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第三章
31 近い!
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『転移魔法』‥‥
そりゃあそう‥‥
ティスリー王国宮殿大ホールにいたはずなのに、今はここ‥‥
広い部屋‥‥私室?
フカフカの絨毯‥‥
豪華で品のいい家具
凝った彫刻の数々
見事な絵画の数々
室内なのに噴水
噴水を囲う花壇
豪奢で高い天井
の中央には丸い窓
丸窓にはガラス絵
側面にも大きな窓
の向こうにも空間
バルコニー?
にも噴水と広い庭園
あ‥‥可愛い小動物
目眩がする程豪華すぎるッ!
ホントに ”私室 ”?
美術館じゃないの!?
ティスリー王国宮殿大ホールより広くて豪華でラグジュアリー‥‥
うん、間違いなくティスリー王国内じゃない!
となれば、相当距離の転移‥‥
「すごい!
『転移魔法』なんて、大昔の凄い魔力持ちにだけ出来た奇跡の魔法でしょう!?
と言うか、大昔の伝説だから盛ってるんだと思ってた。
実は凄いスピードで移動してるだけでしょうと‥‥
実際出来るなんて!
しかも長距離で!
キール様凄過ぎる!」
『転移』なんてあり得ない経験。
それを経験出来た!
ステラはその凄さをじわじわと実感しキラキラした感動の目でキールを見上げる。
「‥‥ッ!
可愛ッ‥‥あ、いや、
別に大した事じゃ‥‥
ステラだって練習すればすぐに出来るだろう」
ステラの輝く笑顔の眩しさに、思わず目を逸らせて、声まで小声になるキール。
一ヶ月、ステラと離れていたから。
ステラ免疫が弱まってしまった様だ。
ステラの様に真っ直ぐに心を表現する者はそうそういない。
ミッドシップ王国では
物心ついたばかりの子供ですら笑顔の下に本心を隠す様教育される。
対してステラは
初めて会った時からずっと、裏表無しに気持ちを伝えて来る。
その尊さと眩しさを久々に感じて、キールは若干狼狽気味だ。
「本当!?
私にも出来る!?
やってみたい!
教えて!」
「ダメだ」
「‥‥えぇ!?
なッ、何で!?」
「‥‥‥‥‥‥‥、
逃げられたら困る」
「‥‥‥‥!?」
「‥‥‥‥‥‥」
逸らせていた視線を合わせるキール。
拗ねた様な瞳。
そんな眼差しを真っ直ぐ向けられれば、ステラはどうしていいか分からなくなる。
思考力を失くしたステラの瞳が甘やかな困惑に潤む。
トットットット‥‥
軽やかに駆ける心音
既に真っ赤なステラの顔は、更に駆け足になる心音と、自分の体から立ち上って来る熱風に圧迫されて。
‥ハァッ、
熱い、
息苦しい‥‥
堪らず頭を後ろに仰け反らせれば。
「‥あッ‥‥」
知らず力の抜けていた足がよろめき、ステラは腰に回されているキールの腕にしがみつこうとするも、手にも力が入らず‥‥
二人はダンスのワンシーンの様に、後ろに仰け反るステラの全体重をキールが腰に回した腕一本で支える形に。
仰け反ったままキールを見つめるステラ。
(あれ?
私浮いてる?
空中に寝てる?
どうなって‥‥あ‥‥
近い‥‥キール様
キール様の美しい顔が
近すぎる!?
どうなって‥‥
どう‥‥近い!
え?
さらに近付いて来る?
近い、ダメ、危ない!
どうしようどうして
近い近い近い近‥‥)
「‥‥ゥンッ‥‥」
そりゃあそう‥‥
ティスリー王国宮殿大ホールにいたはずなのに、今はここ‥‥
広い部屋‥‥私室?
フカフカの絨毯‥‥
豪華で品のいい家具
凝った彫刻の数々
見事な絵画の数々
室内なのに噴水
噴水を囲う花壇
豪奢で高い天井
の中央には丸い窓
丸窓にはガラス絵
側面にも大きな窓
の向こうにも空間
バルコニー?
にも噴水と広い庭園
あ‥‥可愛い小動物
目眩がする程豪華すぎるッ!
ホントに ”私室 ”?
美術館じゃないの!?
ティスリー王国宮殿大ホールより広くて豪華でラグジュアリー‥‥
うん、間違いなくティスリー王国内じゃない!
となれば、相当距離の転移‥‥
「すごい!
『転移魔法』なんて、大昔の凄い魔力持ちにだけ出来た奇跡の魔法でしょう!?
と言うか、大昔の伝説だから盛ってるんだと思ってた。
実は凄いスピードで移動してるだけでしょうと‥‥
実際出来るなんて!
しかも長距離で!
キール様凄過ぎる!」
『転移』なんてあり得ない経験。
それを経験出来た!
ステラはその凄さをじわじわと実感しキラキラした感動の目でキールを見上げる。
「‥‥ッ!
可愛ッ‥‥あ、いや、
別に大した事じゃ‥‥
ステラだって練習すればすぐに出来るだろう」
ステラの輝く笑顔の眩しさに、思わず目を逸らせて、声まで小声になるキール。
一ヶ月、ステラと離れていたから。
ステラ免疫が弱まってしまった様だ。
ステラの様に真っ直ぐに心を表現する者はそうそういない。
ミッドシップ王国では
物心ついたばかりの子供ですら笑顔の下に本心を隠す様教育される。
対してステラは
初めて会った時からずっと、裏表無しに気持ちを伝えて来る。
その尊さと眩しさを久々に感じて、キールは若干狼狽気味だ。
「本当!?
私にも出来る!?
やってみたい!
教えて!」
「ダメだ」
「‥‥えぇ!?
なッ、何で!?」
「‥‥‥‥‥‥‥、
逃げられたら困る」
「‥‥‥‥!?」
「‥‥‥‥‥‥」
逸らせていた視線を合わせるキール。
拗ねた様な瞳。
そんな眼差しを真っ直ぐ向けられれば、ステラはどうしていいか分からなくなる。
思考力を失くしたステラの瞳が甘やかな困惑に潤む。
トットットット‥‥
軽やかに駆ける心音
既に真っ赤なステラの顔は、更に駆け足になる心音と、自分の体から立ち上って来る熱風に圧迫されて。
‥ハァッ、
熱い、
息苦しい‥‥
堪らず頭を後ろに仰け反らせれば。
「‥あッ‥‥」
知らず力の抜けていた足がよろめき、ステラは腰に回されているキールの腕にしがみつこうとするも、手にも力が入らず‥‥
二人はダンスのワンシーンの様に、後ろに仰け反るステラの全体重をキールが腰に回した腕一本で支える形に。
仰け反ったままキールを見つめるステラ。
(あれ?
私浮いてる?
空中に寝てる?
どうなって‥‥あ‥‥
近い‥‥キール様
キール様の美しい顔が
近すぎる!?
どうなって‥‥
どう‥‥近い!
え?
さらに近付いて来る?
近い、ダメ、危ない!
どうしようどうして
近い近い近い近‥‥)
「‥‥ゥンッ‥‥」
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