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6 学校に行きました
しおりを挟む「久しぶりの学校ね。みなさんお変わりないかしら?」
大きな門を潜り、箱型の大きな建物に入っていく。
あら、やっぱり教室に入れば、注目の的!数週間も突然お休みしましたからね。
私も緊張…この一言目が肝心なはず。
「お、おはようございます」
と、言ってみたものの返事はなし。うーん、中々、友人が出来ない、作り方を教えて先生~。
「あの~、ミランダ様…」
「あら、おはようございます。リリエットさん。もしよろしければ隣同士の誼で欠席していた分の授業の板書を写させていただけないかしら?」
「ええ、もちろんですとも!本当にご迷惑をかけて、それにお怪我まで…私、本当に申し訳なくて…本当に申し訳ございませんでした」
低頭な姿勢で泣き出してしまうのではないかしら、彼女は。私が、いじめているみたいね。
「いえ、いえ、私が勝手に首を突っ込んだことだし、ね。それより、私の入院した場所に、アンドル王子様とグレゴリー様がお見えになったのよ、驚いてしまったわ」
「ごめんなさい、本当に。…アンドル王子様まで…とんでもない事に巻き込んでしまって取り返しがつかないわ、ミランダ様。…
ごめんなさい、でもその話はあまり学校内でしない方が良いわ。今、マリアーノ様がその手のお話過剰に敏感で…」
「あーぁ、そうよね、私、グレゴリー様に全部目的とか話してしまったし、事情聞かれたかしら?」
「ええ、それは…叱られたわ。当事者で話し合えと。マリアーノ様は最後まで関わってないとおっしゃってて。今、私は取り巻きとして、謹慎中なの」
「あら、それは辛いのかしら?それでしたら、謝らないと」
「違うの、感謝しているのミランダ様に。今回のことでスタンルートときちんと話すことが出来たの。私達、小さい頃からの関係でしょう…友達とか、家族とか、そういう人が奪われるって感覚かと思って。怖かったんだと思ったのだけど、もちろん領地の事とか将来のこととか…
でもちょっと違ったの。
友達でもなくて、家族でもなくて…彼の頬に触れた時、すごくドキドキしたの…顔が熱ってしまうほど…
どのくらい二人で、そんな時間を過ごしたかわからないのだけど、気づいたら二人して真っ赤になってて…
ミランダ様、本当に大事な大切な人を気づかせてくれてありがとうございます。私、これから彼を私しか見れなくするぐらい頑張りますわ。それにスタンルートも、あの反応は手ごたえがありますし!
今、ダイアナさんは、グレゴリー様やサイファ様、アンドル王子様の追っかけをやられてますからね、あんな次から次へと渡り歩く、下品な令嬢に負けませんから」
と気合いを込めて話してくれるリリエットさんは、可愛いらしい。
ほんのりピンクの頬がまた愛しいわ。
「見ない間にリリエットさん、物凄く可愛くなりましたね。羨ましいほどのお話。これが俗に言う惚気ですね。ご馳走様です」
「あ、え!?違いますよ。違いますからミランダ様?」
ほほぉ~、先生の言っていた通り、恋をすると一目でわかると言っていた通りだわ。
良いなぁ~、恋。
物語では、冒険譚に恋人や家族としての話を読んでいたけど…今度ロマンス本を買いましょう!
せっかく外の世界にいるんだから、まだまだやりたいことはいっぱいだわ。
私にも早く来ないかな~好きな人。
*
お昼になり、食堂に移動した。
「ミランダ様、その野暮ったい眼鏡止めませんか?私、街で眼鏡をプレゼントしますわ。今回の償いと御礼に!」
「いえ、大丈夫ですよ。それにこの眼鏡、お義兄様からの贈り物で…ここだけの話、これのおかげで顔に傷一つ怪我をしなかったんですから。マジックアイテムなのです。そして転倒しても眼鏡も壊れないという一品ですのよ」
ちょっと自慢。
「ええ、でもミランダ様のその美しい水色の髪に分厚いレンズと太い周りの黒縁が…非常に合わないのが、以前から気になりまして…
多分その眼鏡をやめるだけで、友達がすぐに出来ますでしょうに」
「あら?このスーパー眼鏡でもリリエットさんは友達になって下さったのに、そんな見た目ばかりのことで、友達なんて…」
「それは隣同士のご縁でしょう。やはり見た目は大事ですのよ。最近クラスメイトと最新の色や布、化粧品を調査しておりますの。マリングレー王国のパールの白粉…どうにか手に入れたいのですけど、高価で伝手がないと買えないとかで、残念ですけどそう言ったお話を聞いたり、話したりするのも楽しいですわ」
本当にリリエットさん、楽しそうで良かったわ。
「あら、子爵令嬢ごときが、マリングレー王国のパールの白粉なんて手に入るわけないじゃない!」
マリアーノ様が意地悪そうに言ってきた。相変わらず、真ん中にマリアーノ様、取り巻きさんが横並び…あら、以前の取り巻き二名に新しい方一人追加されたのですね。
取り巻きって補充出来るのね!?
私なんて中々友達が出来ないのに!
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