5 / 13
第5話 外に出られない
しおりを挟む
「その魔法、どうやって出したんだ?」
「えーっと、指になんか、こう、集中すると、なんか靄ってなるから、一気にそれを押し出す感じー。」
男は困惑した。
「できない・・・」
「当然だー!これは私たちだけが使える魔法なんだからー!」
「そんな・・・」
(せっかく異世界に来たのに・・・魔法が使えないなんて。)
「でも、ダンジョンマスターだから、強い魔法使えるはずだよー?」
「そうそう。」
「できないの?」
「そう、なのか?」
(俺の頭よ、魔法の使い方を教えてくれ!)
だが、いくら男が強く願ったところで、魔法を使う感覚というのはその個体ごとに大きく違うのだ。生まれながらに魔法が使える環境にいたわけではない以上、その感覚を理解することは難しい。もし、記憶の上書きがなされていれば、そういった問題は解決されていただろう。まぁ、その場合男の人格は完全に失われていたであろうことは想像に難くないのだが。
「そういえば、なんか出せないの?」
「なんかって、なんだ?」
「スライムとかー。」
(え?出せんの?スライムって。)
「私も見たことないからわかんないけど、ダンジョンマスターはできるって聞いたよー?」
「私も聞いたー。」
「悪いが、できそうもない・・・」
「えー!」
「じゃ、じゃあ、もしかしてこのダンジョンって、私たちとお兄さんだけってこと?」
「そうなる・・・」
「ムリっ!」
「弱すぎるよっ!」
「終わったー!」
(くぅ、悔しい・・・が、実際何もできない。俺の頭よ、素晴らしいアイデアを私にくれ!)
どうやら、このダンジョンはここで詰んだようだ。
ぐぅ
誰かのおなかが鳴ったようだ。
「あれっ?ダンジョンマスターって空腹になるの?」
「そうみたいだね!」
「どうでもいいと思うよ!」
「そんなの自分が一番知ってるでしょ!」
(なんか扱いが悪くなった気がする。それにしても、食べ物なんてどうすればいいんだ?)
ぐぅ
ぐぅ
ぐぅ
「あれっ?なんかお腹から音が鳴ったんだけど、どういうことー?」
「もしかして、これはこれは・・・」
「マスターのバカー!」
「えっ、これは、俺のせい?」
「なんかそういうの共有されてるっぽい・・・」
「知らなかったー。」
「仕方ない、ご飯探すかー。」
「お、おう!」
(なんか食べられるのか、これはありがたい。)
「じゃあマスター、何が食べたい?」
「えっと、今はハンバーガーかな。」
「はんばーがー?それってどこにいるの?」
「どこって、買うとか作るとかしないと。」
「よくわからないけど、案内してー。」
「私たち、ご飯なくても生きてられるからわかんない。」
「そこの辺に漂ってる魔力吸収してー、生きてるのー。」
「なぜかお腹が鳴ったけどー。」
「ハンバーガーは食べられそうにないな・・・」
「さて、地上に出なければいけないわけだが。」
「どうするかな。」
「えーっと、指になんか、こう、集中すると、なんか靄ってなるから、一気にそれを押し出す感じー。」
男は困惑した。
「できない・・・」
「当然だー!これは私たちだけが使える魔法なんだからー!」
「そんな・・・」
(せっかく異世界に来たのに・・・魔法が使えないなんて。)
「でも、ダンジョンマスターだから、強い魔法使えるはずだよー?」
「そうそう。」
「できないの?」
「そう、なのか?」
(俺の頭よ、魔法の使い方を教えてくれ!)
だが、いくら男が強く願ったところで、魔法を使う感覚というのはその個体ごとに大きく違うのだ。生まれながらに魔法が使える環境にいたわけではない以上、その感覚を理解することは難しい。もし、記憶の上書きがなされていれば、そういった問題は解決されていただろう。まぁ、その場合男の人格は完全に失われていたであろうことは想像に難くないのだが。
「そういえば、なんか出せないの?」
「なんかって、なんだ?」
「スライムとかー。」
(え?出せんの?スライムって。)
「私も見たことないからわかんないけど、ダンジョンマスターはできるって聞いたよー?」
「私も聞いたー。」
「悪いが、できそうもない・・・」
「えー!」
「じゃ、じゃあ、もしかしてこのダンジョンって、私たちとお兄さんだけってこと?」
「そうなる・・・」
「ムリっ!」
「弱すぎるよっ!」
「終わったー!」
(くぅ、悔しい・・・が、実際何もできない。俺の頭よ、素晴らしいアイデアを私にくれ!)
どうやら、このダンジョンはここで詰んだようだ。
ぐぅ
誰かのおなかが鳴ったようだ。
「あれっ?ダンジョンマスターって空腹になるの?」
「そうみたいだね!」
「どうでもいいと思うよ!」
「そんなの自分が一番知ってるでしょ!」
(なんか扱いが悪くなった気がする。それにしても、食べ物なんてどうすればいいんだ?)
ぐぅ
ぐぅ
ぐぅ
「あれっ?なんかお腹から音が鳴ったんだけど、どういうことー?」
「もしかして、これはこれは・・・」
「マスターのバカー!」
「えっ、これは、俺のせい?」
「なんかそういうの共有されてるっぽい・・・」
「知らなかったー。」
「仕方ない、ご飯探すかー。」
「お、おう!」
(なんか食べられるのか、これはありがたい。)
「じゃあマスター、何が食べたい?」
「えっと、今はハンバーガーかな。」
「はんばーがー?それってどこにいるの?」
「どこって、買うとか作るとかしないと。」
「よくわからないけど、案内してー。」
「私たち、ご飯なくても生きてられるからわかんない。」
「そこの辺に漂ってる魔力吸収してー、生きてるのー。」
「なぜかお腹が鳴ったけどー。」
「ハンバーガーは食べられそうにないな・・・」
「さて、地上に出なければいけないわけだが。」
「どうするかな。」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。
アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。
【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】
地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。
同じ状況の少女と共に。
そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!?
怯える少女と睨みつける私。
オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。
だったら『勝手にする』から放っておいて!
同時公開
☆カクヨム さん
✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉
タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。
そして番外編もはじめました。
相変わらず不定期です。
皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます🙇💕
これからもよろしくお願いします。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる