65 / 96
嵐の前の七夕 前編
しおりを挟む
大好きな璃音に逢えなかった長い一週間を乗り越えて
やっと無事に5日間の期末テストが全て終わった最終日の午後、
オレンジ色の夕陽が眩しい いつもの河原で小さな友達と会う為に、
今日も元気に自転車を飛ばして河川敷へと向かった玲は……
*****
(やったぁ、やっとテストが終わったよ~、
めっちゃ長い5日間だったなぁ…でもやるべき事は全部やれたし、
超~複雑な画廊の構造も、暗記レベルで全部バッチリ覚えたから、
これで私のやる事は、3日後に迫った決行日の朝を待つ事だけだよねー!)
なんてドキドキしながら一人で興奮していたが
今回トムの考えた作戦は、冷静な判断力で正解のドアを探し当てながら
最上階のシェルターを目指して、サッサと迅速に行動しなければならない極秘作戦なので……
(…って言うか皆で遠足に行く訳じゃないんだから、
こんなにキャンキャン浮かれている場合じゃないよね?
だってチャンスは一回だけの、ぶっつけ本番なんだから!)
こうして自分自身に喝を入れたボッチの玲は、
気分も新たに気を引き締めながら自転車を漕いで
そして いつもの河川敷へと到着してすぐに、
今日も古びたベンチに座ってペットボトルの緑茶をゴクゴクと飲んでいたら
(あっ!トムと蛍丸とレイピアだ~!)
まさに最高のタイミングで、
唯一の友達である猫とカラスを見つける事が出来たので
もちろん玲は彼らに向かって笑顔で手を振っていたけれど、
そんな事よりも この後ベンチに集まってきた、小さな頼もしい友達は……
『これはこれはお久し振りでござるなぁ、
ところで玲殿、実はきのう、拙者とレイピアで
歓楽街の龍崎ダイヤモンドビルに行ってきたのだが、
それはそれは美しいビルが完成しておりましたぞ玲殿よ』
『玲、おひさ~!期末終了おめでとさ~ん
…って言うか遂にあと3日後だね~、なんかワクワクしない?』
『こんにちは玲、期末テストお疲れ様でした。
ではさっそく本題に入りますが、画廊の間取り図は覚えて下さいましたか?』
と開口一番、さっそく画廊の件を話し始めたので……
「うん、勿論しっかり覚えたよ。
じゃあ当日は~、何時にドコに集合するの?」
『まぁその件に関しては玲殿よ、
是非ともレイピアの説明を聞いて頂けるかな?』
『そだね~蛍丸、確かにレイピアの説明が、
ぶっちゃけ一番わかりやすいよね~、だってコイツは早瀬観光の守護神だからね~』
『わかりました皆さん。じゃあ今回の作戦は、今から僕が説明します』
こうして皆に推薦されたレイピアが……
「では当日のスケジュールを説明しますが、
エスパーの斉野は朝の7時に運搬係の仲間を連れて、
早瀬ビルの画廊に来る予定ですから、玲は必ず朝の5時までに、
画廊の隣にあるビルの、一階のコインランドリーに来て下さい。
そこで僕が細かい説明をしますが、今すぐ玲に伝えておく事は……』
こんな感じで大切な話をしてくれる事になったけど
猫とは思えないほどに聡明なレイピアの説明は……
『やはりトリックについての説明ですね。
あの画廊は一見すると、8階建てのビルの形をしてますが……
人の目に映る階段とエレベーターは、表向きには2階までしかありません。
つまり、あの設計図に書かれた数字の通りにドアを開けなければ、
最上階に繋がる階段をあがる事は出来ない仕様になっているのです。
だから玲、もしも間違いのドアを開けたら、その瞬間にロックが掛かって
真っ暗な部屋の中に閉じ込められますから、くれぐれも気を付けて下さいね』
と大切な要点だけを完璧にまとめあげた
まさに100点満点の素晴らしい内容だったから
『それでは最後のアドバイスになりますが、最上階に到着したら、
白いキャビネットの左下にある、小さなボタンをカチッと押して下さい。
そのボタンが隠し部屋に繋がりますので、秘密の部屋に入ったら……
マジックミラーに映る奴らの行動を、全部丸ごと玲のカメラで撮影して下さい。僕からは以上です』
こうして最後に隠し部屋の秘密を教えてくれたレイピアに、
色々と協力してくれてありがとう!と感謝の言葉を伝えた玲は、
オレンジ色の夕日が沈む時間まで、彼らと楽しい雑談をして、そしてその後いつもの様に
自宅に帰ってシャワーを済ませて晩のご飯を食べた後、今日も元気に自分の部屋でアニメを鑑賞していたが
時計を見るとまだ夜の7時半なので、そろそろ一回お部屋の換気をする為に、
ベランダ側の大きな窓を一気に開けて、綺麗な夜空を見ていたら……
(今夜は一段と星が綺麗だなぁ、まるで織り姫様と彦星様が~、
……んん?あーーっ!確か今日って、7月7日の七夕だよね?
じゃあ桜ヶ丘の駅の通路に短冊が置いてあるから、今からちょっと行ってみようかな)
なんと、このタイミングで今夜が七夕だった事を思い出したので
7月10日の動画撮影を、どうか無事に成功させて下さい。それと!
健康と金運と世界平和とエトセトラと~…って感じの贅沢すぎるお願い事を
駅の無料の短冊に、隠語を使って あれやこれやと大量に書きまくる為に……!
(そうと決まれば今からダッシュで駅に行って、
璃音さんと私とトム達の健康と、もちろん金塊も守って下さいとか、
それと えーっと、3億とかの宝くじが当たります様に~…とか、
とにかく沢山のお願い事をガンガン書かなきゃ損って事だよね?
だって今夜は年に一度の、無料で遊べる七夕祭りなんだからー!)
こうしてドコまでもセコい単細胞の玲は
いつものパーカーを羽織って自転車に乗った後すぐに、善は急げと桜ヶ丘の駅に向かった。
やっと無事に5日間の期末テストが全て終わった最終日の午後、
オレンジ色の夕陽が眩しい いつもの河原で小さな友達と会う為に、
今日も元気に自転車を飛ばして河川敷へと向かった玲は……
*****
(やったぁ、やっとテストが終わったよ~、
めっちゃ長い5日間だったなぁ…でもやるべき事は全部やれたし、
超~複雑な画廊の構造も、暗記レベルで全部バッチリ覚えたから、
これで私のやる事は、3日後に迫った決行日の朝を待つ事だけだよねー!)
なんてドキドキしながら一人で興奮していたが
今回トムの考えた作戦は、冷静な判断力で正解のドアを探し当てながら
最上階のシェルターを目指して、サッサと迅速に行動しなければならない極秘作戦なので……
(…って言うか皆で遠足に行く訳じゃないんだから、
こんなにキャンキャン浮かれている場合じゃないよね?
だってチャンスは一回だけの、ぶっつけ本番なんだから!)
こうして自分自身に喝を入れたボッチの玲は、
気分も新たに気を引き締めながら自転車を漕いで
そして いつもの河川敷へと到着してすぐに、
今日も古びたベンチに座ってペットボトルの緑茶をゴクゴクと飲んでいたら
(あっ!トムと蛍丸とレイピアだ~!)
まさに最高のタイミングで、
唯一の友達である猫とカラスを見つける事が出来たので
もちろん玲は彼らに向かって笑顔で手を振っていたけれど、
そんな事よりも この後ベンチに集まってきた、小さな頼もしい友達は……
『これはこれはお久し振りでござるなぁ、
ところで玲殿、実はきのう、拙者とレイピアで
歓楽街の龍崎ダイヤモンドビルに行ってきたのだが、
それはそれは美しいビルが完成しておりましたぞ玲殿よ』
『玲、おひさ~!期末終了おめでとさ~ん
…って言うか遂にあと3日後だね~、なんかワクワクしない?』
『こんにちは玲、期末テストお疲れ様でした。
ではさっそく本題に入りますが、画廊の間取り図は覚えて下さいましたか?』
と開口一番、さっそく画廊の件を話し始めたので……
「うん、勿論しっかり覚えたよ。
じゃあ当日は~、何時にドコに集合するの?」
『まぁその件に関しては玲殿よ、
是非ともレイピアの説明を聞いて頂けるかな?』
『そだね~蛍丸、確かにレイピアの説明が、
ぶっちゃけ一番わかりやすいよね~、だってコイツは早瀬観光の守護神だからね~』
『わかりました皆さん。じゃあ今回の作戦は、今から僕が説明します』
こうして皆に推薦されたレイピアが……
「では当日のスケジュールを説明しますが、
エスパーの斉野は朝の7時に運搬係の仲間を連れて、
早瀬ビルの画廊に来る予定ですから、玲は必ず朝の5時までに、
画廊の隣にあるビルの、一階のコインランドリーに来て下さい。
そこで僕が細かい説明をしますが、今すぐ玲に伝えておく事は……』
こんな感じで大切な話をしてくれる事になったけど
猫とは思えないほどに聡明なレイピアの説明は……
『やはりトリックについての説明ですね。
あの画廊は一見すると、8階建てのビルの形をしてますが……
人の目に映る階段とエレベーターは、表向きには2階までしかありません。
つまり、あの設計図に書かれた数字の通りにドアを開けなければ、
最上階に繋がる階段をあがる事は出来ない仕様になっているのです。
だから玲、もしも間違いのドアを開けたら、その瞬間にロックが掛かって
真っ暗な部屋の中に閉じ込められますから、くれぐれも気を付けて下さいね』
と大切な要点だけを完璧にまとめあげた
まさに100点満点の素晴らしい内容だったから
『それでは最後のアドバイスになりますが、最上階に到着したら、
白いキャビネットの左下にある、小さなボタンをカチッと押して下さい。
そのボタンが隠し部屋に繋がりますので、秘密の部屋に入ったら……
マジックミラーに映る奴らの行動を、全部丸ごと玲のカメラで撮影して下さい。僕からは以上です』
こうして最後に隠し部屋の秘密を教えてくれたレイピアに、
色々と協力してくれてありがとう!と感謝の言葉を伝えた玲は、
オレンジ色の夕日が沈む時間まで、彼らと楽しい雑談をして、そしてその後いつもの様に
自宅に帰ってシャワーを済ませて晩のご飯を食べた後、今日も元気に自分の部屋でアニメを鑑賞していたが
時計を見るとまだ夜の7時半なので、そろそろ一回お部屋の換気をする為に、
ベランダ側の大きな窓を一気に開けて、綺麗な夜空を見ていたら……
(今夜は一段と星が綺麗だなぁ、まるで織り姫様と彦星様が~、
……んん?あーーっ!確か今日って、7月7日の七夕だよね?
じゃあ桜ヶ丘の駅の通路に短冊が置いてあるから、今からちょっと行ってみようかな)
なんと、このタイミングで今夜が七夕だった事を思い出したので
7月10日の動画撮影を、どうか無事に成功させて下さい。それと!
健康と金運と世界平和とエトセトラと~…って感じの贅沢すぎるお願い事を
駅の無料の短冊に、隠語を使って あれやこれやと大量に書きまくる為に……!
(そうと決まれば今からダッシュで駅に行って、
璃音さんと私とトム達の健康と、もちろん金塊も守って下さいとか、
それと えーっと、3億とかの宝くじが当たります様に~…とか、
とにかく沢山のお願い事をガンガン書かなきゃ損って事だよね?
だって今夜は年に一度の、無料で遊べる七夕祭りなんだからー!)
こうしてドコまでもセコい単細胞の玲は
いつものパーカーを羽織って自転車に乗った後すぐに、善は急げと桜ヶ丘の駅に向かった。
10
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
この度、青帝陛下の番になりまして
四馬㋟
恋愛
蓬莱国(ほうらいこく)を治める青帝(せいてい)は人ならざるもの、人の形をした神獣――青龍である。ゆえに不老不死で、お世継ぎを作る必要もない。それなのに私は青帝の妻にされ、后となった。望まれない后だった私は、民の反乱に乗して後宮から逃げ出そうとしたものの、夫に捕まり、殺されてしまう。と思ったら時が遡り、夫に出会う前の、四年前の自分に戻っていた。今度は間違えない、と決意した矢先、再び番(つがい)として宮城に連れ戻されてしまう。けれど状況は以前と変わっていて……。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる