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森の中へ
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ポール殿の言う通り、北に行くと村を発見する。
そこで一泊してから、情報を元に更に北に向かって行く。
その風は冷たく、慣れてない俺たちにとっては厳しい寒さだ。
ちなみに、ここに来るまで領地を出てから二日が経っていた。
「この感じだと村々が連携を取れないのも無理はないか」
「まず、寒さによって行動自体が遅れますからねー。我々はご主人様がいるから、まだ良いですけど。これもないとなると、中々厳しいですね」
「皮肉なことに、そのおかげで都市からの簒奪も限られていたってことか」
「だから、思ったよりも生き残りがいたっぽいですねー。というか、意外と逞しいっていうか。そのおかげか、村とかでは種族的な差別はなかったみたいです」
「お互いに助けあわないと生きていけなかったのだろう。そして、それに文句を言いにいったつかまったのが牢屋にいた者たちってわけだ」
振り返ると、獣人達が頷く。
どうやら、大体合っているらしい。
というか、この狼獣人達全然話さなくない?
ずっと真面目な顔して、馬に乗った俺についてくるし。
「コンッ!」
「ん? どうし……森かっ!」
「見えてきましたね!」
「馬のスピードを落とせ! 森の中には凶悪な魔物や魔獣がいる可能性がある!」
そこから慎重に動き、森の近くにある小さな小屋を見つけた。
これはさっきの村で教えられた場所だ。
昔、狩人の人が使っていたらしい。
「ここは任せた。二人を連れて行くので、残りは馬を見つつ木を切ってくれ」
「はっ! かしこまりました! お気をつけて!」
「う、うむ。ちなみに、危険な魔物や魔獣が出たら遠慮なく逃げろ」
「いえ! そういうわけにはいきません! 我らがボスであるカリオンさんの主人様なので!」
「あの方は我々のために足をなくしたのです! あの方を救って下さったことに感謝しております!」
「わ、わかった、わかったから……では、そうならないように早く行ってくる」
五人いた狼獣人のうち三人を残し、俺は森へと入って行く。
今回はあくまでも木がメインなので、下見といったところだ。
「ったく、獣人っていうのはああなのか?」
「種族にもよりますけどね。ただ狼獣人は仲間意識と群れの長によって動きますから。それを救ってくれたご主人様に感謝するのはおかしくないです」
「なるほど……とりあえず、警戒を頼む」
「「「はっ!」」」
「フーコもな?」
「コンッ!」
彼らを連れてきたのは簡単な理由だ。
力もそうだが、聴覚や視覚に優れている。
実力で負けることはないと思うが、森の中では不意打ちが怖い。
「コンッ!」
「何か来ますっ!」
獣人とフーコの声に俺とユキノが構えると、すぐにコボルトの群れがやってきた。
コボルト、それは犬のような顔に人の体型に近い姿をしている。
群れて行動して、鋭い爪と牙が特徴だ。
獣人達が迫害されてた歴史の背景には、こういった理由もある。
「オンッ!」
「アオーン!」
「ユキノ! 森の中では火は使えない! 後ろは任せた!」
「役立たずですもんね!」
「役立たずいうなっ! お前達は三人で輪を作って近づいてくる相手を倒せ!」
「「「はっ!」」」
忠実な彼らは、三人で円を作って対処する。
俺は刀を構えて迫ってきた相手を斬り捨て、ユキノは俺の背中を守って鉤爪を駆使して敵を切り裂く。
フーコは縦横無尽に駆け回り、爪で敵を切り裂いて行く。
そして、数十体倒したところで……ようやく収まる。
「ふぅ、怪我はないか?」
「私は平気ですよー」
「コンッ!」
獣人達も無事だったので、そのまま奥へと進んでいくが……。
「今度はオークか!」
「ご主人様! 右からコボルト来ます!」
「コンッ!」
「くっ! おいおい、森に入ったばかりだというのに」
先程から少し進むたびに魔物に襲われている。
時折魔獣も見かけるが、ほとんどが死骸だ。
おそらく、こいつらにやられたのだろう。
「俺がオークどもをやる! ユキノはコボルトを! フーコは獣人達と一緒に!」
「はいはーい!」
「コンッ!」
俺は刀を鞘に収め、その時を待つ。
「フゴッ!」
「ブヒヒ!」
前からやってくるオークがよだれを垂らしながら向かってくる。
こんなのをユキノに近づけるのは嫌である。
なにせ、こいつらは女性の敵だ。
こいつらは特に女性を陵辱することを好む。
「フゴッ!」
「俺の間合いに入ったな——千人乱舞」
刀を振り抜き、縦横無尽に走らせる。
それは間合いに入った全ての魔物を狩りつくす。
「ふぅ、こんなものか。錆び付いていた腕も戻ってきたか」
「ご主人様ー! こっちも片付きました!」
「コンッ!」
魔物が収まったので、ひとまず合流して話し合いをする。
「いくら下級の魔物とはいえ数が多いですねー。もしかしたら、ダンジョンか鉱脈が奥にあるんじゃないですか?」
「なるほど、その可能性はあるな。だとしたら好都合でもある。魔石も手に入るし、特殊な物も手に入るだろう。最悪、鉱脈でもいい」
「そうですね、どちらにしろ私達だけじゃ厳しいです。きちんとした魔法使いと弓使いとかいないと」
「おい、きちんとを強調するな。ここにきちんとした……火属性と森は相性が悪い」
「まあ、仕方がないですね。とにかく、ダンジョンがあるという前提で動きます?」
「ああ、そうしよう」
突如現れるダンジョンからは、魔物が溢れてくる。
対処法としては最初の時点で魔物を押し込むのだが、なかなか人の入らない場所にできると厄介である。
俺達は一度都市に戻ってから対策を練ることにした。
そこで一泊してから、情報を元に更に北に向かって行く。
その風は冷たく、慣れてない俺たちにとっては厳しい寒さだ。
ちなみに、ここに来るまで領地を出てから二日が経っていた。
「この感じだと村々が連携を取れないのも無理はないか」
「まず、寒さによって行動自体が遅れますからねー。我々はご主人様がいるから、まだ良いですけど。これもないとなると、中々厳しいですね」
「皮肉なことに、そのおかげで都市からの簒奪も限られていたってことか」
「だから、思ったよりも生き残りがいたっぽいですねー。というか、意外と逞しいっていうか。そのおかげか、村とかでは種族的な差別はなかったみたいです」
「お互いに助けあわないと生きていけなかったのだろう。そして、それに文句を言いにいったつかまったのが牢屋にいた者たちってわけだ」
振り返ると、獣人達が頷く。
どうやら、大体合っているらしい。
というか、この狼獣人達全然話さなくない?
ずっと真面目な顔して、馬に乗った俺についてくるし。
「コンッ!」
「ん? どうし……森かっ!」
「見えてきましたね!」
「馬のスピードを落とせ! 森の中には凶悪な魔物や魔獣がいる可能性がある!」
そこから慎重に動き、森の近くにある小さな小屋を見つけた。
これはさっきの村で教えられた場所だ。
昔、狩人の人が使っていたらしい。
「ここは任せた。二人を連れて行くので、残りは馬を見つつ木を切ってくれ」
「はっ! かしこまりました! お気をつけて!」
「う、うむ。ちなみに、危険な魔物や魔獣が出たら遠慮なく逃げろ」
「いえ! そういうわけにはいきません! 我らがボスであるカリオンさんの主人様なので!」
「あの方は我々のために足をなくしたのです! あの方を救って下さったことに感謝しております!」
「わ、わかった、わかったから……では、そうならないように早く行ってくる」
五人いた狼獣人のうち三人を残し、俺は森へと入って行く。
今回はあくまでも木がメインなので、下見といったところだ。
「ったく、獣人っていうのはああなのか?」
「種族にもよりますけどね。ただ狼獣人は仲間意識と群れの長によって動きますから。それを救ってくれたご主人様に感謝するのはおかしくないです」
「なるほど……とりあえず、警戒を頼む」
「「「はっ!」」」
「フーコもな?」
「コンッ!」
彼らを連れてきたのは簡単な理由だ。
力もそうだが、聴覚や視覚に優れている。
実力で負けることはないと思うが、森の中では不意打ちが怖い。
「コンッ!」
「何か来ますっ!」
獣人とフーコの声に俺とユキノが構えると、すぐにコボルトの群れがやってきた。
コボルト、それは犬のような顔に人の体型に近い姿をしている。
群れて行動して、鋭い爪と牙が特徴だ。
獣人達が迫害されてた歴史の背景には、こういった理由もある。
「オンッ!」
「アオーン!」
「ユキノ! 森の中では火は使えない! 後ろは任せた!」
「役立たずですもんね!」
「役立たずいうなっ! お前達は三人で輪を作って近づいてくる相手を倒せ!」
「「「はっ!」」」
忠実な彼らは、三人で円を作って対処する。
俺は刀を構えて迫ってきた相手を斬り捨て、ユキノは俺の背中を守って鉤爪を駆使して敵を切り裂く。
フーコは縦横無尽に駆け回り、爪で敵を切り裂いて行く。
そして、数十体倒したところで……ようやく収まる。
「ふぅ、怪我はないか?」
「私は平気ですよー」
「コンッ!」
獣人達も無事だったので、そのまま奥へと進んでいくが……。
「今度はオークか!」
「ご主人様! 右からコボルト来ます!」
「コンッ!」
「くっ! おいおい、森に入ったばかりだというのに」
先程から少し進むたびに魔物に襲われている。
時折魔獣も見かけるが、ほとんどが死骸だ。
おそらく、こいつらにやられたのだろう。
「俺がオークどもをやる! ユキノはコボルトを! フーコは獣人達と一緒に!」
「はいはーい!」
「コンッ!」
俺は刀を鞘に収め、その時を待つ。
「フゴッ!」
「ブヒヒ!」
前からやってくるオークがよだれを垂らしながら向かってくる。
こんなのをユキノに近づけるのは嫌である。
なにせ、こいつらは女性の敵だ。
こいつらは特に女性を陵辱することを好む。
「フゴッ!」
「俺の間合いに入ったな——千人乱舞」
刀を振り抜き、縦横無尽に走らせる。
それは間合いに入った全ての魔物を狩りつくす。
「ふぅ、こんなものか。錆び付いていた腕も戻ってきたか」
「ご主人様ー! こっちも片付きました!」
「コンッ!」
魔物が収まったので、ひとまず合流して話し合いをする。
「いくら下級の魔物とはいえ数が多いですねー。もしかしたら、ダンジョンか鉱脈が奥にあるんじゃないですか?」
「なるほど、その可能性はあるな。だとしたら好都合でもある。魔石も手に入るし、特殊な物も手に入るだろう。最悪、鉱脈でもいい」
「そうですね、どちらにしろ私達だけじゃ厳しいです。きちんとした魔法使いと弓使いとかいないと」
「おい、きちんとを強調するな。ここにきちんとした……火属性と森は相性が悪い」
「まあ、仕方がないですね。とにかく、ダンジョンがあるという前提で動きます?」
「ああ、そうしよう」
突如現れるダンジョンからは、魔物が溢れてくる。
対処法としては最初の時点で魔物を押し込むのだが、なかなか人の入らない場所にできると厄介である。
俺達は一度都市に戻ってから対策を練ることにした。
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