7 / 11
本編
忍び寄る影と目撃者
しおりを挟む確かに悲しい気持ちもある。
だけど、俺は怒っている。めずらしく俺はイザリくんに対して怒っているのだ。
泣いているのを誰にも見られたくなくて、夜、人気がなく街灯も一つしかない薄暗い小さな公園を探してそのサビれたベンチに腰掛ける。なぜこんなところに人気のない公園があると知っているか。それはこの間イザリくんに“お仕置き”と称してペットプレイを強要され、犬ミミと、犬の躾用の口輪、尻尾のついたバイブをケツにぶち込まれ、両手両足を折りたたんで肘と膝にプロテクターを装着された状態で散歩させられたのがこの忌まわしい公園だからだ。
俺はイザリくんに対して怒っている。しかしこんなときでもイザリくんのことを思い出してしまった自分にも腹立つ。
もう全て忘れたい。何もかも忘れたい。そう思えば思う程に涙は後から後から溢れてきて、目をぬぐっていた袖はびしょ濡れになる。
そんな時だった。知らないおじさんに声をかけられたのは。
「ねぇ、キミ。この前、この公園の木陰で彼氏とセックスしてた子だよね?」
突如としてかけられた声は俺の全く予想だにしないセリフだった。
一気に頭が真っ白になる。
まさかというか、やはりというか。
以前の“お仕置き”の際のことだ。散歩の後、ペットプレイのフィニッシュとして公園の植えこみで青姦されたのだ。だから『やめて』って言ったのに!あの鬼畜ド変態め!
どうやらこのおじさんはその光景をばっちりとその眼に刻んでいたらしい。
「そんなえっちな子なら、どうかな?おじさんとも1回ヤろうよ。お金に困ってるんなら本番ありで援助するし。」
おじさんはそう言って俺の腕を強い力で掴んで木々が植わっている暗い方角へ引っ張っていく。
「ひ、人違いじゃないですか?やめてください!ちょッ…!待って」
俺はその手を振り払い、逆方向に走り出す。
が、おじさんも俺に走りで勝る。俺はすぐに追い付かれ、またしても腕を捕えらえてしまう。
「抵抗なんかしちゃっていいの?あの時の映像、あるよ。もし拒むって言うんならネットに拡散しちゃおうかな」
全裸の俺がばっちり映ったスマホの画面を見せながらそんなことを言われれば、俺に抵抗なんかできるはずもなかった。自分でも顔から血の気が引くのが分かる。もし拡散なんかされてみろ、大学にも行けなくなるだろうし、就職にだってマイナスに響くだろうし、うかうか外にだって出られなくなるかもしれない。これからのこと、将来のことを考えて一気に足から力が抜けた。
そうして俺は街灯の光が届かない所に連れて行かれ、おじさんにズボンとパンツを一気にずり下げられる。
そうしておじさんの太い指が容赦なく俺のケツに突っ込まれる。持参したであろうローションをつけてくちゅくちゅと卑猥な音を出しながら、無理矢理アナルを慣らされる。怖い。怖すぎて目の前の木に必死にしがみ付く。
「怖がってるの?意外とウブなんだね。かわいい。」
ガクガクと震える俺の耳元で、後ろから俺にかぶさるようにしておじさんが囁く。
よく知ったイザリくんでさえその肉棒を受け入れることに心理的なハードルがあったのに、ましてや知らないおじさんにケツにチンコを挿入されるのなんて、恐怖でしかない。しかし、そんな俺の気持ちなんかそっちのけでおじさんはギンギンに勃ち上がったちんこを俺のケツに無理矢理ぶち込んできた。
メリメリメリ、と無遠慮に侵入してくるおじさんの太くて短いソレ。「キツマン最高。」と独り言をこぼすおじさんを無視し、『早く終われ、早く終われ。』と呪文を唱える。
知らない奴に犯されている恐怖と不快感に、泣き腫らした目から再び涙が零れる。
「ひっ!?」
「ふふ、しょっぱいね。」
なんとおじさんはねっとりと俺の目尻に舌を這わせその涙をすくい取り言う、「そろそろペースを上げようか。」と。
俺が制止する間もなくやみくもに激しく腰を振ってくる。その無茶苦茶で独りよがりのピストン運動に吐き気がするのに、俺の浅ましい体は反応を示し、中心は天へ向けて頭をもたげている。
それを目ざとく見つけたおじさんは、あろうことか躊躇いなく力任せに掴んでしごき始めた。
「良かった君もちゃんと感じてくれているんだね。」
「ぁ、んっ…ひっ、やめ、抜い…てぇ!ひぐっ、ぬ、っぁ、ぐす、…ぬいて、ぇ!
そして俺は一切の抵抗もできずに、その凌辱をただ受け入れるしかなかった。
知らない奴に組み敷かれ、バックで強姦されるしかない自分が、悔しくて悔しくて、たくさん涙が出て、そして俺は今一番会いたくなかったはずの人の名前を呼んでいた。
「たす、けてっ、…イザリくん!う゛、ぅぇぇ、いざ、りくんっ…!」
すると突然ドカッという大きな音がして、後ろで腰を振っていたおじさんの重くのしかかって来ていた体が吹っ飛んで行った。何が起こったのかも分からず呆然と伸びたおじさんを見やり立ち尽くしていると、聞き慣れた声が頭上から降ってきた。
「は~。あのさあキミ、こんな誰でもに発情するようなはしたないヤツだったわけぇ?」
イザリくんだ。本物だ。どうやらイザリくんがおじさんの股間を思い切り蹴り上げ、さらに頭部を蹴り倒して気絶させたらしい。一仕事終えた彼は不機嫌そうに呟く。
「この淫乱」
そして、イザリくんはさっきまでおじさんのチンポがぶち込まれていた俺のナカに、自分のそれを代わりに挿入した。
「ご、ごめんなさい!ごめん…なさい、ひっ、や、やめて、」
「は?他人の粗チンで喜んどいて、彼氏の立派なコレは嫌ってか?贅沢なヤツ。」
イザリくんから与えられる刺激は今の今まで知らないおじさんから与えられていたものとは全く質が異なっていた。さっきまではこの行為に対してさっさと終われとさえ思っていたのに、今じゃなぜかケツがきゅんきゅん疼く。なんで?先ほど知らないおじさんによってイカされたばかりなのに、イザリくんのチンポが挿入されたとたん、俺の中心は与えられる快楽を期待して再び頭をもたげる。
『どうしてイザリくんがここに?』とか、『どうやって探し当てたのか?』とか、疑問は尽きない。しかし俺自身はそれどころではなく、急激な自分の身体の変化についていけずにあたふたしていた。なんでイザリくん相手だとこうも体のいたるところがジンジンと甘く疼くのだろう。
「なんでこんな状況んなったか、洗いざらい吐けよ。吐くまで終わらんで。」
ついでに言うとなぜかお怒りモードのイザリくん。
どういうこと?!こちとら被害者なんですけど?!鬼畜過ぎんか?!せめて心配してくれたって良くない?!
当惑する俺にイザリくんはいつものようにセックスを開始する。いつものように。そうつまり、いつも通り無遠慮に、一切の容赦なく。
本来であれば一から十まで説明するのに20分もあれば済む話なのだ。それなのに…―。
勝手知ったる俺のナカ、イイところを完全に熟知したイザリくんのチンポにどつき回され、前を握って射精を我慢させられ、ひぃひぃ泣きながら途切れ途切れに俺が今までのことを説明し終わったときには、空は既に白んでいたのだった。
1
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
咳が苦しくておしっこが言えなかった同居人
こじらせた処女
BL
過労が祟った菖(あやめ)は、風邪をひいてしまった。症状の中で咳が最もひどく、夜も寝苦しくて起きてしまうほど。
それなのに、元々がリモートワークだったこともあってか、休むことはせず、ベッドの上でパソコンを叩いていた。それに怒った同居人の楓(かえで)はその日一日有給を取り、菖を監視する。咳が止まらない菖にホットレモンを作ったり、背中をさすったりと献身的な世話のお陰で一度長い眠りにつくことができた。
しかし、1時間ほどで目を覚ましてしまう。それは水分をたくさんとったことによる尿意なのだが、咳のせいでなかなか言うことが出来ず、限界に近づいていき…?
反抗期真っ只中のヤンキー中学生君が、トイレのない課外授業でお漏らしするよ
こじらせた処女
BL
3時間目のホームルームが学校外だということを聞いていなかった矢場健。2時間目の数学の延長で休み時間も爆睡をかまし、終わり側担任の斉藤に叩き起こされる形で公園に連れてこられてしまう。トイレに行きたかった(それもかなり)彼は、バックれるフリをして案内板に行き、トイレの場所を探すも、見つからず…?
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる