしたわね、囲まれるなんて」
とリリエットさんが苦笑いをして、私は何度も頷いた。
勢いのある人間怖い。
「ミランダ様、ディライド様がご帰国されたなら、私に一番に報告してくれても良いんじゃないのかしら?」
バサッと羽の扇子を口元に出したマリアーノ様。
何故あなたに?
と言う疑問は顔に出たらしく、取り巻きの一人が、
「マリアーノ様は、いずれ王子妃になるお方。王子の側近の把握は必要不可欠なんですわ」
と。教室内が静かになって、その後ザワついた。
バシッ
羽扇子の風を切る音。
「そろそろ年齢的にその時期でしょう。私自身の将来としての一つの可能性ね。下世話な誤解はしないで欲しいわ、あなたもね」
と取り巻きの一人に注意した。
しかし嬉しそう。随分と機嫌が良さそうです。王子妃を夢見ているのか、まぁ、頑張ってください。
「義兄とお知り合いでしたら、本日は昼食を食堂で取る予定になってますので、本人に色々聞いて下されば、(私は)助かります」
「そうなのですね、もう一つ、婚約者は決まったのかしら?」
何故に?王子妃とかなんとかはどうしたのかな?もしかして、一つの可能性って話。
それだけは、絶対に嫌だわ!!
「私は存じあげません!」
わざわざ私に、そんなことを確認にくるなんて、ご両親に聞きなさいよ。侯爵令嬢として、もう少し厳しい礼儀作法を受けた方が良いわ。
マリアーノ様以外の高位貴族のご令嬢に会ったことなかったわね。養子縁組で半年前だったから、色々とこの国の人間関係が疎いわ。
「聞いてますか?ミランダ様!」
「はい?」
「もうあなたは、その野暮ったい眼鏡でどこを見ているかわからないけど、呆けるのはやめなさい」
とマリアーノ様から注意された。ハァー、
「そうですね」
「あなたは、またそうやって私の助言を流して!失礼ですのよ」
あら、またマリアーノ様が怒ってしまったかしら?何を言っていたのかしら?
「聞いていますわ、マリアーノ様。もうすぐ予鈴ですね、お教室に戻られた方が良いのではないですか?」
「まぁ!急ぎますわよ、みなさん」
御一行を連れて出て行った。その間リリエットさんは、教室の前の方に移動していた。マリアーノ様との交流は避けているみたいで、
「ごめんなさいね、リリエットさん。座っていたあなたに動いてもらって。今日は食堂にマリアーノ様来そうだけど、どうする?」
「ええ、もう戻ってきて良いと言われているのだけど…」
人間関係は複雑だわ。輪に入ったり出たり…知らなかった世界。
面倒という言葉は絶対に言ってはいけないと習ったので、
「大変ね」
と言うと、
「まぁ東部地方は特に派閥主義だから。南部のイズリー伯爵領は海が近くて貿易の街なんでしょう?楽しそうよね~」
確かに何日間か寄ってみて楽しかったわ。商人の街、貿易の街、物が豊かにあったなぁ~。本も沢山~
「そうね、リリエットさんも一度きて欲しいわ。お祭りもあるわよ」
今年の夏季休暇の最大の楽しみ!
「あの、ミランダ様、もしよろしければ私のことは、リリエットとお呼び下さい」
これって、親しい友達になりましょうっていう意味よね!?
「私も、ミランダと呼んで下さい!」
朝から面倒の押し売り状態で、お腹いっぱいでしたが、人生初の快挙!!仲良し友達を獲得しました!!
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