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彰編 ガラス玉のシンデレラ
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そして夢の様に甘美な時間が過ぎた後……
「じゃあ今からお風呂に入って
一緒に身体を洗いましょうか恵さん」
と上機嫌な彰は小さな恵をお姫様抱っこした状態で
キンキラキンの広いバスルームに向かい、
意気揚々と泡の湯舟に浸った後で、
少し元気がない恵の身体を優しく丁寧に洗いながら
*****
「疲れたでしょう恵さん、身体は俺が洗ってあげるから
貴女はこのまま俺にもたれて、ゆっくりと寛いで下さいね」
「はぃ…わ~りました」
「それでね恵さん、
俺は貴女の身体をとても気に入りましたから……
約束通り、今夜から貴女を囲う事に決めましたよ?嬉しいですか?」
「はぃ……ぅれぴぃれす」
「ありがとう恵さん、俺も凄く嬉しいよ。
じゃあ今ここで契約の内容を説明しておくけど
俺が貴女に飽きる迄の間は、何ヶ月でも何年でも、
毎月必ず貴女の口座に50万の現金を振り込んであげますから、
これで恵さんが働く必要は全くないし、寧ろ部屋に居る事が、
貴女の仕事になる訳だから、これできみは正々堂々と
綺麗なマンションの部屋でゆったりと過ごして、俺の帰りを待っていて下さいね?」
こうしてメチャクチャな口説き文句で恵を囲うと豪語したけれど
愚かな彰はこの時まだ、
自分の犯したトンデモナイ過ちを何ひとつ気付いていなかったから、
「じゃあこれで契約は成立したから、
さっそく今夜から二人で一緒に暮らしましょうね恵さん。
て事で俺は今から髪を洗って乾かして、
第一秘書の村上と仕事の電話をした後でリビングに戻るから、
恵は先に風呂を上がって冷たいジュースでも飲んでてくれるかい?
ドリンク専用のミニ冷蔵庫はクロークの中にあるからね、フフフッ」
こんな風に一人でウキウキしている『恋愛初心者の彰』はきっと……
「わかりました。じゃあ えっと~……
これで私はお先に失礼しますね彰さん」
と明らかにションボリした表情で下を向いてバスルームを出てゆく恵の肩が
少し震えていた事を完全に見過ごしていたのだ。
**********
だから恵がバスルームを出てから30分が過ぎた頃
やたらと上機嫌な態度で鼻歌を歌いながら長い髪をドライヤーで乾かして、
お気に入りの香水をつけた後すぐに
黒いスーツと赤いネクタイでバッチリと決めた彰がリビングで見たものは……
身長150センチの小さな実写版シンデレラではなくて
『彰さんへ』と書かれた可愛らしい封筒と、
なにやらキラキラと光る小さなアクセサリー『だけ』と言う残酷な現実だったから
いくらなんでも突然すぎる『こんな別れ』が信じられない彰は勿論、この直後
「…恵さん?どこにいるんですか?」と震える声で
誰も居ないロイヤルスイートのリビングとベッドルームを一人で歩いた後すぐに
星を見るのが大好きだった恵を思い出しながら、急いでテラスに向かったが
「ねぇ恵さん……
かくれんぼは家に帰ってからにしませんか?」
と彰の声だけが虚しく響き渡る無人のテラスに可愛い恵は居なかったので、
がっくりと肩を落とした彰は真っ青な表情でリビングに戻ってソファーに座り……
そして とてつもなくイヤな予感に包まれながらも
『彰さんへ』と書かれた可愛らしい封筒を開ける事しか出来なかったから
ドキドキしながらピンクの封筒を開いてみたけれど、
可愛い封筒の中には……
☆☆☆☆☆
『こんばんは彰さん、えっとシャンプーお疲れさまでした。
長い髪はシャンプーをドバドバ使うので、洗っている時に思わず発狂したくなるし
ドライヤーでガーガー乾かすのに時間も掛かるから大変ですね?
と言う事で早速今から本題に入りますが、
今日は色々とお世話をしてくれて本当にありがとうございました。
もしもニュータイプの彰さんに出逢う事が出来なかったら、
レッドレトリバー参上の鞄を盗んだ犯人の居場所が分からない私は今頃 絶対 確実に、
路頭に迷って華麗なホームレスになっていたと思います。
そして何よりも、今日ここで彰さんと初体験をする事が出来なかったら
きっと私は一生ずっと永遠に、ユニコーンが大好きな処女のままだったと思います。
なので今日はファイナル的な処女の視点で、私が一人でトットと帰った訳を書かせて下さいね。
えっと私が勝手に退場した理由はそのぉ、早い話が彰さんが既婚者だから、です。
きっと彰さんは鬼嫁が怖くて、そして鬼嫁から逃げる為に私を囲う的な発言をしたと思うけど、
やはり不倫は田舎も都会も関係なく、男女がシバきあいをする恐ろしい文化なので辞めましょうね。
では最後になりますが、龍崎コーポの副社長を頑張って下さい。
早く部屋が満室になるといいですね。脳内秘書の村上さんにも宜しくお伝え下さい。
それと今日のお礼に、私の宝物を彰さんにプレゼントしますから
処女のついでにコレも貰ってくれると嬉しいです。じゃあこれで私は失礼しますが、
彰さんと鬼嫁さんの幸せを、草場の影から沢山いっぱい祈っています 星野恵より』
と訳の分からない事が書かれた可愛らしい手紙と
恵からのプレゼントである、ガラス玉のブレスレットが置いてあったので、
思わず彰は480円の値札が付いたままの粗末なブレスレットを手に取って……
「これは…ガラス玉のブレスレットなのか?
なぁ恵…お前は本物のシンデレラだったんだね?ちょっとバカだけど、フフフッ…」
て感じの独り言を呟きながらも
恵が飲んでいたウーロン茶の残りを一気に飲み干した後すぐに
黒いスーツのポケットからスマホを出して
(まぁ確かに今日はお互い、色々と大変だったけど、
でもそんな事よりも せっかく俺から逃げたのに、残念だったね恵さん。
だって俺は こう見えてもね?龍崎財閥の副社長をやっている男だから、
春川村出身の恵を探し出す位の事は、二日もあれば簡単に出来るんだよ?)
こうしてメッチャ余裕な態度で細い煙草に火を付けながら、
キラキラと輝くガラスのブレスレットを落としたシンデレラを追い掛ける為に、
善は急げとこのままの勢いで、超有名な調査会社に明るい声で電話を掛けていた。
「じゃあ今からお風呂に入って
一緒に身体を洗いましょうか恵さん」
と上機嫌な彰は小さな恵をお姫様抱っこした状態で
キンキラキンの広いバスルームに向かい、
意気揚々と泡の湯舟に浸った後で、
少し元気がない恵の身体を優しく丁寧に洗いながら
*****
「疲れたでしょう恵さん、身体は俺が洗ってあげるから
貴女はこのまま俺にもたれて、ゆっくりと寛いで下さいね」
「はぃ…わ~りました」
「それでね恵さん、
俺は貴女の身体をとても気に入りましたから……
約束通り、今夜から貴女を囲う事に決めましたよ?嬉しいですか?」
「はぃ……ぅれぴぃれす」
「ありがとう恵さん、俺も凄く嬉しいよ。
じゃあ今ここで契約の内容を説明しておくけど
俺が貴女に飽きる迄の間は、何ヶ月でも何年でも、
毎月必ず貴女の口座に50万の現金を振り込んであげますから、
これで恵さんが働く必要は全くないし、寧ろ部屋に居る事が、
貴女の仕事になる訳だから、これできみは正々堂々と
綺麗なマンションの部屋でゆったりと過ごして、俺の帰りを待っていて下さいね?」
こうしてメチャクチャな口説き文句で恵を囲うと豪語したけれど
愚かな彰はこの時まだ、
自分の犯したトンデモナイ過ちを何ひとつ気付いていなかったから、
「じゃあこれで契約は成立したから、
さっそく今夜から二人で一緒に暮らしましょうね恵さん。
て事で俺は今から髪を洗って乾かして、
第一秘書の村上と仕事の電話をした後でリビングに戻るから、
恵は先に風呂を上がって冷たいジュースでも飲んでてくれるかい?
ドリンク専用のミニ冷蔵庫はクロークの中にあるからね、フフフッ」
こんな風に一人でウキウキしている『恋愛初心者の彰』はきっと……
「わかりました。じゃあ えっと~……
これで私はお先に失礼しますね彰さん」
と明らかにションボリした表情で下を向いてバスルームを出てゆく恵の肩が
少し震えていた事を完全に見過ごしていたのだ。
**********
だから恵がバスルームを出てから30分が過ぎた頃
やたらと上機嫌な態度で鼻歌を歌いながら長い髪をドライヤーで乾かして、
お気に入りの香水をつけた後すぐに
黒いスーツと赤いネクタイでバッチリと決めた彰がリビングで見たものは……
身長150センチの小さな実写版シンデレラではなくて
『彰さんへ』と書かれた可愛らしい封筒と、
なにやらキラキラと光る小さなアクセサリー『だけ』と言う残酷な現実だったから
いくらなんでも突然すぎる『こんな別れ』が信じられない彰は勿論、この直後
「…恵さん?どこにいるんですか?」と震える声で
誰も居ないロイヤルスイートのリビングとベッドルームを一人で歩いた後すぐに
星を見るのが大好きだった恵を思い出しながら、急いでテラスに向かったが
「ねぇ恵さん……
かくれんぼは家に帰ってからにしませんか?」
と彰の声だけが虚しく響き渡る無人のテラスに可愛い恵は居なかったので、
がっくりと肩を落とした彰は真っ青な表情でリビングに戻ってソファーに座り……
そして とてつもなくイヤな予感に包まれながらも
『彰さんへ』と書かれた可愛らしい封筒を開ける事しか出来なかったから
ドキドキしながらピンクの封筒を開いてみたけれど、
可愛い封筒の中には……
☆☆☆☆☆
『こんばんは彰さん、えっとシャンプーお疲れさまでした。
長い髪はシャンプーをドバドバ使うので、洗っている時に思わず発狂したくなるし
ドライヤーでガーガー乾かすのに時間も掛かるから大変ですね?
と言う事で早速今から本題に入りますが、
今日は色々とお世話をしてくれて本当にありがとうございました。
もしもニュータイプの彰さんに出逢う事が出来なかったら、
レッドレトリバー参上の鞄を盗んだ犯人の居場所が分からない私は今頃 絶対 確実に、
路頭に迷って華麗なホームレスになっていたと思います。
そして何よりも、今日ここで彰さんと初体験をする事が出来なかったら
きっと私は一生ずっと永遠に、ユニコーンが大好きな処女のままだったと思います。
なので今日はファイナル的な処女の視点で、私が一人でトットと帰った訳を書かせて下さいね。
えっと私が勝手に退場した理由はそのぉ、早い話が彰さんが既婚者だから、です。
きっと彰さんは鬼嫁が怖くて、そして鬼嫁から逃げる為に私を囲う的な発言をしたと思うけど、
やはり不倫は田舎も都会も関係なく、男女がシバきあいをする恐ろしい文化なので辞めましょうね。
では最後になりますが、龍崎コーポの副社長を頑張って下さい。
早く部屋が満室になるといいですね。脳内秘書の村上さんにも宜しくお伝え下さい。
それと今日のお礼に、私の宝物を彰さんにプレゼントしますから
処女のついでにコレも貰ってくれると嬉しいです。じゃあこれで私は失礼しますが、
彰さんと鬼嫁さんの幸せを、草場の影から沢山いっぱい祈っています 星野恵より』
と訳の分からない事が書かれた可愛らしい手紙と
恵からのプレゼントである、ガラス玉のブレスレットが置いてあったので、
思わず彰は480円の値札が付いたままの粗末なブレスレットを手に取って……
「これは…ガラス玉のブレスレットなのか?
なぁ恵…お前は本物のシンデレラだったんだね?ちょっとバカだけど、フフフッ…」
て感じの独り言を呟きながらも
恵が飲んでいたウーロン茶の残りを一気に飲み干した後すぐに
黒いスーツのポケットからスマホを出して
(まぁ確かに今日はお互い、色々と大変だったけど、
でもそんな事よりも せっかく俺から逃げたのに、残念だったね恵さん。
だって俺は こう見えてもね?龍崎財閥の副社長をやっている男だから、
春川村出身の恵を探し出す位の事は、二日もあれば簡単に出来るんだよ?)
こうしてメッチャ余裕な態度で細い煙草に火を付けながら、
キラキラと輝くガラスのブレスレットを落としたシンデレラを追い掛ける為に、
善は急げとこのままの勢いで、超有名な調査会社に明るい声で電話を掛けていた。
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