32 / 89
復讐編
ep31 協力と自虐
しおりを挟む(なんでコイツは自分を庇ったんだ……??
まさか罪滅ぼしのつもりか?……
そんな事しても絶対に許さねぇっ…!!)
内心焦りながらそんな事を思ってしまう
自分は奴に視線を戻すと
奴は丸太のように太い左腕を伸ばし
「次ハ、、オ前ダ……………
我ガ名ハ劍ッ…!存分ニ殺シアオウゾォッ…!!」
低い声でそう宣言し指差してきた
自分は必死で打開策と注意点を模索した
奴は身体中にナイフが埋め込まれているようだ
遠距離で戦ってしまうと自分が不利に
なるのは目に見えているから………
( 近づくしかないっ………! )
打開策が出ぬことに焦れてしまい
半分闇雲なまま自分は走り出そうとすると
ガシッ………
( 、、、? )
誰かに足首を掴まれたので
足元に視線を移すと河島が仰向けのまま
指で正面から右にある棚を指していた
何かあるのか? と聞こうとしたら
河島が微かに口を開いて
「あそこの奥にあるものを使え………
俺が使いたいがこのザマだ…
お前が使いやがれ、、」
彼がそうキツそうに言い放った時
今度は奴から自分達の方に全速力で向かってきた
(このゾンビッ… 速いっ…!
倒れている河島は避けられないのでは…?
って…何をアイツのことを心配してんだよっ!…)
自分は右に飛んで回避して奴から距離を
取りつつ棚の方へ行って
棚を素早く開けると…
楽斗が持っているような 刀 が入っていた
「これを使えばっ…! 」
希望が見えてきたなか
急いでその刀を手に取ろうとしていると
「ぐっ… ぐあっっっ!!、、」
河島の悲鳴と共に
バキバキッ! バキバキッ…!!
骨が砕かれるような鈍い音が聞こえた
振り返ると奴が仰向けになっている河島の左腕を
打点をズラしながら何発も何発も殴っている
そして…潰していた……
「オ前ノ全身 … 全部潰スッ… 」
そう言って殴り続けている
限界なのか河島は抵抗できないようだ
「待てよ…!
河島は俺が殺すんだよっ!!… 」
自分は走りながら刀を鞘から抜く
ジャンプして奴の顔面に大きく振りかぶった
バシュッ!!… ドゴッ………!
奴が自分の攻撃を避けるためか
半歩下がり河島から離れたせいで
刀が奴の顔面を擦り床にめり込んでしまった
(自分の動きが見切られたのか… ?)
すぐに力を入れて
刀を抜いて奴のほうに向き直ると
奴の拳が目の前にあった
ガギャッ…!!
( ぐっ……… 重いっ……!! )
刀でなんとか受け止めたが
重い衝撃で自分の身体は吹き飛ばされ
壁に身体がぶつかった
(このゾンビ…油断しているかのように見せかけて
実はずっとコチラの行動パターンを
探っていたのかっ…… )
自分はそう思いながら前を見ると
奴はまた後ろに下がって
何故か自身の顔面を掻き毟っていた
ガリガリガリガリガリッ!!…
辺りにやや黒っぽい体液が飛び散っていた
吐き気のする匂いも微かに漂っている
(なんでコイツは…
自分で自分を傷つけているんだ……!?)
そう自分は思いながら
何かいい手がないか と辺りを見回すと…
良い物を見つけた
(賭けるしかないか、、)
そう覚悟しながら
自分は倒れている河島に
「お前って今もタバコ吸うのか?」
そう呟くように訊いた
こういう場になって対等に話せるようになる
それが凄く皮肉に感じた
~ ep31完 ~
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
200年後の日本は、ゾンビで溢れていました。
月見酒
ファンタジー
12年間働いていたブラック企業やめた俺こと烏羽弘毅(からすばこうき)は三日三晩「DEAD OF GUN」に没頭していた。
さすがに体力と睡眠不足が祟りそのまま寝てしまった。そして目か覚めるとそこはゾンビが平然と闊歩し、朽ち果てた200年後の日本だった。
そしてなぜかゲーム内のステータスが己の身体能力となり、武器、金が現実で使えた。
世界的にも有名なトッププレイヤーによるリアルガンアクションバトルが始動する!
「一人は寂しぃ!」
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
家に帰ると夫が不倫していたので、両家の家族を呼んで大復讐をしたいと思います。
春木ハル
恋愛
私は夫と共働きで生活している人間なのですが、出張から帰ると夫が不倫の痕跡を残したまま寝ていました。
それに腹が立った私は法律で定められている罰なんかじゃ物足りず、自分自身でも復讐をすることにしました。その結果、思っていた通りの修羅場に…。その時のお話を聞いてください。
にちゃんねる風創作小説をお楽しみください。
夫が正室の子である妹と浮気していただけで、なんで私が悪者みたいに言われないといけないんですか?
ヘロディア
恋愛
側室の子である主人公は、正室の子である妹に比べ、あまり愛情を受けられなかったまま、高い身分の貴族の男性に嫁がされた。
妹はプライドが高く、自分を見下してばかりだった。
そこで夫を愛することに決めた矢先、夫の浮気現場に立ち会ってしまう。そしてその相手は他ならぬ妹であった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる