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少年期
試食会
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商談はエリゼに任せ、俺はかき氷の準備をする。
ロバートさんが用意してくれた器の上に手をかざし、かき氷用の氷を放つ。
き
サラサラとした、いわゆるふわふわタイプの氷が器に入っていく。
「ワフッ!」
「相変わらず綺麗ね!」
二人はそれを、間近で見て楽しんでいる。
確かに綺麗だよね……そういや、氷のショーとかしたらお金稼げるかな?
あぁー! もっと魔力があったら色々できるのに!
それこそ、雪とかも作ってみたい。
「ぐぬぬ……」
「どうしたの?」
「いや、もっと魔力があったらって思ってさ」
「言っておくけど、アレスは異常よ? 既に、一般的な魔法使いよりも魔力が多いもの。そもそも、こんな贅沢な使い方はしないわ」
その辺りのことは、エリゼからも聞いていた。
俺の魔力は多く、既に一定の域に達していると。
ただ俺自身、普通の魔法使いを知らないのでなんとも言えない。
「そうらしいけどね。早いところ冒険者になって、その辺りのことも知りたいかな」
「うーん……あっ! 校外学習があるじゃない!」
「ん? それがどうかしたの?」
「確か、冒険者を護衛として雇うそうよ。野営のやり方とか、森での行動とかは軍人より慣れてるもの」
「なるほど……うん、道理だね」
それに、皇帝陛下は冒険者を推奨している。
というより、地位を向上させたいのかなと。
だったら、俺達にその姿を見せるのは有効だ。
何故なら、俺達が将来の官僚や貴族になる可能性が高いからだ。
「そしたら、きっと魔法使いの人もいると思うわ」
「ふむふむ、それは確かに。そしたら、その人の戦い方とか見れたらいいな」
「それは難しいんじゃない? 私達はあくまでも護衛される側で、ただ森でキャンプをする経験をするってだけだし」
「そっか、そもそも戦闘が起こったらまずいのか」
当然、ハロルド様もいるし。
忘れそうになるけど、アイラは王女様だ。
「まあ、話を聞くだけでもいいんじゃない?」
「そうだね、それで我慢しとく……さて、できたね」
そうこう話してる間に、五人分のカキ氷ができる。
後はエリゼに持たせていた、イチゴのシロップをかければ完成だ。
そのうち、メロン味とか色々な味も作りたいな。
「できたわね! 早く早く!」
「ワフッ!」
「はいはい、わかったよ。エリゼ、ロバートさん、試食にしましょう」
二人は商談を中断し、全員でカキ氷を食べる。
「はむはむ……これよこれ! 頭がキーンてなる!」
「キャウン!」
アイラとランは大はしゃぎである。
やっぱり、子供に大人気なのはどの世界でも変わらないらしい。
もちろん、この世界に至っては大人すら魅了する。
「ふふ、相変わらず美味しいですね」
「はぁ……たまりませんな。これを風呂上がりなどに食べた日には……」
「あっ、良いですね。お風呂の横で売ったら、結構人気出ますかね? 後は、仕事上がりの冒険者や商人さんなど」
前の世界でも仕事上がりや、風呂上がりのアイスの旨さは格別だった。
本当ならアイスも作りたいけど、あれは今のところ難しい。
牛乳自体が貴重だし、そもそも前の世界と違って家畜化されてない。
今のところあるのは、馬や羊といった長年にわたって家畜化された魔獣くらいだ。
「間違いないですな! ほほ、売り出す場所についても考えなくては」
「まあ、その辺りはお任せしますね」
「いえいえ、是非アレス様の意見も聞かせてくださいませ」
「では、思いついたらお知らせしますね」
そう言えば、この世界にはお風呂はあってもプールはない。
そもそも、水が貴重なモノだ。
お風呂ですら、一部の富裕層しか入れないのに、プールなんて以ての外だろう。
「アレス様? その顔は、何か考えておりますな?」
「あっ、わかっちゃいました?」
「ええ、これでもギルドマスターですから」
「はは……まあ、まとまったらお伝えします」
その後、商談を終え、俺たちは買い物を済ませた。
プールか……流石に作るのにはお金がかかるし、そもそも場所がない。
実家の領地なら、場所だけはあるけど……もしくは、自分で土地を買うしかないかな。
まあ、当分先の話になるだろうけどね。
ロバートさんが用意してくれた器の上に手をかざし、かき氷用の氷を放つ。
き
サラサラとした、いわゆるふわふわタイプの氷が器に入っていく。
「ワフッ!」
「相変わらず綺麗ね!」
二人はそれを、間近で見て楽しんでいる。
確かに綺麗だよね……そういや、氷のショーとかしたらお金稼げるかな?
あぁー! もっと魔力があったら色々できるのに!
それこそ、雪とかも作ってみたい。
「ぐぬぬ……」
「どうしたの?」
「いや、もっと魔力があったらって思ってさ」
「言っておくけど、アレスは異常よ? 既に、一般的な魔法使いよりも魔力が多いもの。そもそも、こんな贅沢な使い方はしないわ」
その辺りのことは、エリゼからも聞いていた。
俺の魔力は多く、既に一定の域に達していると。
ただ俺自身、普通の魔法使いを知らないのでなんとも言えない。
「そうらしいけどね。早いところ冒険者になって、その辺りのことも知りたいかな」
「うーん……あっ! 校外学習があるじゃない!」
「ん? それがどうかしたの?」
「確か、冒険者を護衛として雇うそうよ。野営のやり方とか、森での行動とかは軍人より慣れてるもの」
「なるほど……うん、道理だね」
それに、皇帝陛下は冒険者を推奨している。
というより、地位を向上させたいのかなと。
だったら、俺達にその姿を見せるのは有効だ。
何故なら、俺達が将来の官僚や貴族になる可能性が高いからだ。
「そしたら、きっと魔法使いの人もいると思うわ」
「ふむふむ、それは確かに。そしたら、その人の戦い方とか見れたらいいな」
「それは難しいんじゃない? 私達はあくまでも護衛される側で、ただ森でキャンプをする経験をするってだけだし」
「そっか、そもそも戦闘が起こったらまずいのか」
当然、ハロルド様もいるし。
忘れそうになるけど、アイラは王女様だ。
「まあ、話を聞くだけでもいいんじゃない?」
「そうだね、それで我慢しとく……さて、できたね」
そうこう話してる間に、五人分のカキ氷ができる。
後はエリゼに持たせていた、イチゴのシロップをかければ完成だ。
そのうち、メロン味とか色々な味も作りたいな。
「できたわね! 早く早く!」
「ワフッ!」
「はいはい、わかったよ。エリゼ、ロバートさん、試食にしましょう」
二人は商談を中断し、全員でカキ氷を食べる。
「はむはむ……これよこれ! 頭がキーンてなる!」
「キャウン!」
アイラとランは大はしゃぎである。
やっぱり、子供に大人気なのはどの世界でも変わらないらしい。
もちろん、この世界に至っては大人すら魅了する。
「ふふ、相変わらず美味しいですね」
「はぁ……たまりませんな。これを風呂上がりなどに食べた日には……」
「あっ、良いですね。お風呂の横で売ったら、結構人気出ますかね? 後は、仕事上がりの冒険者や商人さんなど」
前の世界でも仕事上がりや、風呂上がりのアイスの旨さは格別だった。
本当ならアイスも作りたいけど、あれは今のところ難しい。
牛乳自体が貴重だし、そもそも前の世界と違って家畜化されてない。
今のところあるのは、馬や羊といった長年にわたって家畜化された魔獣くらいだ。
「間違いないですな! ほほ、売り出す場所についても考えなくては」
「まあ、その辺りはお任せしますね」
「いえいえ、是非アレス様の意見も聞かせてくださいませ」
「では、思いついたらお知らせしますね」
そう言えば、この世界にはお風呂はあってもプールはない。
そもそも、水が貴重なモノだ。
お風呂ですら、一部の富裕層しか入れないのに、プールなんて以ての外だろう。
「アレス様? その顔は、何か考えておりますな?」
「あっ、わかっちゃいました?」
「ええ、これでもギルドマスターですから」
「はは……まあ、まとまったらお伝えします」
その後、商談を終え、俺たちは買い物を済ませた。
プールか……流石に作るのにはお金がかかるし、そもそも場所がない。
実家の領地なら、場所だけはあるけど……もしくは、自分で土地を買うしかないかな。
まあ、当分先の話になるだろうけどね。
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