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地獄に囚われた心
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三十二
『ジェイソンVSセガール』と『フレディVSセガール』そして『エイリアンVSセガール』を立て続けに観ながら俺は考えた。
それから『プレデターVSセガール』に手を伸ばし、結局は『貞子VSセガール』まで見終わった所で、
結局良いアイディアは浮かばなかった。
何故ならば俺の頭の中は、どんな相手だろうが無双して見せる無敵を誇るセガールの事で一杯だったからだ。
まあ、いいや。とりあえずやることをやってしまおう。
俺は合わせ鏡と適当なゲームを用意し、早速鏡の中へと飛び込んだ。
一瞬、浮遊感を覚える。そう思った途端、既に目の前の風景が変わっていた。
見渡す限り、広い草原が続いている。それから遠目に城が見えた。
俺が用意したゲームの世界と同じ風景だな。中世か近世辺りのヨーロッパを舞台にした世界観だ。
まあ、そんな話はどうでもいい。俺はサードアイを使って、真実の姿って奴を拝むことにした。
俺の視界で草原や城が歪んでは消えていく。
そして浮かび上がる新しい光景──大勢の人間が透明な球体の膜の中に閉じこもっていた。
俺と同じく、鏡の世界に転移してきた連中だ。
膜の中に閉じこもった人々の表情は様々だった。同じように膜の色もな。
清廉に輝いているものもあれば、どす黒くなっているものもある。
輝いている膜の中にいる人間の表情は穏やかだ。反対にどす黒く変色している膜の中にいる人間は苦痛に顔を歪めている。
この違いは何か?善行を積んだか、悪行を重ねたかというのが、一つのパラメーターになるな。
膜がどす黒く変わっていくっていうのは、それだけ転移した世界で酷い振る舞いを重ねてきたってことだ。
悪行を繰り返すことで膜は徐々に塗り替えられていくのさ。そして最後はその腐敗した魂は地獄へと囚われる。
何のことはない。こいつらが転移した世界はその人間の心を映し出しているのさ。
そして自らの行いは自分の身へと降りかかる。
虐待、強姦、強盗、殺人、こんな事ばかり繰り返していると地獄の階段を登っていくことになるってわけだ。
まあ、力を与えられれば使ってみたくもなるだろうけどな。
その気持ちはわかるさ。でもな、その与えられた強大な力は諸刃の剣だ。
そして自己の快楽の為だけに力を使い、意味もなく他者を傷つけ、殺せば少しずつ煉獄の蓋が開いていくんだ。
実際の所、どす黒い膜の中に閉じこもっている連中は、気づかずに自分自身に危害を加えているのさ。
何故なら転移した世界は自分自身の心であり、その世界の住民達は己の魂の分身に他ならないからだ。
だから転移者が悪行を積み重ねるってことは、自分で破滅の道を進むようなもんだぜ。
自らが自分自身の魂を傷つけ、心を壊し、腐らせていくんだから俺から見れば自業自得さ。
ああ、ここでひとつ言っておくが、
だからといって禁欲になれとか、人々の為に自らを押し殺して奉公しろって事にはならないからな。
殺すのも意味が有るならそれは許容されるしな。
例えば自分や他者の身を守るためとか、やむを得ない場合は仕方がないよな?
だから生きる為に必要な殺しなら問題はないんだよ。スケベするのも結構なことだ。
子作りに励むのも多いに頑張れと言いたくなるね。
ただ、レイプはその中には含まれないってことだ。快楽殺人もな。
相手の意思を無視し、苦しめて、自分の欲望を発散させるならそれは許容されないのさ。
いや、別にしてもいいんだけどな。ただ、その悪行は全て自分に跳ね返ってくる。
そうだな、そこのどす黒い膜にいる奴の世界を少しばかり覗いてみればいい。
ああ、そうだ。これが転移した世界でのこいつの行いだ。
村を襲い、略奪し、男や老人は皆殺しにして女子供は奴隷として売り飛ばす。
捕らえた女達の中から気に入った者を奴隷にして、自分の宮殿にはべらせる。
それで飽きたらモンスターの餌にし、あるいは面白半分にいたぶり抜く。
全く、よくやるよ。あとで高い利息をつけて返済しなくちゃいけない羽目になるのによ。
まあ、中にはわかっててやってる奴もいるよ。
そういう奴は自分がやった事をやり返されてもいいと覚悟してるからまだ救いがあるぜ。
あるいは拷問し、苦痛を与えることこそが最高の善行だと考えてる存在もいるぞ。
極度のサディズムとマゾヒズムを持った奴がその典型例だ。
人間にもスーパーナチュラルにもいる。俺の知り合いにもいるしな。
こいつらにとっちゃ、他人にとっての地獄は自らにとっての天国だ。
なんせ、拷問することもされる事も大変好ましいと考えてるからな。
それも迷惑な話だし、その手の趣味が無ければたまったものじゃないだろうけどな。
それじゃあ、そろそろ場所を変えるとするか。
『ジェイソンVSセガール』と『フレディVSセガール』そして『エイリアンVSセガール』を立て続けに観ながら俺は考えた。
それから『プレデターVSセガール』に手を伸ばし、結局は『貞子VSセガール』まで見終わった所で、
結局良いアイディアは浮かばなかった。
何故ならば俺の頭の中は、どんな相手だろうが無双して見せる無敵を誇るセガールの事で一杯だったからだ。
まあ、いいや。とりあえずやることをやってしまおう。
俺は合わせ鏡と適当なゲームを用意し、早速鏡の中へと飛び込んだ。
一瞬、浮遊感を覚える。そう思った途端、既に目の前の風景が変わっていた。
見渡す限り、広い草原が続いている。それから遠目に城が見えた。
俺が用意したゲームの世界と同じ風景だな。中世か近世辺りのヨーロッパを舞台にした世界観だ。
まあ、そんな話はどうでもいい。俺はサードアイを使って、真実の姿って奴を拝むことにした。
俺の視界で草原や城が歪んでは消えていく。
そして浮かび上がる新しい光景──大勢の人間が透明な球体の膜の中に閉じこもっていた。
俺と同じく、鏡の世界に転移してきた連中だ。
膜の中に閉じこもった人々の表情は様々だった。同じように膜の色もな。
清廉に輝いているものもあれば、どす黒くなっているものもある。
輝いている膜の中にいる人間の表情は穏やかだ。反対にどす黒く変色している膜の中にいる人間は苦痛に顔を歪めている。
この違いは何か?善行を積んだか、悪行を重ねたかというのが、一つのパラメーターになるな。
膜がどす黒く変わっていくっていうのは、それだけ転移した世界で酷い振る舞いを重ねてきたってことだ。
悪行を繰り返すことで膜は徐々に塗り替えられていくのさ。そして最後はその腐敗した魂は地獄へと囚われる。
何のことはない。こいつらが転移した世界はその人間の心を映し出しているのさ。
そして自らの行いは自分の身へと降りかかる。
虐待、強姦、強盗、殺人、こんな事ばかり繰り返していると地獄の階段を登っていくことになるってわけだ。
まあ、力を与えられれば使ってみたくもなるだろうけどな。
その気持ちはわかるさ。でもな、その与えられた強大な力は諸刃の剣だ。
そして自己の快楽の為だけに力を使い、意味もなく他者を傷つけ、殺せば少しずつ煉獄の蓋が開いていくんだ。
実際の所、どす黒い膜の中に閉じこもっている連中は、気づかずに自分自身に危害を加えているのさ。
何故なら転移した世界は自分自身の心であり、その世界の住民達は己の魂の分身に他ならないからだ。
だから転移者が悪行を積み重ねるってことは、自分で破滅の道を進むようなもんだぜ。
自らが自分自身の魂を傷つけ、心を壊し、腐らせていくんだから俺から見れば自業自得さ。
ああ、ここでひとつ言っておくが、
だからといって禁欲になれとか、人々の為に自らを押し殺して奉公しろって事にはならないからな。
殺すのも意味が有るならそれは許容されるしな。
例えば自分や他者の身を守るためとか、やむを得ない場合は仕方がないよな?
だから生きる為に必要な殺しなら問題はないんだよ。スケベするのも結構なことだ。
子作りに励むのも多いに頑張れと言いたくなるね。
ただ、レイプはその中には含まれないってことだ。快楽殺人もな。
相手の意思を無視し、苦しめて、自分の欲望を発散させるならそれは許容されないのさ。
いや、別にしてもいいんだけどな。ただ、その悪行は全て自分に跳ね返ってくる。
そうだな、そこのどす黒い膜にいる奴の世界を少しばかり覗いてみればいい。
ああ、そうだ。これが転移した世界でのこいつの行いだ。
村を襲い、略奪し、男や老人は皆殺しにして女子供は奴隷として売り飛ばす。
捕らえた女達の中から気に入った者を奴隷にして、自分の宮殿にはべらせる。
それで飽きたらモンスターの餌にし、あるいは面白半分にいたぶり抜く。
全く、よくやるよ。あとで高い利息をつけて返済しなくちゃいけない羽目になるのによ。
まあ、中にはわかっててやってる奴もいるよ。
そういう奴は自分がやった事をやり返されてもいいと覚悟してるからまだ救いがあるぜ。
あるいは拷問し、苦痛を与えることこそが最高の善行だと考えてる存在もいるぞ。
極度のサディズムとマゾヒズムを持った奴がその典型例だ。
人間にもスーパーナチュラルにもいる。俺の知り合いにもいるしな。
こいつらにとっちゃ、他人にとっての地獄は自らにとっての天国だ。
なんせ、拷問することもされる事も大変好ましいと考えてるからな。
それも迷惑な話だし、その手の趣味が無ければたまったものじゃないだろうけどな。
それじゃあ、そろそろ場所を変えるとするか。
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