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ドリンク1杯120円の始まり。

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「あ、アゼリア様?」

 リンデン伯爵家を訪問するか迷っていたら、アゼリア様が王宮へと出向いて来られた。

 応接室に案内し、用件を聞こうとした途端に、アゼリア様がポロポロと泣き出してしまった。

 外見はともかく、中身はアゼリア様よりも年上の私としては、可愛い女の子に泣かれると弱ってしまう。

「ご、ごめ・・・ん、なさ・・・」

「アゼリア様。我慢しなくていいのです。ここには私しかいませんから」

 シーラはいるけど。
出来る侍女の彼女は、空気と化している。

 アゼリア様は十分くらい泣かれていた。
そのせいで、目が真っ赤だ。

「シーラ、タオルを。温めたのと冷やしたのを持ってきて」

「はい、すぐに」

 アゼリア様の隣に座り、その手を握りながら、シーラに指示を出す。

「申し訳ございません、アイリス様。ご迷惑を・・・」

「アゼリア様。私はアゼリア様のお友達ではないのですか?お友達には甘えて頼っていいのです!」

 親に言えないことでも、友達になら相談出来ることだってあるよね。

「アイリス様は本当にお優しいですね・・・フロックス様が片時も離れたくないお気持ちが分かりますわ。私は・・・そう思われなかったですけど」

「アゼリア様・・・」

 また眦に涙が浮かんできている。
シーラに持ってきてもらったタオルを交互に目にあてていたアゼリア様は、タオルに顔を伏せたまま、肩を震わせた。

「アゼリア様は、トリヤ・ダフォディル様のことが、お好きなのですね」

「・・・っ!」

「私も、シスル様のことが大好きです。シスル様も私のことを大切にしてくださっていると思います。でも時々、不安になります。五歳も歳の離れた子供の私よりも、もっと相応しいご令嬢がいるんじゃないかって」

「まさかっ!フロックス様に限ってそんなことは!」

 顔を上げたアゼリア時に、にっこりと微笑み返す。

「シスル様を信じてないとか、そういうんじゃないんです。でも、歳の差を縮めるこもはできないから、やっぱり不安になることはあります。私は一緒に学園に通うことはできませんから、離れていると不安になったり疑心暗鬼になったりします」

「アイリス様」

「私は、ダフォディル様がどういうつもりでその幼馴染さんとやらと一緒にいるのかはわかりませんが、シスル様いわく、ダフォディル様は甘いのだそうです。恋愛感情もないのに、幼馴染だからといって切り捨てることができないのだと」

 そして、そのことで婚約者候補のアゼリア様を悲しませていることを理解していない馬鹿なんだわ。

 

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