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冒険の準備
これからどうする?
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「なんだ?あの2人には仕事の話をしてなかったのか?仲間なんだろ?」
「いや、自分で自分のことを”孤高”なんて言ったらただの頭がおかしい人だからね?」
カガリは小さな声で話す。
「確かにな。で、今回はどんな仕事内容?聖王様直々の依頼だったっけ?」
「記憶の森の調査だよ。詳しい内容は機密だからナイショ」
「ほいほい」
テッサはカウンターに寄っかかり、伝票を見て午前中の売上を確認している。
「旅の目的も一段落ついたことだし、しばらくはあの二人の面倒でも見ようかな」
「なるほどね。そりゃあ楽しそうだ」
ピピピピピピピ
「あ、確認が終わったみたい」
「おう、報酬でたくさん食べてってくれよ」
「はいはい」
軽口を叩くテッサに手を振って螺旋階段を昇る。
「2人共、お待たせ」
カガリは空いてる方の椅子に座った。
「あ、お疲れさま」
カガリにコップを渡す。
「もう食べ終わってたの?追加でなにか頼もうか?」
そう言ってフゥマさんを呼ぼうとするカガリを止める。
「いやいや、充分いただいたから大丈夫大丈夫」
灯花と僕はすでにデザートまで食べ終わっていた。
「そう?じゃ、これからどうするかの話をしようと思うけど……良いかな?」
カガリのコップに水差しの水を注いで、僕と灯花は頷く。
「うん。まず、ユウ君が寝ていた最初の半日の間、灯花ちゃんにこの世界の説明を色々としたんだけど……」
灯花を見ると何故かサムズアップ付きのドヤ顔を見せられた。
「その説明をユウ君にもするから聞いてくれるかな?」
「もちろん。よろしくお願いします」
灯花の額にデコピンをかましてカガリの話を聞く。
「まず、人界では基本的に全ての国で共通の通貨が使われてて……」
カガリはリュックから取り出した袋に手を突っ込んで金色のコインを僕達に見せる。
「これが"カヤノク金貨"と言って、普段使われるもので一番価値の高い貨幣で……」
また袋に再び手を突っ込んでゴソゴソと何かを探す。
「こっちがカヤノク銀貨でこっちが銅貨」
金貨と同じサイズの銀色と緑掛かった鈍色のコインを机の上に置く。
「わかりやすい例で話すなら、ボク達が乗ってきた鬼馬がおよそ金貨50枚の価値だね」
馬の値段だといまいちピンと来ない。
「拙者達の居た世界で言うなら、サラブレッドの相場がだいたい数百万円~数千万円の価値でござるな」
「価格の幅が広いな……。だったら簡単に、金貨50枚でどれくらい暮らしていけるのか教えてくれる?」
現代の日本とこの世界じゃ違いがたくさんあるとは思うけど、ある程度の基準にはなるだろう。
「金貨50枚あれば3、4年は働かずに暮らせるね。慎ましく暮らすならもっと伸びるかな」
「あ~なるほど。なんとなく価値が理解できた気がする」
「そう?良かった。こっちの銀貨は10枚で金貨1枚と同じ、銅貨は100枚で銀貨1枚と同じ価値になるから覚えておいてね」
つまり銅貨は1000枚で金貨1枚になる……と。
「もしかしてその袋に入ってるのは全部お金なの?」
中身が沢山入っているのか、見た目からズッシリとしてる。
「そうだよ。今回の仕事は報酬が大きかったからね」
カガリはことも無げに話す。
「依頼かぁ……。そう言えばカガリの職業ってなんなの?」
まだ職業を聞いてなかったな……と思い、僕はカガリに聞いてみる。
「ボクの仕事?聖光教の枢機卿だよ」
「へえ~。枢機卿なんだね」
”枢機卿”がなんなのか僕は知らないけど、役職で言うと課長とかかな?
「……マジでござるか?」
灯花の顔が引きつってる。
「え、どしたの灯花?」
僕の顔を見て”お前もマジか?”という顔をしている。
「いいでござるかユウ氏。”枢機卿”って言ったらお偉いさん中のお偉いさん!拙者たちの世界と階級が同じならトップから2番目の役職でござる!」
課長どころじゃなかった。
「大袈裟だよ。ボクは枢機卿って言っても10人いるうちの末席だし、今回も使いっ走りみたいなことをさせられてるんだから」
コップの水をグイッと飲み干すと、カガリは手を叩く。
「はい、この話はここまで!これから、2人を元の世界に戻すための"召喚魔法"を使える人を探そうと思う」
カガリはリュックから出した地図を机に広げる。
「今ボクたちが居るのはここ。"記憶の森"に一番近いドラグ・コトラの街"ハディ"」
地図の一点を指差す。
「ドラグ・コトラからロンダバオを南に進んで、途中の"マトゥリア"って言う街を経由して……ヒュペレッドの"トマーユ"を目指す旅になるね」
地図を指で辿りながら地名を言われても、字が読めないから正直よく分からない。
「あれ?魔法を使える人って少ないんじゃなかったっけ?」
確か、そんな事をカガリが言っていたような気がする。
「うん。ただ、国としてヒュペレッドには魔法を使う人が集まりやすい傾向があるからね。一応、情報収集とあわよくば"召喚魔法"を使える人が見つかれば良いなって」
なるほど。魔法使いが多い場所なら確率的に見つけやすくなるって事か。
「長旅になるけど、この時間をたっぷり使って二人にはお勉強をしてもらうから」
"勉強"と聞いて僕は頭を掻く。
「まさかこんな所まで来て勉強をするとは思わなかったな」
「しかし、元の世界に戻ったらユウ氏は超能力商法で大儲けできそうでござるよ?」
今のところ、僕の中での"聖法"は派手さの無い魔法なんだけどな。
「今日と明日は今までの疲れを取る為にもゆっくり休もう。2人を宿に送ったら、ボクは市場で必要な物資を買ってくるから」
ここで僕の中に疑問が浮かぶ。
「そう言えば、カガリの家ってどこにあるの?カガリも宿に泊まるんだよね?」
これまでの話だとハディには無さそうだけど。
「うん。そもそも、ボクは聖王国出身だし……あっ、言うの忘れてた。金色の髪だと聖王国民って思われるから、灯花ちゃんは気をつけてね」
灯花が不思議そうな顔をする。
「カガリ氏も金髪でござるが……。拙者は何に気をつければ良いのでござろうか?」
「この街には居ないと思うけど、人によっては聖王国の人間を良く思わない人も居るから一応ね」
特に灯花ちゃんは女の子だから、と言いながらカガリは机の上に出していた物をリュックに戻し始める。
「あのさ、カガリ」
「どうしたの?」
「そんなに重要な事じゃないんだけど、ずっと言いそびれてたから……。僕のことは"ユウ"って呼んでくれる?色々と世話にもなってるし、カガリが良ければだけど」
「拙者も"灯花"で良いでござるよ」
意外だったのか、それを聞いてカガリは少し笑った。
「わかった。ユウ、……灯花、これからもよろしくね!」
気のせいか"灯花"の部分で少し詰まったような気がする。
「それじゃ行こう。今まで手拭いや水浴びで洗ってたとは言え、早くお風呂に入りたいでしょ」
誤魔化すように、少し強引に話題を変えるカガリ。
お風呂……。確かに久しぶりだけど、何か違和感というか引っかかるものがある。
「2人は水浴びできたんだろうけどさ、僕の体は誰が拭いたの?」
カガリが灯花を見る。
「も、もちろん、カガリ氏が拭いていたに決まってるでござるよー!年頃の乙女である拙者が、いくらなんでもユウ氏が意識を失っているからってそんなふしだらな真似を……」
急にベラベラと喋り出す灯花。非常に怪しい。
「カガリ、灯花の言ってることは本当?」
「ボクが拭こうとしたんたけど、灯花は"拙者に任せろー!"って言い出してムグッ」
「カガリ氏ぃ!せ、拙者、早くお風呂に入りたいでござるなぁ!そうと決まれば宿屋に出発進行でござるぅ!」
カガリの口を抑えて小脇に抱え、灯花は螺旋階段へ早足で歩いて行く。
「おい!待てって!」
置き去りにされたカガリのリュックを担いで後を追う。
「重っ!!」
予想以上の重さに少しよろめきつつも、なんとか体勢を立て直す。
「マジかよ灯花……。いつか本気でシメよう」
「いや、自分で自分のことを”孤高”なんて言ったらただの頭がおかしい人だからね?」
カガリは小さな声で話す。
「確かにな。で、今回はどんな仕事内容?聖王様直々の依頼だったっけ?」
「記憶の森の調査だよ。詳しい内容は機密だからナイショ」
「ほいほい」
テッサはカウンターに寄っかかり、伝票を見て午前中の売上を確認している。
「旅の目的も一段落ついたことだし、しばらくはあの二人の面倒でも見ようかな」
「なるほどね。そりゃあ楽しそうだ」
ピピピピピピピ
「あ、確認が終わったみたい」
「おう、報酬でたくさん食べてってくれよ」
「はいはい」
軽口を叩くテッサに手を振って螺旋階段を昇る。
「2人共、お待たせ」
カガリは空いてる方の椅子に座った。
「あ、お疲れさま」
カガリにコップを渡す。
「もう食べ終わってたの?追加でなにか頼もうか?」
そう言ってフゥマさんを呼ぼうとするカガリを止める。
「いやいや、充分いただいたから大丈夫大丈夫」
灯花と僕はすでにデザートまで食べ終わっていた。
「そう?じゃ、これからどうするかの話をしようと思うけど……良いかな?」
カガリのコップに水差しの水を注いで、僕と灯花は頷く。
「うん。まず、ユウ君が寝ていた最初の半日の間、灯花ちゃんにこの世界の説明を色々としたんだけど……」
灯花を見ると何故かサムズアップ付きのドヤ顔を見せられた。
「その説明をユウ君にもするから聞いてくれるかな?」
「もちろん。よろしくお願いします」
灯花の額にデコピンをかましてカガリの話を聞く。
「まず、人界では基本的に全ての国で共通の通貨が使われてて……」
カガリはリュックから取り出した袋に手を突っ込んで金色のコインを僕達に見せる。
「これが"カヤノク金貨"と言って、普段使われるもので一番価値の高い貨幣で……」
また袋に再び手を突っ込んでゴソゴソと何かを探す。
「こっちがカヤノク銀貨でこっちが銅貨」
金貨と同じサイズの銀色と緑掛かった鈍色のコインを机の上に置く。
「わかりやすい例で話すなら、ボク達が乗ってきた鬼馬がおよそ金貨50枚の価値だね」
馬の値段だといまいちピンと来ない。
「拙者達の居た世界で言うなら、サラブレッドの相場がだいたい数百万円~数千万円の価値でござるな」
「価格の幅が広いな……。だったら簡単に、金貨50枚でどれくらい暮らしていけるのか教えてくれる?」
現代の日本とこの世界じゃ違いがたくさんあるとは思うけど、ある程度の基準にはなるだろう。
「金貨50枚あれば3、4年は働かずに暮らせるね。慎ましく暮らすならもっと伸びるかな」
「あ~なるほど。なんとなく価値が理解できた気がする」
「そう?良かった。こっちの銀貨は10枚で金貨1枚と同じ、銅貨は100枚で銀貨1枚と同じ価値になるから覚えておいてね」
つまり銅貨は1000枚で金貨1枚になる……と。
「もしかしてその袋に入ってるのは全部お金なの?」
中身が沢山入っているのか、見た目からズッシリとしてる。
「そうだよ。今回の仕事は報酬が大きかったからね」
カガリはことも無げに話す。
「依頼かぁ……。そう言えばカガリの職業ってなんなの?」
まだ職業を聞いてなかったな……と思い、僕はカガリに聞いてみる。
「ボクの仕事?聖光教の枢機卿だよ」
「へえ~。枢機卿なんだね」
”枢機卿”がなんなのか僕は知らないけど、役職で言うと課長とかかな?
「……マジでござるか?」
灯花の顔が引きつってる。
「え、どしたの灯花?」
僕の顔を見て”お前もマジか?”という顔をしている。
「いいでござるかユウ氏。”枢機卿”って言ったらお偉いさん中のお偉いさん!拙者たちの世界と階級が同じならトップから2番目の役職でござる!」
課長どころじゃなかった。
「大袈裟だよ。ボクは枢機卿って言っても10人いるうちの末席だし、今回も使いっ走りみたいなことをさせられてるんだから」
コップの水をグイッと飲み干すと、カガリは手を叩く。
「はい、この話はここまで!これから、2人を元の世界に戻すための"召喚魔法"を使える人を探そうと思う」
カガリはリュックから出した地図を机に広げる。
「今ボクたちが居るのはここ。"記憶の森"に一番近いドラグ・コトラの街"ハディ"」
地図の一点を指差す。
「ドラグ・コトラからロンダバオを南に進んで、途中の"マトゥリア"って言う街を経由して……ヒュペレッドの"トマーユ"を目指す旅になるね」
地図を指で辿りながら地名を言われても、字が読めないから正直よく分からない。
「あれ?魔法を使える人って少ないんじゃなかったっけ?」
確か、そんな事をカガリが言っていたような気がする。
「うん。ただ、国としてヒュペレッドには魔法を使う人が集まりやすい傾向があるからね。一応、情報収集とあわよくば"召喚魔法"を使える人が見つかれば良いなって」
なるほど。魔法使いが多い場所なら確率的に見つけやすくなるって事か。
「長旅になるけど、この時間をたっぷり使って二人にはお勉強をしてもらうから」
"勉強"と聞いて僕は頭を掻く。
「まさかこんな所まで来て勉強をするとは思わなかったな」
「しかし、元の世界に戻ったらユウ氏は超能力商法で大儲けできそうでござるよ?」
今のところ、僕の中での"聖法"は派手さの無い魔法なんだけどな。
「今日と明日は今までの疲れを取る為にもゆっくり休もう。2人を宿に送ったら、ボクは市場で必要な物資を買ってくるから」
ここで僕の中に疑問が浮かぶ。
「そう言えば、カガリの家ってどこにあるの?カガリも宿に泊まるんだよね?」
これまでの話だとハディには無さそうだけど。
「うん。そもそも、ボクは聖王国出身だし……あっ、言うの忘れてた。金色の髪だと聖王国民って思われるから、灯花ちゃんは気をつけてね」
灯花が不思議そうな顔をする。
「カガリ氏も金髪でござるが……。拙者は何に気をつければ良いのでござろうか?」
「この街には居ないと思うけど、人によっては聖王国の人間を良く思わない人も居るから一応ね」
特に灯花ちゃんは女の子だから、と言いながらカガリは机の上に出していた物をリュックに戻し始める。
「あのさ、カガリ」
「どうしたの?」
「そんなに重要な事じゃないんだけど、ずっと言いそびれてたから……。僕のことは"ユウ"って呼んでくれる?色々と世話にもなってるし、カガリが良ければだけど」
「拙者も"灯花"で良いでござるよ」
意外だったのか、それを聞いてカガリは少し笑った。
「わかった。ユウ、……灯花、これからもよろしくね!」
気のせいか"灯花"の部分で少し詰まったような気がする。
「それじゃ行こう。今まで手拭いや水浴びで洗ってたとは言え、早くお風呂に入りたいでしょ」
誤魔化すように、少し強引に話題を変えるカガリ。
お風呂……。確かに久しぶりだけど、何か違和感というか引っかかるものがある。
「2人は水浴びできたんだろうけどさ、僕の体は誰が拭いたの?」
カガリが灯花を見る。
「も、もちろん、カガリ氏が拭いていたに決まってるでござるよー!年頃の乙女である拙者が、いくらなんでもユウ氏が意識を失っているからってそんなふしだらな真似を……」
急にベラベラと喋り出す灯花。非常に怪しい。
「カガリ、灯花の言ってることは本当?」
「ボクが拭こうとしたんたけど、灯花は"拙者に任せろー!"って言い出してムグッ」
「カガリ氏ぃ!せ、拙者、早くお風呂に入りたいでござるなぁ!そうと決まれば宿屋に出発進行でござるぅ!」
カガリの口を抑えて小脇に抱え、灯花は螺旋階段へ早足で歩いて行く。
「おい!待てって!」
置き去りにされたカガリのリュックを担いで後を追う。
「重っ!!」
予想以上の重さに少しよろめきつつも、なんとか体勢を立て直す。
「マジかよ灯花……。いつか本気でシメよう」
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