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少年期
校外学習前日
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交渉から一週間以上が経過し、いよいよ明日からは校外学習となる。
放課後の教室にて俺達は、先生であるエリゼから改めて説明を受けていた。
「はい、皆さん。明日から校外学習となります。前から言っていた通り、北にある森の方に行くことになります。さて、実際に明日から何をするか確認です……夕方までで良いので、ハロルド君に答えてもらいましょう」
「は、はい! まずは明日の明朝に校門に集合し、そこで点呼を取ること。それが済んだ者から、指定の馬車に乗り込み護衛と共に森に向かいます。森に着いたらテントの設置や食料調達、昼過ぎからオリエンテーションなどを行い、夕方頃から食事の準備をします」
エリゼの問いに、ハロルド様がハキハキと答えた。
こう言う時は大体、ハロルド様かルナに指名したりする。
二人共人見知りで緊張しいみたいだから。
俺とガイ君は、割と平気だしね。
「はい、よく出来ました。なので、遅刻は厳禁ですから。それも試験の結果に影響しますからね。ちなみに夕食後は、各自自由時間となります。その日は泊まって、翌日の昼頃に王都に帰還する予定になってます。何か、質問がある人は?」
「はい、先生」
俺は手を挙げると、エリゼが視線を向けてくる。
「何でしょうか、アレス君」
「戦闘鍛錬とありますが、それは実戦ということでしょうか?」
「いえ、あくまでも見学という形になるかと。本来なら、実戦を積むような年齢ではありませんから……誰かと違って」
「はは……そうなんですね」
……そっか、忘れそうになるけどそうだよね。
八歳の子供が実戦をする方が珍しい……今思うと、俺ってば実家で相当無茶をしていたんだなぁ。
あの時は、自分が早く役に立たなきゃと必死だった。
みんなには心配かけただろうなぁ……そういえば、元気にしてるかな?
手紙は送ったけど、結局夏季休暇も実家に帰らなかったし。
「ですが、皆さんはSクラスです。軽い戦闘訓練くらいならあるかもしれないですね」
「……冒険者の方と稽古できたり?」
「その可能性もあるかと」
「なるほど……ありがとうございます」
よしよし、それなら魔法が使える人もあるはず。
エリゼは凄すぎて、比較対象にし辛いし。
「いえいえ。他には質問はありますか? ……なさそうですね。それでは、今日は終わりにしましょう。明日は、遅刻しないように」
「「「「はい!」」」」
俺達が元気よく返事をすると、エリゼが教室から出て行く。
当然、俺達がすぐに帰るわけもなく……自然と四人で集まり明日の話になる。
そんな中、ハロルド様とルナが不安そうな表情を浮かべていた。
「い、いよいよか……緊張するなぁ」
「わ、わかりますぅ……わたしもドキドキしてます」
「そ、そうだよね! この二人がおかしいよね?」
「そうですよ! 全然、いつも通りですし!」
すると、ハロルド様とルナは二人して俺達を見てくる。
確かに二人と違って、俺達は落ち着いていた。
どうでもいいけど、この二人も随分と仲良くなったね。
というか、タイプ的には似ているのかもしれない。
「いえいえ、僕は戦闘経験がありますから。それに、王都まで野営しながらきましたし。そういえば、ガイ君はあるのかな?」
「俺だって実戦経験くらいある!」
「そっか、それなら緊張もしないわけだ。それじゃ、明日は頼りにしてるからね」
「ぐっ……だから気に食わんのだ」
あれー? おかしいぞー?
どうして、俺は睨まれているのだろう。
すると、それを見ていた二人が笑い出す。
「あはは! ガイってば、対抗心燃やしたのに躱されちゃった!」
「ハ、ハロルド様!」
「ふふ、アレク君はそういうのに関心ないもんね」
「わ、わかってる! ええい、俺が馬鹿みたいではないか……俺も頼りにしてるからな」
そう言い、ガイ君が俺の背中を軽く叩く。
こんな感じで仲良くなってきたし、明日からの校外学習でもっと絆が深まるといいな。
放課後の教室にて俺達は、先生であるエリゼから改めて説明を受けていた。
「はい、皆さん。明日から校外学習となります。前から言っていた通り、北にある森の方に行くことになります。さて、実際に明日から何をするか確認です……夕方までで良いので、ハロルド君に答えてもらいましょう」
「は、はい! まずは明日の明朝に校門に集合し、そこで点呼を取ること。それが済んだ者から、指定の馬車に乗り込み護衛と共に森に向かいます。森に着いたらテントの設置や食料調達、昼過ぎからオリエンテーションなどを行い、夕方頃から食事の準備をします」
エリゼの問いに、ハロルド様がハキハキと答えた。
こう言う時は大体、ハロルド様かルナに指名したりする。
二人共人見知りで緊張しいみたいだから。
俺とガイ君は、割と平気だしね。
「はい、よく出来ました。なので、遅刻は厳禁ですから。それも試験の結果に影響しますからね。ちなみに夕食後は、各自自由時間となります。その日は泊まって、翌日の昼頃に王都に帰還する予定になってます。何か、質問がある人は?」
「はい、先生」
俺は手を挙げると、エリゼが視線を向けてくる。
「何でしょうか、アレス君」
「戦闘鍛錬とありますが、それは実戦ということでしょうか?」
「いえ、あくまでも見学という形になるかと。本来なら、実戦を積むような年齢ではありませんから……誰かと違って」
「はは……そうなんですね」
……そっか、忘れそうになるけどそうだよね。
八歳の子供が実戦をする方が珍しい……今思うと、俺ってば実家で相当無茶をしていたんだなぁ。
あの時は、自分が早く役に立たなきゃと必死だった。
みんなには心配かけただろうなぁ……そういえば、元気にしてるかな?
手紙は送ったけど、結局夏季休暇も実家に帰らなかったし。
「ですが、皆さんはSクラスです。軽い戦闘訓練くらいならあるかもしれないですね」
「……冒険者の方と稽古できたり?」
「その可能性もあるかと」
「なるほど……ありがとうございます」
よしよし、それなら魔法が使える人もあるはず。
エリゼは凄すぎて、比較対象にし辛いし。
「いえいえ。他には質問はありますか? ……なさそうですね。それでは、今日は終わりにしましょう。明日は、遅刻しないように」
「「「「はい!」」」」
俺達が元気よく返事をすると、エリゼが教室から出て行く。
当然、俺達がすぐに帰るわけもなく……自然と四人で集まり明日の話になる。
そんな中、ハロルド様とルナが不安そうな表情を浮かべていた。
「い、いよいよか……緊張するなぁ」
「わ、わかりますぅ……わたしもドキドキしてます」
「そ、そうだよね! この二人がおかしいよね?」
「そうですよ! 全然、いつも通りですし!」
すると、ハロルド様とルナは二人して俺達を見てくる。
確かに二人と違って、俺達は落ち着いていた。
どうでもいいけど、この二人も随分と仲良くなったね。
というか、タイプ的には似ているのかもしれない。
「いえいえ、僕は戦闘経験がありますから。それに、王都まで野営しながらきましたし。そういえば、ガイ君はあるのかな?」
「俺だって実戦経験くらいある!」
「そっか、それなら緊張もしないわけだ。それじゃ、明日は頼りにしてるからね」
「ぐっ……だから気に食わんのだ」
あれー? おかしいぞー?
どうして、俺は睨まれているのだろう。
すると、それを見ていた二人が笑い出す。
「あはは! ガイってば、対抗心燃やしたのに躱されちゃった!」
「ハ、ハロルド様!」
「ふふ、アレク君はそういうのに関心ないもんね」
「わ、わかってる! ええい、俺が馬鹿みたいではないか……俺も頼りにしてるからな」
そう言い、ガイ君が俺の背中を軽く叩く。
こんな感じで仲良くなってきたし、明日からの校外学習でもっと絆が深まるといいな。
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