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五話

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『何かありましたら此方までお申し付け下さい』


「はい、わかりました」


「それにしても、あの部屋の隅の人は誰でしょう。紹介してくださいませんか?」
もうずっとあそこにいるから空気と化していたけど、流石に気になってしまった。
紹介はしてくれないのかな?

「……あちらの方は「いい、自分でやる」

…かしこまりました」


「私は、レスター。貴方の執事兼筆頭世話係です。」

ずっと何も喋らなかった人がすらすらと話し始めた
それになぜか目を少し見張っている侍女長


「…基本は私がお世話をさせていただきます」
そう言い終わると元の場所に戻っていった


「そうですか、実は女性であるマージさんよりも同じ男性である貴方のほうが話しやすいと思うので…何かあったらよろしくお願いします」



話をするのが苦手なんだろうか?すこし不自然な間が開きつつもきちんと喋ってくれた
それにしても、1ミクロンも表情筋が動いていないのは凄すぎないか?

(!,分かった、感情が死んでいるのかもしれないね)

そう心の中で勝手に納得した


「今日から暮らして頂く部屋に案内いたします。ついてきて下さい」
マージさんがそう言い、部屋の外に向かって歩き出す


~歩き出して早数分

たかが数分、されど数分。会話のない雰囲気が少し気まずい
どれくらい遠くの部屋に案内していたんですか…?ここに着くまで道のりがすごく複雑。内部に侵入できないような作りで、正直ついて行くのに大変

一人でいたら確実に迷って飢え死にますね

(?、なんか進めば進むほど気持ち悪いほど複雑なんですが…)
すらすらと進んでいく侍女さん達、と、…気配なかったけど、ずっと背後にレスターがいた
振り向くと目があったので気まずい空気が流れる前に微笑み、また前を向く

あと、あそこの蝋燭触る仕草いります?
………まあよく分からないけど黙ってついていくことにしよう

「こちらが今日過ごしていただく部屋です」
色々考えていたらもうついたみたいだ

ーえ?

「…すごい豪華な部屋ですね」
豪華な扉がどどーん、と目の前に現れる

「今年は歴代の中で異例な人形の聖獣様が呼び出された為、急遽人間用の家具を取り揃えさせて頂きました。お迎えするのが遅くなり、申し訳ございません。どうぞお寛ぎ下さい」
といってドアを開けた

中に入るとすぐ上着を取られて
「明日、午後からお食事会がございますのでお召し物をご用意致しました。」
と言いながらナチュラルに服を脱がそうとしてくるので慌てて止める
それにしてもすごい数の服だ。


「すみません、女性にこんなことされたことないので恥ずかしいです…脱ぎ終えたら呼びますので少しの間外にいてくださいませんか?」
するとレスターと目配せをした後、
「…かしこまりました。お召し物はこちらに置いておきますので、」
と言いドアの前でお辞儀した後女性が出ていった



…まあ、レスターがいるけどいいか
あまりを見せたくはなかったがしょうがない

すぐそこに置かれた服を着る前に体の汚れを落としてておきたかった
「お風呂はありますか?綺麗な服を着る前に体の汚れをとっておきたいので…」

「…ご案内いたします」

と言われてついていく
歴代の聖獣は全て獣形だったからか部屋の中はあまり扉はなかった。

風呂場に着くと中まで入ってきそうだったからやんわりと断って置いた

やはり、風呂もすごく豪華でキラッキラだった







お風呂から出るとちょうどいいタイミングで夕食が出てくる
まるで高級レストランのような料理がどんどん運ばれてくる。

(こんなに食べきれないんですけど…)
食べ物は大事にしたい。今度から食べれる分だけ持ってくるよう頼んだ


すると
「ユウト様のお口にあうものが知りたかったのでこの量は今回だけですので、ご安心ください」
トレスターに言われた


「あぁそうでしたか。私は基本何でも食べますので偏食とかは…あまり無いです」
この世界の食事がはわからないからあえて曖昧に言った


(見た目は同じ人間だけど体の作りとか違って毒に強かったりしたらどうしよう…)
でも意外に食べてみたら大丈夫だったから特に食事に関しては心配いらないだろう




「ふぅ……」
さっき渡された服を着て、ベッドに倒れ込む
なかなかに濃いい1日だった



どんどん瞼が落ちてくる………



スヤァ


知らない世界でもすぐに眠れるぐらい、俺は図太かったようだ


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