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冬馬君は自重……

冬馬君は応援団の練習をする

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 今日から10月に入った。

 いよいよ、応援団の練習日がやってきた。

 体育祭はあと二週間後なので、結構ハードな練習らしい。

「ガハハ!冬馬!珍しいな!」

「剛真か……そりゃ、いるわな。だが、安心でもある。素人なものでな、よろしく頼む」

「おう!任せておけ!」

「おい、剛真さんにタメ口聞いてんの誰だ?そんな気合いの入った奴いたか?」

「例のアレだよ、清水さんの彼氏って……」

「あっ!あれ!?なんか違くないか!?」

 ……うむ……何処かで、ビシッと決める必要があるな。
 綾に余計な虫が寄ってこないように……。

 そして、練習が始まる。

「イチ!ニ!サン!そこで突き!右に回って突き!足を上げて、後ろ回し蹴り!」

 剛真が応援団長のようだ……二年生なのに。
 しかも、三年生から敬語だし。
 相変わらずだな……中学でもそうだったな。

 すると、チアガールの子達も体育館へやってきた。

「冬馬君ーー!!カッコいいよーー!!」

「冬馬ーー!!愛してるーー!!」

「飛鳥ちゃん!?ダメ!!わ、私だって……あ、あ、あぅぅ……!」

「私の勝ちー!綾ちゃん、言えないのー?」

「飛鳥、やめなさい。目の保養になるけど、可哀想だわ」

 綾と飛鳥に、小百合までいるのか……。
 ていうか、いつの間に仲良くなった?
 やはり、コミュ力がハンパない奴らだ……。

「おい!?運動部のアイドルと、学校のマドンナと、女王がいるぞ!?」

「なんて、レアショットだ!目の保養だ!」

「チアガールやるのか?ウォォーー!!」

「「「ウォォォーーー!!!」」」

 ……あいつ、女王なんて呼ばれているのか。
 そして、やはり目を潰していくべきか……?

 そして練習続けたあと、一度休憩に入る。

 すると、着替えた女の子たちがやってくる。

「ウォォーー!!応援団で良かったーー!!」

「これのために入ったんだよーー!!」

「今年は当たり年だーー!!」

 綾は恥ずかしそうに、こちらへとやってくる。
 俺は声も出ず、じっと見つめてしまう……。
 ポニテに、チアガールの姿……長い手足が眩しい……。
 端的に言うと……どストライクすぎるーー!!

「と、冬馬君……どうかな……?」

「綾、愛している」

「ふぇ?……えぇーー!?あの、その……はぅ……」

 ……今すぐ、ベットインしたい。

「はい!馬鹿2人!いい加減にしなさい!」

「よう、女王」

「冬馬……死にたいのかしら?」

「いえ!すみませんでした!」

「全く!その辺は変わらずのようね。綾さん?」

「ど、どうしよう?あ、愛してるって言われちゃった……!でも、でも、まだ学生だし……」

「……ほら、アンタが不用意な発言するから」

「仕方ないだろう、綾が可愛すぎるんだよ」

「……否定はできないわね」

「……お前も、相変わらずだな」

「冬馬ーー!!あたしは!?」

「さて、練習、練習っと」

「コラーー!!」

 俺は、練習に戻るのであった。   



 チアガールの練習も始まったのだが……。

「ウォォ……!生きてて良かった!!」

「た、たまらん!」

 殺すか?
 いやいや!それはダメだ!
 だが、これはよろしくない。
 これでは、双方の練習に身が入らない。

「剛真!!」

「おう!許可する!」

 俺は応援団の前に出る。

「な、なんだよ!?」

「み、見るくらいいいだろ!?」

「お、お前はアレコレできるんだろ!?」

「アレコレしてねーよ!!したいがな!て、そうじゃない!」
 
 ……息を吸い込む!

「聞けぇ!!男ども!!」

「ヒィ!?」

「うわぁ!?」

「いいか!?ここで、きちんと練習してカッコいいところを見せれば……」

「み、見せれば……?」

「俺みたいに、可愛い彼女ができるかもしれないぞーー!!」

 もちろん、綾以上に可愛い子はいないがな。

「な、なにーー!?」

「そ、そうなのかーー!?」

「や、やるぞ!!俺はやる!!」

「「「ウォォォーーー!!!」」」

 ……うむ、これでよし。
 俺は嘘はついていない。
 あくまでも、かもしれないだからな。

 その後は、真面目に練習に励む。

 余所見をした奴は、剛真が始末……鉄槌を下した。

  その途中でトイレに行き、出てみると、綾が水道水を飲んでいた。

 ……どうして、アレってエロく見えるのだろうか?

「あっ!冬馬君!」

「おう、休憩か。頑張ってるな」

「うん!楽しいよ!そ、それに、冬馬君が守ってくれたもん……その、さっきの聞いてたの……と、冬馬君なら、嫌じゃないから!あぅぅ……!」

「そ、そうか……」

 これはアレだ……ダメだ、アレだ。
 すると、綾が近づいてくる。
 そして、頬にキスをする。

「おわっ!?」

「エヘヘ、この間のお返し!」

 そう言い残し、綾は体育館へ戻っていった……。

 ……やばいな、ヤバイぞ……!

 付き合って二ヶ月か……いや、過ぎたから良いってことではないが……。

 でも、嫌じゃないって……どこまでの話だ?

 ……それを聞いてはいけないことぐらいはわかる。

 ……ただ、男と女では色々と違うだろう。

 もし、綾から拒絶されたら……俺は立ち直れる自信がない……。

 これは恥をしのんで、誰かに相談をすべきかもしれないな。

 ……ハァ、アイツしかいないか……不本意だがな。
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