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第二章

22 やっと気付く1

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兎に角、取り敢えず!

王太子夫妻なんだから、一番上等の部屋で、金を掛けたお茶とか出しておけ!


と言っておもてなし軍団を下がらせた。


全員不満を隠そうともしない。

私はスタード公爵家の跡取り息子だというのに、忖度が少ないぞ?

まぁ、おもてなし部は使用人の中でも身分の高い者が多いからな。

今日の様に隣国の王太子夫妻とか、『国内外の要人と接する機会が多いから』だと大昔に報告を受けた記憶がある。

――大体、『おもてなし部』って‥‥

前は無かったよな?

6年前には‥‥

第一、客なんか来なかった、6年前には。

それにしても、おもてなし部長の私を見る目は酷いな。

まるで辞職を決意し、もう忖度なんかするものかと思っている様な目だった。

‥‥まさか‥‥な。



『私はあなたに仕えたくないのですよ』



つい先程のカロンの言葉と表情がフラッシュバックする。






――考えていても仕方ない。

去る者は去ればいい。

隆盛を極めるスタード公爵家を敵に回して後悔するのはお前達だ!


ところで今は何時なんだろう?

時を報せる鐘の音が一向に響かない。


午前10時、
正午、
午後3時、
午後6時、
夜の10時


にその時間を示すメロディと共に鐘が鳴る。

その軽快なメロディとリズミカルな鐘の音はスタード公爵邸外にも鳴り響き、王都の人々に時を報せている。

6年前までは王宮が正午だけ重厚だが面白みの無い鐘の音を響かせていた。

スタード公爵邸は王宮に忖度して、初期は小さめの音を鳴らしていたのだが、いつしか王宮からの依頼で鐘の音、メロディ共に音量を上げ、王都の『時の門番』の役割を担っている。

そう言えばあの鐘の音はどうやっているんだろう?

あんなリズミカルに鐘をつくのは不可能だよな‥‥

メロディはその都度楽団に演奏させているのだろうか?

だが、音量を自由に上げ下げなんて‥‥



「‥‥ハッ!」



ディングはやっと気付く。
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