56 / 61
最終章
番外編 はじめての感覚(チェイス視点)
しおりを挟む
ボクは、魔力の高い人間の気配感じて、ある屋敷まで惹きつけられるように行った。
そこには、すでに多くの魔物がいて、さすがのボクも傷を負った。なんとかして心臓の持ち主の元まで行ったが、すでに心臓は抜き取られていた。
とにかく魔物のいないところに行くためにただ歩き続けた。傷のせいで徐々に魔力が消耗してゆき、気づいた時には人の姿が保てなくなって、ついにボクはそこで意識を失った。
次に気がついたのは、ある人間の家の中だった。どうやらその人間がボクを治療したようだ。
しかも、その少女は魔力の高い人間だった。これは運がいい。ボクはこいつを食べて不老不死になるんだ。
だけど、その少女の心臓を食べることができなかった。少女は中々強かった。魔力さえ戻れば、ボクは食べてやるつもりだった。
少女の話はいつも退屈だった。ボクからしたらクズでしかない家族たちをやたらと褒める。かと思ったらその家族たちに部屋に閉じ込められて泣き出すのだ。
めんどくさい人間だ。ボクに人間のことはよくわからない。
初めてボクが少女に金平糖を渡した時、彼女は泣きながらお礼を言った。人間にお礼を言われるのは初めてで何だかおかしかったし、胸の辺りがざわざわして気持ちが悪い。こんなことは初めてだった。
それが嫌で少女の前から姿を消した。その頃には魔力はすっかり回復していた。
でも、彼女との約束はずっと覚えていた。
ボクは心臓を貰うためにそばにいる。そう自分に言い聞かせた。だから、彼女を狙う魔物は全て殺して自分の魔力に変換した。
そうすることで徐々にボクは力を増していった。
彼女を見守るのはボクの習慣となり、人生の一部になっていた。
ずっと見ているとわかったことがある。彼女の家族はクソだと言うことだ。
でも、ボクには関係のないことなので見て見ぬふりをした。
少女は家族のクソさに気づいていない。それが無性にムカつく。
ある日、少女は兄を殴ったとかで部屋に幽閉されていた。ボクは彼女が眠っている間に部屋に行った。
ろくにご飯も与えられなかったのか、彼女はひどくうなされ、涙を流していた。
ボクはその涙をそっと拭い、少しのおまじないのようなものを彼女にかける。
『強くなれ。そして家族のクソさに気づけ。
そうすれば君はもう泣かなくてすむ。』
すると彼女の涙はすっとひいていった。
これから、彼女は家族のクソさに気づくだろうか。彼女が気づいて幸せを掴んだ時ボクは隣にいるんだろうか……。
胸がざわざわして気持ちが悪い。
そこには、すでに多くの魔物がいて、さすがのボクも傷を負った。なんとかして心臓の持ち主の元まで行ったが、すでに心臓は抜き取られていた。
とにかく魔物のいないところに行くためにただ歩き続けた。傷のせいで徐々に魔力が消耗してゆき、気づいた時には人の姿が保てなくなって、ついにボクはそこで意識を失った。
次に気がついたのは、ある人間の家の中だった。どうやらその人間がボクを治療したようだ。
しかも、その少女は魔力の高い人間だった。これは運がいい。ボクはこいつを食べて不老不死になるんだ。
だけど、その少女の心臓を食べることができなかった。少女は中々強かった。魔力さえ戻れば、ボクは食べてやるつもりだった。
少女の話はいつも退屈だった。ボクからしたらクズでしかない家族たちをやたらと褒める。かと思ったらその家族たちに部屋に閉じ込められて泣き出すのだ。
めんどくさい人間だ。ボクに人間のことはよくわからない。
初めてボクが少女に金平糖を渡した時、彼女は泣きながらお礼を言った。人間にお礼を言われるのは初めてで何だかおかしかったし、胸の辺りがざわざわして気持ちが悪い。こんなことは初めてだった。
それが嫌で少女の前から姿を消した。その頃には魔力はすっかり回復していた。
でも、彼女との約束はずっと覚えていた。
ボクは心臓を貰うためにそばにいる。そう自分に言い聞かせた。だから、彼女を狙う魔物は全て殺して自分の魔力に変換した。
そうすることで徐々にボクは力を増していった。
彼女を見守るのはボクの習慣となり、人生の一部になっていた。
ずっと見ているとわかったことがある。彼女の家族はクソだと言うことだ。
でも、ボクには関係のないことなので見て見ぬふりをした。
少女は家族のクソさに気づいていない。それが無性にムカつく。
ある日、少女は兄を殴ったとかで部屋に幽閉されていた。ボクは彼女が眠っている間に部屋に行った。
ろくにご飯も与えられなかったのか、彼女はひどくうなされ、涙を流していた。
ボクはその涙をそっと拭い、少しのおまじないのようなものを彼女にかける。
『強くなれ。そして家族のクソさに気づけ。
そうすれば君はもう泣かなくてすむ。』
すると彼女の涙はすっとひいていった。
これから、彼女は家族のクソさに気づくだろうか。彼女が気づいて幸せを掴んだ時ボクは隣にいるんだろうか……。
胸がざわざわして気持ちが悪い。
0
お気に入りに追加
1,721
あなたにおすすめの小説
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。
バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。
全123話
※小説家になろう様にも掲載しています。
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません
たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。
何もしていないのに冤罪で……
死んだと思ったら6歳に戻った。
さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。
絶対に許さない!
今更わたしに優しくしても遅い!
恨みしかない、父親と殿下!
絶対に復讐してやる!
★設定はかなりゆるめです
★あまりシリアスではありません
★よくある話を書いてみたかったんです!!
国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。
ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。
即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。
そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。
国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。
⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎
※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる