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キール
02 呪われた理由1
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白クマ――キールに呪いを掛けたのはミッドシップ王国の正妃
――キールの実母であった。
彼女は秘密の恋人と愛し合いながらミッドシップ王国の正妃となった。
彼女は王との婚姻後すぐに第一王子を、その1年後には第二王子となるキールを産んだ。
たて続けに王子を産んで幸せいっぱいの正妃。
第一王子の時と同様に愛する男に生まれたばかりのキールを『貴男の子よ』と見せたところ、
『コレは私の子ではない!
あぁ、信じていたのに、君は‥‥
私以外の男に――王に抱かれたのだな!
私を裏切ったのだな!
終わりだ!
私達の真実の愛は、君の裏切りで終わったのだ!』
男はそう吐き捨てて姿を消し、数日後、遺体となって発見された。
自殺したのだ。
キールは実母の負の感情の全てを理不尽にもその小さな身に負う事となった。
正妃の秘密の恋人――自殺した男は正妃の双子の弟だった。
二人は互いを『愛しい分身』、『唯一の恋人』として認識していた。
生まれた時から一緒だった二人は年頃になり当然の様に体を重ねた。
現王との婚姻の後は、双子はさらに燃え上がり、時間を見つけては愛し合った。
正妃はその一方で義務として王との閨事も受け入れていた。
仕方のない、当たり前の事として。
ところが、双子の弟は姉が『白い結婚』を貫いているはずだと信じ込んでいた。
正妃が最初に産んだ第一王子は間違いなく弟との子だった。
髪も瞳も王の色を一切受け継いでいない、正妃の色だけ受け継いだ王子。
いや、実際は正妃とその弟の色を受け継いだのであろう男の子。
双子の姉と弟はまるで同じ色をしているので、あたかも姉の色だけを受け継いだ様に見えるだけ。
王は妃にだけ似ている王子に違和感を覚えながらも王子の誕生を表面上は喜んだ。
だが、王の心中には疑心が渦巻いていた。
いつまでも仲が良過ぎる妃の弟。
近すぎる距離。
言葉など必要としないアイコンタクト。
双子の間には誰も――王ですら入り込めない、いや、入り込ませない空気があって。
だが、いや、まさか。
あり得ない―――
美しく聡明な正妃は正妃となる前から王を支え、正妃となってからも申し分のない働きでミッドシップ王国を盛り立てて来た。
執務や外交で手腕を発揮し、しかし驕る事無く常に王を立てる。
『ミッドシップの秘宝』と謳われる賢妃が、まさか――
疑ってはいけない、
頑張っている正妃が可哀相ではないか‥‥
王は無理矢理疑念に蓋をした。
だが、第二王子が生まれた時、王は王子に面会しなかった。
第一王子が生まれた時に感じた ”違和感 ”を二度と感じたくなかった。
側近に探らせれば、第一王子の時とソックリそのままの、王の色を持たない王子だと知らされ、王の中で何かが切れた。
その後、王は正妃と彼女が産んだ王子達を離宮へ追いやって遠ざけ、無視し、側妃を娶り、側妃との間に王子や王女を儲けた。
自分の色を引き継いだ側妃の子供たちには深い愛情を注いだ。
誰もが正妃と二人の王子の事を忘れた頃、それは起こった。
11才になった第二王子キールの髪と瞳の色が王家の色に変化したのだ。
――キールの実母であった。
彼女は秘密の恋人と愛し合いながらミッドシップ王国の正妃となった。
彼女は王との婚姻後すぐに第一王子を、その1年後には第二王子となるキールを産んだ。
たて続けに王子を産んで幸せいっぱいの正妃。
第一王子の時と同様に愛する男に生まれたばかりのキールを『貴男の子よ』と見せたところ、
『コレは私の子ではない!
あぁ、信じていたのに、君は‥‥
私以外の男に――王に抱かれたのだな!
私を裏切ったのだな!
終わりだ!
私達の真実の愛は、君の裏切りで終わったのだ!』
男はそう吐き捨てて姿を消し、数日後、遺体となって発見された。
自殺したのだ。
キールは実母の負の感情の全てを理不尽にもその小さな身に負う事となった。
正妃の秘密の恋人――自殺した男は正妃の双子の弟だった。
二人は互いを『愛しい分身』、『唯一の恋人』として認識していた。
生まれた時から一緒だった二人は年頃になり当然の様に体を重ねた。
現王との婚姻の後は、双子はさらに燃え上がり、時間を見つけては愛し合った。
正妃はその一方で義務として王との閨事も受け入れていた。
仕方のない、当たり前の事として。
ところが、双子の弟は姉が『白い結婚』を貫いているはずだと信じ込んでいた。
正妃が最初に産んだ第一王子は間違いなく弟との子だった。
髪も瞳も王の色を一切受け継いでいない、正妃の色だけ受け継いだ王子。
いや、実際は正妃とその弟の色を受け継いだのであろう男の子。
双子の姉と弟はまるで同じ色をしているので、あたかも姉の色だけを受け継いだ様に見えるだけ。
王は妃にだけ似ている王子に違和感を覚えながらも王子の誕生を表面上は喜んだ。
だが、王の心中には疑心が渦巻いていた。
いつまでも仲が良過ぎる妃の弟。
近すぎる距離。
言葉など必要としないアイコンタクト。
双子の間には誰も――王ですら入り込めない、いや、入り込ませない空気があって。
だが、いや、まさか。
あり得ない―――
美しく聡明な正妃は正妃となる前から王を支え、正妃となってからも申し分のない働きでミッドシップ王国を盛り立てて来た。
執務や外交で手腕を発揮し、しかし驕る事無く常に王を立てる。
『ミッドシップの秘宝』と謳われる賢妃が、まさか――
疑ってはいけない、
頑張っている正妃が可哀相ではないか‥‥
王は無理矢理疑念に蓋をした。
だが、第二王子が生まれた時、王は王子に面会しなかった。
第一王子が生まれた時に感じた ”違和感 ”を二度と感じたくなかった。
側近に探らせれば、第一王子の時とソックリそのままの、王の色を持たない王子だと知らされ、王の中で何かが切れた。
その後、王は正妃と彼女が産んだ王子達を離宮へ追いやって遠ざけ、無視し、側妃を娶り、側妃との間に王子や王女を儲けた。
自分の色を引き継いだ側妃の子供たちには深い愛情を注いだ。
誰もが正妃と二人の王子の事を忘れた頃、それは起こった。
11才になった第二王子キールの髪と瞳の色が王家の色に変化したのだ。
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