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ミス研の考察2 4/23
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「あの美術館、また人死にが出たんだって?」
パイプ椅子をがたつかせ、シロが身を乗り出した。
「呪われてるのはほんとに美術館の方なんじゃないのか?」
パソコンを弄る手を止めずにイーグルが指さした。
「ほら、ネットでも騒ぎになってる。幽霊が出る部屋で、今度は密室殺人だなんて」
そんなの本当にあるもんなんですかね、とヤツは訝しるようにまとめサイトを見つめている。
「確かに、被害者がそこに入る映像も、IDの入退出履歴もなかったそうだ」
俺はシロが生み出す煙から逃れるように、陰鬱な雰囲気を演出する暗幕を引いた。
けれど今日はあいにくの曇天で、世界も灰色だった。
「でも、これならヤヨイさんも容疑から外れるんじゃないですか」
言外に私の言った通りだと、イーグルのやつは自信をみなぎらせている。
「やっぱり犯人は美術館スタッフ全員なんです。絶対何かトリックがあるんですよ。彼らしか知らないような、秘密の抜け穴とか。そういうのが庫内にあるんじゃないですか」
「今さら秘密の抜け穴なんて、これがミステリだったら陳腐すぎだろ」
そもそもそれじゃあ密室ではないだろうに。俺は腕を組んだ。
「そんなものは無いってオオトリさんは言ってたぞ」
「じゃあ、どうやったっていうんです。まさか呪いだの幽霊だのが犯人なんて言わないですよね?」
事件発生から一日後。状況が状況なだけに、さしもの土森刑事らも俺たちを疑うのをやめたらしい。
俺たちはあっさりと解放され、加賀見監視員も緊急休館となっては仕事があるはずもなく、追い出されたようだった。
代わりに第一発見者の狩野館長と、死体が発見される前夜の夜間見回り当番だった赤城警備員、さらにはその前に南側保管庫に足を踏み入れたヤヨイ先輩らを捕まえて、どうやって岡本氏を連れ込んだのかを聞き出そうと無駄な努力をしているようだった。
さすがに事件翌日から再々オープンすることも叶わず、今日も岩崎美術館は休館。
だというのに、入れもしない建物の外には野次馬がわんさか集まっているようだった。
わざわざその様子をSNSに律儀に上げる暇なやつがいる。
「しかし、なんで犯人はわざわざ密室なんて作り上げたんだ?」
窓の外をぼんやり眺めながら、シロが誰ともなく聞いた。「そんな、面倒なこと」
イーグルが噛みつくように返した。
「だから、岩崎殺しの時に疑われていた人たちを容疑から外すために」
「でも、ヤヨイさんはこの件にも噛んでるんだろ?」
ってことは、彼女が犯人なんじゃないのか、とシロが顎に手を添える。
「で、自分の犯行を誤魔化すために、わざわざ密室を作り上げた。あわよくば、あれだって呪いのせいにするために」
そうでなければ、そんなことをする意味が分からない。俺はそう考えた。
ふう、と煙と共にシロがぼやく。「あの呪いの言伝に、そんな力があるだなんて思えないけどな」
「言伝になぞらえて殺されたって言うなら、岡本さんは何と目を合わせてしまったんでしょうね」
「ああ、『ソイツ』の正体?」
イーグルがパソコンを睨む。「ずいぶん熱心に、呪いの言伝について調べてくれている人がいるみたいです。インターネットの質問箱に、ソイツについての考察が」
くるり、とイーグルが画面を俺たちに向けた。
『質問 最近話題になっている岩崎美術館の呪いの殺人事件ですが、実はダイアの呪いではなく、他の呪いによって起こっているとネットで見ました。元になってると言う『呪いの言伝』というのは何ですか?』
「なんで言伝のことなんて知ってるんだ?」
一体誰からそんな情報が漏れたのか。
ニュースでは一切触れられていなかった言伝の存在が、ネット上ではもう明らかになってしまっている。
それともこの質問者は、事件の関係者のうちの誰かなのだろうか。俺はページを読み上げる。
「『もともとは平成十年に発行された、ミス研内の会報誌に載せられた〈H大ミス研殺人事件〉がもととなっているそうですよ』……」
基本的には俺がヤヨイ先輩からもらった会報誌に書かれていた内容と同じものだった。
『詳しくは、H大ミス研のホームページを見るといいですよ(あまり更新されてないようですが……汗)』
「ん?ホームページに。言伝のことなんて載せたっけか?」
確かあれは、作るだけ作って放置したままのはずだった。俺の疑問に、一人笑みを浮かべたものがいた。「俺が載せたんだ」
「お前が?」
一番そういうことに興味なさそうな男が名乗り出る。
「ああ。っても気まぐれで更新してるだけだけどな。ほら、新入学生だってサークル探す時にネットで見てから来るだろうし、一応活動してるってアピールしといた方がいいだろ?これでも部の為を思ってちゃんと働いてるんだぜ、俺は」
「嘘だろ」
慌てて俺はしばらくぶりにミス研のHPを開いた。およそ熱心に活動しているとは言い難いが、二、三カ月に一度ほど、ポツポツと本の感想やらが書き込まれていた。
そしてさかのぼること一年ほど前。
確かに、言伝について書かれている。
「なんでこんなのわざわざ載せたんだ」
「他に思いつくネタがなかったんだ」
悪びれた様子もなく、シロは呑気にタバコをふかしている。
「それにおかげでほら、こうやって尾ひれがついてきた」
と、イーグルのパソコンを覗き込み、シロが文面を読み上げた。
「『しかしこの話は実際にあった事件をもとに描かれている。今から二十年ほど前、ミステリー研究会の部室にて、首を吊って自殺した女性がいた。その彼女を自殺に追い込んだ、〈ソイツ〉は、彼女を弄んだある男だという』……ここまで具体的な話は俺も知らなかった。まあ、本当かどうか怪しいけどな」
首を振るシロをよそに、俺はさらに文面を読み上げた。
「『呪いの言伝の残り二つは、〈ソイツ〉によって死に追いやられた女性の復讐なのだと思われる』」
「でもそれじゃあ、ソイツは自殺に追いやった男かつ、自殺に追い込まれた女性、ってことになりません?矛盾してませんか」
イーグルが抗議の声を上げた。
「確かに。ちょっと意味がわからないな」
その脇でシロも首を傾げている。
「そもそもこのサイト、適当なことを書いてるんじゃないんですか?」
自分で見せておきながら、イーグルは画面をこつんと弾いた。「誰が書いたのかもわからないし」
「少なくとも、前に俺が調べた時にはこんなページは無かった気がするな」
「『彼女を死に追いやったある男は、そののちにH大を退学し、他の大学に移ったと言うが詳細は不明』だそうだ。二十年前の部員を調べれば特定も出来そうだが……」
「でも、手がかりは会報誌くらいしかもうないし、それだって本名じゃなくてペンネームだもんな」
早くも諦めた、いや面倒臭そうにシロがぼやいた。「それに特定したところで、今回の事件とは関係ないんじゃないか?」
「まあ、それもそうだな」
俺はイーグルのノートパソコンをパタリと閉じた。「そんなことよりは、一体どうやって岡本はカメラに映らず南側保管庫に入ったか、だ」
「岡本さんの死亡推定時刻ってわかったんですかね」
イーグルはパソコンを脇に追いやると、急に勢いよく立ち上がった。
「もしかしたら、すでに殺されて、何か人が入りそうなものに入れて保管庫に運ばれたんじゃ」
「同じことを土森刑事も言っていたが、そんなものはなかったそうだ」
「そうですか……」
俺の返答に、ヤツはしゅんとして再び椅子に腰掛ける。そこへ雰囲気にそぐわない、軽快な音楽が流れた。ミッキーマウスマーチ。
「悪い、メールかな」
俺は慌ててポケットからスマホを取り出した。そこには、あの人からのメールが届いていた。
「噂をすれば、とやらだな。……岡本の死亡推定時刻は、21日の夜から22日の朝にかけてだそうだ。そして残念なことに、その夕方にはヤヨイ先輩が庫内に入った時間も含まれる。入った順はヤヨイ、警備員、館長の順で、警備員は何も見ていないと言っている……と」
「それ、誰からの情報ですか?」イーグルが怪訝に俺を眺める。
「加賀見」
「ああ、カガミ。あいつ、いったい何者なんだろうな」
すっかり意気投合していたシロだが、彼にも加賀見氏が何者かは見抜けなかったらしい。「どうやってそんな情報拾ってくるんだか」
案外、警察関係者じゃないのか?シロは疑うが、俺にはそうは思えなかった。
だが今は加賀見への詮索よりも、考えるべきはこの事件の犯人だ。
「警備員が見てないって言うなら、いったいいつ岡本は殺されたんだ?」
誰に言うでもなく俺は呟く。
「そうなると、第一発見者の館長が犯人で、さもそれ以前に殺されてたように振る舞った、とか」
その言葉に、「いくらなんでも殺されたての死体なら、死亡推定時刻でばれちまうんじゃ」とシロが反論した。
「まあ、そうだよな」俺はシロの言葉におとなしくうなずく。
確かに、わざわざ館長自らダイアがないと騒いで警察関係者を呼び集め、そのなかで殺人を犯すとも考えにくい。
「じゃあ、警備の人?」イーグルが口を挟んだ。
「なんでそうなる」
「だってヤヨイさんが犯人だとしたら、すでに夜間見回りの際には死体があったってことですよね?それを黙ってるのもおかしな話だし」
「それもそうだが。でも、例えばすぐに見つからないよう細工しただとか」
「細工、ねえ」
腑に落ちない様子でイーグルが唇を尖らせた。
「まあ、何かしらトリックはあるのかもしれませんが。けどそもそも、岡本さんがどうやって南保管庫に入ったか説明できない限り、その三人は白、ってことになりますね」
パイプ椅子をがたつかせ、シロが身を乗り出した。
「呪われてるのはほんとに美術館の方なんじゃないのか?」
パソコンを弄る手を止めずにイーグルが指さした。
「ほら、ネットでも騒ぎになってる。幽霊が出る部屋で、今度は密室殺人だなんて」
そんなの本当にあるもんなんですかね、とヤツは訝しるようにまとめサイトを見つめている。
「確かに、被害者がそこに入る映像も、IDの入退出履歴もなかったそうだ」
俺はシロが生み出す煙から逃れるように、陰鬱な雰囲気を演出する暗幕を引いた。
けれど今日はあいにくの曇天で、世界も灰色だった。
「でも、これならヤヨイさんも容疑から外れるんじゃないですか」
言外に私の言った通りだと、イーグルのやつは自信をみなぎらせている。
「やっぱり犯人は美術館スタッフ全員なんです。絶対何かトリックがあるんですよ。彼らしか知らないような、秘密の抜け穴とか。そういうのが庫内にあるんじゃないですか」
「今さら秘密の抜け穴なんて、これがミステリだったら陳腐すぎだろ」
そもそもそれじゃあ密室ではないだろうに。俺は腕を組んだ。
「そんなものは無いってオオトリさんは言ってたぞ」
「じゃあ、どうやったっていうんです。まさか呪いだの幽霊だのが犯人なんて言わないですよね?」
事件発生から一日後。状況が状況なだけに、さしもの土森刑事らも俺たちを疑うのをやめたらしい。
俺たちはあっさりと解放され、加賀見監視員も緊急休館となっては仕事があるはずもなく、追い出されたようだった。
代わりに第一発見者の狩野館長と、死体が発見される前夜の夜間見回り当番だった赤城警備員、さらにはその前に南側保管庫に足を踏み入れたヤヨイ先輩らを捕まえて、どうやって岡本氏を連れ込んだのかを聞き出そうと無駄な努力をしているようだった。
さすがに事件翌日から再々オープンすることも叶わず、今日も岩崎美術館は休館。
だというのに、入れもしない建物の外には野次馬がわんさか集まっているようだった。
わざわざその様子をSNSに律儀に上げる暇なやつがいる。
「しかし、なんで犯人はわざわざ密室なんて作り上げたんだ?」
窓の外をぼんやり眺めながら、シロが誰ともなく聞いた。「そんな、面倒なこと」
イーグルが噛みつくように返した。
「だから、岩崎殺しの時に疑われていた人たちを容疑から外すために」
「でも、ヤヨイさんはこの件にも噛んでるんだろ?」
ってことは、彼女が犯人なんじゃないのか、とシロが顎に手を添える。
「で、自分の犯行を誤魔化すために、わざわざ密室を作り上げた。あわよくば、あれだって呪いのせいにするために」
そうでなければ、そんなことをする意味が分からない。俺はそう考えた。
ふう、と煙と共にシロがぼやく。「あの呪いの言伝に、そんな力があるだなんて思えないけどな」
「言伝になぞらえて殺されたって言うなら、岡本さんは何と目を合わせてしまったんでしょうね」
「ああ、『ソイツ』の正体?」
イーグルがパソコンを睨む。「ずいぶん熱心に、呪いの言伝について調べてくれている人がいるみたいです。インターネットの質問箱に、ソイツについての考察が」
くるり、とイーグルが画面を俺たちに向けた。
『質問 最近話題になっている岩崎美術館の呪いの殺人事件ですが、実はダイアの呪いではなく、他の呪いによって起こっているとネットで見ました。元になってると言う『呪いの言伝』というのは何ですか?』
「なんで言伝のことなんて知ってるんだ?」
一体誰からそんな情報が漏れたのか。
ニュースでは一切触れられていなかった言伝の存在が、ネット上ではもう明らかになってしまっている。
それともこの質問者は、事件の関係者のうちの誰かなのだろうか。俺はページを読み上げる。
「『もともとは平成十年に発行された、ミス研内の会報誌に載せられた〈H大ミス研殺人事件〉がもととなっているそうですよ』……」
基本的には俺がヤヨイ先輩からもらった会報誌に書かれていた内容と同じものだった。
『詳しくは、H大ミス研のホームページを見るといいですよ(あまり更新されてないようですが……汗)』
「ん?ホームページに。言伝のことなんて載せたっけか?」
確かあれは、作るだけ作って放置したままのはずだった。俺の疑問に、一人笑みを浮かべたものがいた。「俺が載せたんだ」
「お前が?」
一番そういうことに興味なさそうな男が名乗り出る。
「ああ。っても気まぐれで更新してるだけだけどな。ほら、新入学生だってサークル探す時にネットで見てから来るだろうし、一応活動してるってアピールしといた方がいいだろ?これでも部の為を思ってちゃんと働いてるんだぜ、俺は」
「嘘だろ」
慌てて俺はしばらくぶりにミス研のHPを開いた。およそ熱心に活動しているとは言い難いが、二、三カ月に一度ほど、ポツポツと本の感想やらが書き込まれていた。
そしてさかのぼること一年ほど前。
確かに、言伝について書かれている。
「なんでこんなのわざわざ載せたんだ」
「他に思いつくネタがなかったんだ」
悪びれた様子もなく、シロは呑気にタバコをふかしている。
「それにおかげでほら、こうやって尾ひれがついてきた」
と、イーグルのパソコンを覗き込み、シロが文面を読み上げた。
「『しかしこの話は実際にあった事件をもとに描かれている。今から二十年ほど前、ミステリー研究会の部室にて、首を吊って自殺した女性がいた。その彼女を自殺に追い込んだ、〈ソイツ〉は、彼女を弄んだある男だという』……ここまで具体的な話は俺も知らなかった。まあ、本当かどうか怪しいけどな」
首を振るシロをよそに、俺はさらに文面を読み上げた。
「『呪いの言伝の残り二つは、〈ソイツ〉によって死に追いやられた女性の復讐なのだと思われる』」
「でもそれじゃあ、ソイツは自殺に追いやった男かつ、自殺に追い込まれた女性、ってことになりません?矛盾してませんか」
イーグルが抗議の声を上げた。
「確かに。ちょっと意味がわからないな」
その脇でシロも首を傾げている。
「そもそもこのサイト、適当なことを書いてるんじゃないんですか?」
自分で見せておきながら、イーグルは画面をこつんと弾いた。「誰が書いたのかもわからないし」
「少なくとも、前に俺が調べた時にはこんなページは無かった気がするな」
「『彼女を死に追いやったある男は、そののちにH大を退学し、他の大学に移ったと言うが詳細は不明』だそうだ。二十年前の部員を調べれば特定も出来そうだが……」
「でも、手がかりは会報誌くらいしかもうないし、それだって本名じゃなくてペンネームだもんな」
早くも諦めた、いや面倒臭そうにシロがぼやいた。「それに特定したところで、今回の事件とは関係ないんじゃないか?」
「まあ、それもそうだな」
俺はイーグルのノートパソコンをパタリと閉じた。「そんなことよりは、一体どうやって岡本はカメラに映らず南側保管庫に入ったか、だ」
「岡本さんの死亡推定時刻ってわかったんですかね」
イーグルはパソコンを脇に追いやると、急に勢いよく立ち上がった。
「もしかしたら、すでに殺されて、何か人が入りそうなものに入れて保管庫に運ばれたんじゃ」
「同じことを土森刑事も言っていたが、そんなものはなかったそうだ」
「そうですか……」
俺の返答に、ヤツはしゅんとして再び椅子に腰掛ける。そこへ雰囲気にそぐわない、軽快な音楽が流れた。ミッキーマウスマーチ。
「悪い、メールかな」
俺は慌ててポケットからスマホを取り出した。そこには、あの人からのメールが届いていた。
「噂をすれば、とやらだな。……岡本の死亡推定時刻は、21日の夜から22日の朝にかけてだそうだ。そして残念なことに、その夕方にはヤヨイ先輩が庫内に入った時間も含まれる。入った順はヤヨイ、警備員、館長の順で、警備員は何も見ていないと言っている……と」
「それ、誰からの情報ですか?」イーグルが怪訝に俺を眺める。
「加賀見」
「ああ、カガミ。あいつ、いったい何者なんだろうな」
すっかり意気投合していたシロだが、彼にも加賀見氏が何者かは見抜けなかったらしい。「どうやってそんな情報拾ってくるんだか」
案外、警察関係者じゃないのか?シロは疑うが、俺にはそうは思えなかった。
だが今は加賀見への詮索よりも、考えるべきはこの事件の犯人だ。
「警備員が見てないって言うなら、いったいいつ岡本は殺されたんだ?」
誰に言うでもなく俺は呟く。
「そうなると、第一発見者の館長が犯人で、さもそれ以前に殺されてたように振る舞った、とか」
その言葉に、「いくらなんでも殺されたての死体なら、死亡推定時刻でばれちまうんじゃ」とシロが反論した。
「まあ、そうだよな」俺はシロの言葉におとなしくうなずく。
確かに、わざわざ館長自らダイアがないと騒いで警察関係者を呼び集め、そのなかで殺人を犯すとも考えにくい。
「じゃあ、警備の人?」イーグルが口を挟んだ。
「なんでそうなる」
「だってヤヨイさんが犯人だとしたら、すでに夜間見回りの際には死体があったってことですよね?それを黙ってるのもおかしな話だし」
「それもそうだが。でも、例えばすぐに見つからないよう細工しただとか」
「細工、ねえ」
腑に落ちない様子でイーグルが唇を尖らせた。
「まあ、何かしらトリックはあるのかもしれませんが。けどそもそも、岡本さんがどうやって南保管庫に入ったか説明できない限り、その三人は白、ってことになりますね」
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