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24 リディアの惚気話

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こんなはずじゃなかった!
私が募集していたのは、普通で、安心できる、微妙なラインの嫡男、後継者、王族以外の人。

いるよね、あんなにルーナさんの所にはいるのに、何故私の所には真逆が、とんとん拍子で現れた?


ハァーーー

自分にとって、面倒な人って絶対いると思うの。
関わると自分に不幸が舞い込むというか、苦労を背負い込むことになるっていうか、面倒とわかるから離れたい…とか言って

偶然が重なって近づいてしまう。
逃げればいい。拒否すれば良いのに。

私にとって、今、グレリュード様がそう。
かっこよすぎて離れ難い。これ以上のめり込んだら、もう次の人にはいけない。
そんな人が、婚約者になってしまった私の話(惚気)をちょっとだけ。

〰︎

夏季休暇が終わり、新学期が始まれば、何処とは断定不可の範囲で噂が走りました。

そうなると、グレリュード様を陰からお慕いしておりました令嬢達が、どこに隠れて居たのか、といいたくなるような容赦ない矢が、あちこち飛んできましたよ。

次から次に刺客が来るのだから。

「リディア・ガルドニ様、あなた本当にグレリュード様と婚約をされたのですか?」

あぁ、今日も名前も名乗らない上級生達が、私を呼び出しては、同じ質問をする。

「はい(不本意ながら)」

「あなた侯爵家の婿入りを希望していると聞いていたけどグレリュード様は、ガルドニ侯爵家に入るの?」

入っていただけたら嬉しいけど、身分的に我が家は、黙って全て「はい!」の受け入れ体制ですよ。婿になってくれたら、これ以上ないほど我が家は歓喜だけど、相手、未公表の王族だよ。グレリュード様が公表を認めれば即継承権の順位がまわってくるらしい。
現在お母様が別の方と結婚しているし、軽く聞いたところ、それって(母)浮気ってやつじゃなーい?となんか怖くて、深く聞けなかった。グレリュード母が、どちらに本気だったかわからないが…グレリュード様を妊娠中に結婚なさったのだから。
そして、グレリュード様を亡き王弟の子とは公表せずに育て、こっそりキーファ伯爵に養子にしたし。お母様に会うのが、とっても怖いのだけど。(今、我が家は情報を収集している)

ハァ、やっぱり面倒。

「あなた、聞いている?」

「いえ、入りません」

と言えば、

「では、あなたがキーファ伯爵家に嫁入りするの?」

「…多分」

「何なの、その言い方。馬鹿にしているの?わかっていて曖昧な言い方しないで下さい。私は、この想いに区切りをつける為に、今必死にあなたと向き合っているんです。私と彼の方が出会いは早かったんだから」

それはそうでしょう。
私は、新入生でグレリュード様は、三年生、そしてあなたは、何年生の誰さん?

「そういう事は直接本人に伝えた方がいいと思います。私も夏季休暇の最終に決まった婚約の為、わからない事が多いのです。すみません」

何故私が謝るのか、納得いかない。
告白なら、グレリュード様に言いなさいよ!
と、ハァー言いたい、しかし涙目の令嬢に喧嘩するのもなぁー、気乗りしない。

「何よ!サマーパーティーでもパートナーだったじゃない、婚約破棄してすぐ乗り換えたってことでしょう!この阿婆擦れ女ーーー」

と蔑んで廊下を走って行った。
ちょっと笑っていたし。泣いてなかったの?
走るの遅いし。
今から走って追いついて、名前を聞こうか?
どうせ、我が家より爵位が低いから、名乗りもしないくせに…何故私にグレリュード様への片想いの破片(悪口)をぶつけてくるのか謎だ。

ハァーー面倒です。

「大変だね、リディア嬢も。今までは、誰もグレリュードを怖がって、口外しないだけだったのは、共同戦線を張っていたんだね」

とキラキラピカピカと素敵な笑顔で登場するトリスタン王子様。
太陽が背にあって、今日は後光を浴びてます。

「あの、一言よろしいですか?他人の不幸は蜜の味って言いますけど、トリスタン王子様の笑顔光り輝いてますよ。かなり性格悪いですよ」

と言えば、ニコリと笑みを深めて、

「君が悪いんだよ、僕から先に誘ったのに、グレリュードに流れるから。それに君が最初に言ったじゃないか、腹黒ってね。僕は君の言葉に忠実さ」

だから私はヒロインポジションじゃないって。不必要に甘い感じを漂わせないで下さい。

破壊の王ルーナさん、来てーーー

「トリスタンおーじ?あ、やっぱりトリスタンおーじだー。こんな所で何しているんですか?ルーナの夏季休暇の悲劇聞いて下さーい」

「こら、こら、ルーナ嬢、戯れて来ないで。きちんと立って。話は聞くよ」

ふふ、ルーナに私は見えない…そう、彼女は女子生徒が目に入っているのに、何故かいない者として認識する不思議な目を持っているから。
怖い~

「補習ばかりでつまらなかったでーす。良い点数を取ることってそんなに大事ですかー?」

困ってる困ってる、私のことなど気にしないでさっさと行けば、彼女に会わないで済んだのに。
私が呼び出された場所が、特別室(補習部屋)のある廊下だったから。

私は二人を置いて歩き出す。

グレリュード様は、かっこいい。私の自慢だ。あの綺麗な青い目で見つめられたら、逆らえないぐらい、顔が好みだ。
だけど、モテすぎは、嫌だ。
はっきり言えば、私だけが好きでいいわけで、他は、陰だろうが片想いだろうが嫌なものは嫌だ。

ハァー、これは危険だわ。『元』ストーカーが、誘ってる。全てを叩き落としたくなる。
アンネリーネ様やセルジオの気持ちがわかるなんて、再び解りたくなかった。

『全てを知りたい』
私だけが…またこの気持ちが湧いてくるなんて。

「リディア」

「はい!」

「こんな所でどうした?」

「対象外人物達との遭遇ですかね」

「アイツか、無視でいい」

「最近絡んできますよね?前からですか」

「いや、むしろアンネリーネ嬢の事もあって避けてた。ある意味アイツも解放されたとしても、アイツが全部悪い。全てアイツが、ちゃんとすれば良いだけだった」

今日も長文ありがとうございます。
ちょっとした事がたまらなく嬉しくなるのは、これも危険信号。

「どうした?」

少し首を傾けて不思議そうな顔をしてくれた。可愛い。

「あの、もしですよ、私がグレリュード様のことを知りたい、気になって仕方がないって言ったらどうしますか?」

「聞かれたら答える」

「今日何したとか?」

「覚えている範囲で答える」

「明日の予定とか?」

「決まっていたら答える。なかったらないと言う」

くぅーーーう
男らしい。素敵!駄目ーーー

「私が嫉妬したら?」

「誰に?俺は常にリディアの側にいる」

いやいや、そんなわけないでしょうよ!帰る家も学年も違うのに、何故断言するのよ、この人。根拠ないのにー

「私が重い婚約者になったら?」

「あぁ、運動すれば良い」

「違う!体重じゃない愛!」

「愛に軽いや重いがあるのか?」

確かに軽い愛ってどんなの?好きになったら、相手の事が知りたいのは、当たり前だよね。

「難しい…」

「リディア、考えすぎ。知りたかったら、聞け。欲しければ、言え。俺が叶える」

あー、やばいよ。この人、元ストーカーを天然で落としに来たよ。
一体どうしたんだよ~言い方~変わってないか~

私に悪い部分見せて、バランス取らせてよ。突っ込みバランス!

ハァー、

「グレリュード様は、私にとって面倒な人。最近、私を酷く困らせるわ、だから私もあなたを困らせたい」

と笑って言えば、グレリュード様は何がおかしいのか笑って返事をくれた。

「確かにリディアといると、何が起きるかわからないで困ってばかりだ。頭に魚を落とされた人間を俺は、初めて見た」

ダァーカーラ
そういう困らせじゃなくて

「本当に、楽しい」




なら、いいか。
かっこいいは、正義。面倒は、試練?
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