2 / 59
正義のヒーロー星野恵
しおりを挟む
世界中の誰よりも、強くて優しいヒーローは
いつの時代も弱い子供を助ける為に、ドコからともなく現れて
*****
「悪の軍団プー太郎ギルドよ!たけし君から手を放せ!」
「なっ!?どうしてココが分かったんだ?レッドレトリバー!」
「それはたけし君の強い心が俺達と共鳴して
犬猫戦隊わんにゃんジャーをココに呼んだのさ?
それじゃあ行くぞ プー太郎ギルド!犬猫ハリケーンキーック!」
と毎週必ずご丁寧に必殺技の名前を叫びながら
痛快な処刑用BGMが流れる中で、悪い怪人をボッコボコにしてくれるので
保育園の頃から正義のヒーローに憧れていた星野恵は
今日も元気にテレビの前で、大きな瞳をキラキラと輝かせながら
(行っけぇ~、レッドレトリバー!ブルースコティッシュも頑張れー!
全員無職でニートのくせに、世界征服を企んでいるプー太郎ギルドなんて、
み~んな まとめてハリケーンキックで、一気にサッサとやっつけちゃえーー!)
て感じでノリノリになって、世界中の誰よりもカッコいい、
無敵のレッドレトリバーに向かって熱い声援を贈っていたけれど
毎週欠かさずこの番組を見ている恵は、毎回必ずハイテンションになってしまうから
「ねぇねぇ、お婆ちゃん。
さっきの犬猫ハリケーンキック……
いっぱい練習をしたら私にも出来るかなぁ?
でも空中回転をする為には やっぱり まずは体力だよね~?」
と毎週必ずお婆ちゃんにウザがらみをした後で
誰が考えても難易度Sクラスの空中回転キックを会得する為に、
(じゃあ今日は裏山を走ろうかな?
時々反復横跳びを入れながら、壁キックと三角飛びの練習も兼ねて!)
こうして今日も
世界で一番強くて優しい、本物のヒーローになれる日を夢に見て
「じゃあお婆ちゃん、今から ちょっくら、ロードワークに行ってきまーす!」
とウキウキしながらお墓だらけの残念な山を一人で走り回っていたのだが
*****
無理ゲーすぎる必殺技の研究と、
ロッキーみたいな熱い筋トレに明け暮れていた小学校時代が過ぎて
そして毎日がプロレスざんまいだった楽しすぎる春川中学校を卒業した日の夜に、
めっちゃボロい自宅の縁側でチョコンと座って、
キラキラと輝く大きな満月を眺めていた恵は ふと……
(さてとー…お婆ちゃんは今日も8時で寝ちゃったし、
ヒーロー研究会のメンバー達はみんな家族で駅前のレストランに行ったから、
私も今夜はちょっと贅沢をして、今から一人で卒業祝いのジュースを飲む事にしようかな~)
て感じの ちょっぴり寂しい……
貧乏的な卒業祝いのアイデアを思い付いたから
善は急げと自転車に乗った貧しいシンデレラの恵はこのままの勢いで
爽やかな春の夜風に吹かれながら、とっても貴重な100円玉を握りしめて、
大好きなレモネードを買う為に、近所のオンボロ自販機へと向かったが
今日もシーンと静まり返った無人の自販機に到着したその瞬間……!
(…えっ?何あれー?赤い子犬?)
なんと、恵は自分の瞳でハッキリと、
自販機の隣に置かれている、お年寄り専用ベンチの上で
キラキラと輝く赤い子犬が座っている姿をバッチリと見てしまった。
いつの時代も弱い子供を助ける為に、ドコからともなく現れて
*****
「悪の軍団プー太郎ギルドよ!たけし君から手を放せ!」
「なっ!?どうしてココが分かったんだ?レッドレトリバー!」
「それはたけし君の強い心が俺達と共鳴して
犬猫戦隊わんにゃんジャーをココに呼んだのさ?
それじゃあ行くぞ プー太郎ギルド!犬猫ハリケーンキーック!」
と毎週必ずご丁寧に必殺技の名前を叫びながら
痛快な処刑用BGMが流れる中で、悪い怪人をボッコボコにしてくれるので
保育園の頃から正義のヒーローに憧れていた星野恵は
今日も元気にテレビの前で、大きな瞳をキラキラと輝かせながら
(行っけぇ~、レッドレトリバー!ブルースコティッシュも頑張れー!
全員無職でニートのくせに、世界征服を企んでいるプー太郎ギルドなんて、
み~んな まとめてハリケーンキックで、一気にサッサとやっつけちゃえーー!)
て感じでノリノリになって、世界中の誰よりもカッコいい、
無敵のレッドレトリバーに向かって熱い声援を贈っていたけれど
毎週欠かさずこの番組を見ている恵は、毎回必ずハイテンションになってしまうから
「ねぇねぇ、お婆ちゃん。
さっきの犬猫ハリケーンキック……
いっぱい練習をしたら私にも出来るかなぁ?
でも空中回転をする為には やっぱり まずは体力だよね~?」
と毎週必ずお婆ちゃんにウザがらみをした後で
誰が考えても難易度Sクラスの空中回転キックを会得する為に、
(じゃあ今日は裏山を走ろうかな?
時々反復横跳びを入れながら、壁キックと三角飛びの練習も兼ねて!)
こうして今日も
世界で一番強くて優しい、本物のヒーローになれる日を夢に見て
「じゃあお婆ちゃん、今から ちょっくら、ロードワークに行ってきまーす!」
とウキウキしながらお墓だらけの残念な山を一人で走り回っていたのだが
*****
無理ゲーすぎる必殺技の研究と、
ロッキーみたいな熱い筋トレに明け暮れていた小学校時代が過ぎて
そして毎日がプロレスざんまいだった楽しすぎる春川中学校を卒業した日の夜に、
めっちゃボロい自宅の縁側でチョコンと座って、
キラキラと輝く大きな満月を眺めていた恵は ふと……
(さてとー…お婆ちゃんは今日も8時で寝ちゃったし、
ヒーロー研究会のメンバー達はみんな家族で駅前のレストランに行ったから、
私も今夜はちょっと贅沢をして、今から一人で卒業祝いのジュースを飲む事にしようかな~)
て感じの ちょっぴり寂しい……
貧乏的な卒業祝いのアイデアを思い付いたから
善は急げと自転車に乗った貧しいシンデレラの恵はこのままの勢いで
爽やかな春の夜風に吹かれながら、とっても貴重な100円玉を握りしめて、
大好きなレモネードを買う為に、近所のオンボロ自販機へと向かったが
今日もシーンと静まり返った無人の自販機に到着したその瞬間……!
(…えっ?何あれー?赤い子犬?)
なんと、恵は自分の瞳でハッキリと、
自販機の隣に置かれている、お年寄り専用ベンチの上で
キラキラと輝く赤い子犬が座っている姿をバッチリと見てしまった。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
「聖女など不要」と言われて怒った聖女が一週間祈ることをやめた結果→
-
恋愛
国を守護する力を宿した、聖女のルイーゼ。
彼女は毎日祈りを捧げることで、
魔物に力を与える「魔窟」を封印しているのだ。
けれど長らく平和が続き、
巷では聖女などもはや不要だという空気が蔓延していた。
そんなある日、ルイーゼは王子であるニックに呼び出され「キミ、聖女やめていいよ」と言い渡されてしまう。
ルイーゼがいくらその必要性を訴えても、ニックは聞く耳を持たない。
ならばと、ルイーゼは一週間祈ることをやめ、聖女の力を証明しようと決意。
するとさっそく、不穏な出来事が頻発し始めて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる