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4 友人達に報告する

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そして、来月から王立学園に入学する友人の令嬢達とお茶会の日。

彼女達にも随分と迷惑をかけたと思う。
色んな令嬢への伝手の協力者として、紹介してもらいながら、情報を集めたり「ウィルソン様は、私の婚約者です」と威嚇したりしていたのだから。
ハァー、消したい。思い出話って、きっと最後まで私を苦しめるよね。
みんなの記憶から私の黒歴史を消せる魔法があればいいのに。


「まず、私から報告があります。この度、ウィルソン様とは婚約解消したわ。みんなには、随分と協力してもらっていたから、一番に報告させてもらったの。まぁ、言いたいことはあるでしょうけども、まずは私の話を先に聞いて欲しいわ。きっかけは、私の誕生日の日よ。ありえない言葉を言われたの。彼は、私のお祝いに来たのだけど、入学したらよろしくお願いしますと言うと、学園では学年が違うから、近づくなから始まったのよ。男爵令嬢のルーナ嬢のことに話を掠らせながら話すと、彼女の事を何も知らないくせに、私の愛する人を責めるなよって言われたのね。ハァーー、
私の愛する人とか言われて、もう無いわーーーって思ったの。あちらから婚約解消を宣言してくれて、私的にはもうスッキリ。両親もいたから、話はトントンと進むかなと思ったら、謝罪したいとか、もう二度とこんな真似はしないとか、手紙が毎日届いて、ウィルソン様もボリシュ侯爵家も婚約解消認めないし、もう苛立ちしかなかったわ。あれよ、侯爵家に婿入りで、爵位目当てだったのではないかしら?」

と友人達に愚痴を言う。
一気に言う。さぁ、噂を広げなさいと両手を広げる。
私の悪いところは言わない。学園に侵入しようとしたとか、怪我をしたとか、転生者なんです、私的な話もだ。

三人は口に扇子やらハンカチを当てて笑っている。声を上げて…
もう目尻に涙まで溜めて…
大袈裟にテーブルまで叩いて…

酷い

が、受け入れましょう。私はもう盲目的じゃないし、冷静な判断力があるから。

「あんなに情熱的に追いかけてたのに、リディ、想いが冷める時は一瞬なのね。勉強になるわ~でも本当にそういう人って見抜けなかったの?」

隣に座ってる本日のホスト、子爵令嬢のマリーダは、茶色の髪を揺らしながら扇子をテーブルに叩いて話す。顔なんて下向きで見えないし。
マナー違反を注意しようかしら!

「今じゃ憎々しいって顔しているわよ。リディ、気をつけて。今、あなためちゃくちゃ酷い表情しているわよ。眉間に皺があるわ」 

もう一方の隣で明るい茶色の髪に、緑色の目を細めて話す、伯爵令嬢のキャロラインも相槌とばかりに、私に指摘する。しっかり笑い涙が出ているわ。

「はあ!?二人とも酷いわ。私は、いち早く友人に、最新の情報をあげようと思って、いわゆる我が身を切ったのに。それに憎々しくなるのは、当然よ。謝罪して、今後注意するから、元のままで何も変わらず婚約者でいましょう?許してくれるよね?って馬鹿にしているのかって話よ(慰謝料入ってくるけど)」

と言えば、真正面に座っていて、今だに笑いが止まらない子爵令嬢のクロエが、

「ハァー、面白いわよ。その落差って。リディの執着失礼、大好きウィルソン様~が、今は優しくしても誤魔化されないって、どんだけの話し合いだったのかって、知りたいような知らないまま、私も政略結婚した方がいいのか。恋をして冷めると敵になるんだと知れただけでも、恋って不思議ね、私には気持ちがわからないわ」

と言う。もう反論はしない。

「本当不思議、あんなに夢中で私達の言葉だって聞いてなかったし」

「本当に恋って物語みたいに情熱的だと感動もあったし、羨ましいとも思ったの。そんな好きな相手と結婚出来るなんて奇跡みたいと思ったし」

結局、三人は私の事を馬鹿だなと思いつつ、羨ましいとも思っていたと白状した。恋愛はしたいが、家のこと将来のことを思えば、自身に傷や汚点はつけれない。そんな中で自由に好きになり、上手くやれるなんて奇跡だと話す。

「私、学園に入ったら次はもっと大人の男性を選ぶわ!」

と宣言すれば、

「ええ!?大人って、学園に居るのは教師ぐらいじゃないの?上級生だってウィルソン様と変わらないでしょう?」

と言われれば、それはなんか嫌だわ。どうも犯罪臭がする。

「では学園外で見つけるわ。お姉様やお兄様のお茶会とかパーティーに招待してね、私の話で笑ったんだから、そのぐらいの見返りを要求するわ」

三人は、顔を見合わせて、

「「「全然懲りてないのね」」」

と言われた。

それからあれやこれやと、ウィルソン様とルーナさんとの新しい情報や、トリスタン殿下はやっぱりルーナさんに親切で、アンネリーネ様の取り巻きが、注意をしたとかそんな話をネタに、色々想像を膨らませながら、あーだこーだ言っていた。

「先日の姉達の茶会で話題に上がったのだけど、昔に亡くなった王弟の話知ってる?一目惚れして、その令嬢を迎えに行く途中で落石に見舞われたんだって」

「だから何よ。残念ねとか不幸ねってこと?」

「違うわよ。リディだけじゃないってこと!恋は盲目で危険ってことよ。だって天候とか周りとか考えずに走り出しちゃうわけでしょう?全くリディは、無茶しそうだから、その話聞いた時、絶対伝えようって思っていたのよ」

ありがとう、マリーダ。無茶はもうしたよ、木に登り落ちた。
そのおかげで、今いるから私の場合は。

「心配ありがとう。でも、もう同じ失敗はしないわ。私的には、微妙なラインが希望。ほどほどが一番」

この年頃の私達にとって、婚約者は争奪戦だ。私は、まだ若い…
なんて言ってれば、あっという間に年を取るし、すぐに良い男、見目的や養育期間の背景に問題なく裕福な男は、売却が早いだろう。
それに私は、嫡男、後継者以外を選ばなきゃいけない。

私が、ニ年前に一目で合意した時にも驚いていたし。
彼女達の中で、私のことをやっぱりな、ほら失敗しただろうと思っているだろう。
ずっと笑顔なのが、腹が立つ。
悔し~~けど仕方がない。ストーカーになるぐらい盲目(恋に恋した)だった私の方が、彼女達より子供だった。

「では、私達みんな頑張って婚約者みつけよう!!」

と言い合った。

しかーし、
私は、抜け駆けしてでも、早く捕まえなければ!
選べるのも華の内、押し迫るのも許せるのは若い芽の内。
我が家の使用人に、フリーの令息探らせようかしら?

「次は、学園で!入学説明会ね。同じクラスになれるといいわね。資料配布と説明会ぐらいだよね。待ち合わせは…時間は…」

そんな事を考えていれば、茶会も終わり、お互い笑顔で別れを言っていた。
私ったら、自分の報告以外聞き流していたわ。

そして正式に
『婚約解消』
が認められた。
最後の証拠、契約書が灰になった。

ハァー、良かった。
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