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キラーチルドレン

復讐②

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 さあ、用事は済んだ。帰ろう、アイツの居る場所に。
「ねぇ、お兄さん……」
 呼ばれた男はこっちをチラリと見て視線を外す。
「お前とは、口を聞いてはいけない事になっている」
 クソ真面目にそう言って後ろを向く見張りの男。
 広くベッドしかない部屋の中央には柵に囲まれた、まるで鳥籠の様な小部屋に押し込まれ、プライバシーの欠片も無いこの部屋でオレは飼われたペット。
「痛いんだよ……。コレが」
 オレは、手首に付けられた鎖を持ち上げジャラッと鳴らす。

「外しては、駄目だと……」
「言われてる。っていうんだろ?」
 挑発する様に微笑みを浮かべ着ている単衣の着物の裾をずらし、露になった白い太股を見える様にする。
 男の喉が上下するのを見て、更に甘い声を出して誘う。
「じゃあさ、外さなくても良いから。オレを抱いてよ……。ナイショにするから……」

 見張りをしてる間、オレがあの男に抱かれてるのを見ていた男にはもう、限界だったのだろう。
 無言で部屋に入って来て着物の衿から手を差し入れ行き当たった突起を撫で摩る。
 甘い溜め息を付くオレに、更に興奮した男は夢中で裾を割り浸入して来た。

「な……ん……でだ……」
 喉をかき切られて、まともに声を出す事も出来ない男の耳元に囁く。
「地獄のサタンに伝えて……。オレは、まだ逝けないって」

 白い衣に鮮血が飛び散り朱に染まる着物。
 男が着ていた黒いスーツに着替え、手に入れた銃の重みを愛おしげに撫でる。
 鍵を開け外へと出た。
 振り返ると、鳥籠の中は主を無くし寂しげに見えた。


 ◇◇◇


 見張りの男から奪った銃はサイレンサーが付いて無かった。舌打ちをして作戦を変更する事に。
 たった一人で、何人いるか分からない位の屈強な男たちから生還しなければならないのだ。
 ――一人づつ確実に。
 着てるスーツは体に合わない。オマケに武器は拳銃一丁と見張りの男を殺ったナイフだけ。

『絶対絶命』とはこういう時に使うもんだ。
 取り敢えず武器を見付けないと……
 その時、女がこっちに向かって歩いて来るのが見えた。
「あら、新入りさん?」
 ブロンドの髪をなびかせ彼女は微笑む。
 誰かの愛人?
「ええ、新入りです。綺麗なお姉さま」
 オレがニッコリと微笑む。
「丁度良いわ、退屈で死にそうだったの……」と彼女は言いながら綺麗に塗った指先をヒラヒラさせて、オレを呼ぶ。
 誘う彼女の手を取りオレ達は扉の向こう側へ消えた。

「良かったわ。あなた、名前は?」
 彼女はそう言ってベッドでオレの髪を梳いた。
「レイジです。貴女も良かったです」
 彼女の手を取りくちづける。彼女は笑って耳元で囁いた。
「あなた、ここの人間じゃ無いわね? ねぇ、わたしと組まない? そしたら黙っててあげる」

「じゃ、頑張ってね。レイジ」
 彼女はオレにキスを落とし見送る。オレは彼女に変装し微笑んだ。

 ――さあ、殺人ショーの始まりだ。
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