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92 文化祭ライブ4
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「ユウトと何がありました?」
「質問の意味が分からない」
「月曜辺りからギクシャクしてますよね」
「そんな昔の事は覚えていない」
「カサ…」
「何だ?カサブタ?」
「いえ…日曜日の口移しは関係無いですよね――私に対しては普通ですし」
「‥そうだ、一言言わねばと思っていた!
アレは何だ!?
救助活動に乗じて、己の欲望を満たしている様に見えたぞ!?」
「液体を零さない様に気を付けた結果です」
「どんどん長くなっていったな」
「そうでしたか?
無意識でしたので分かりません」
「最後、救助活動は終了したのにどさくさに紛れてキスしただろうッ!」
「そうでしたか?
無意識‥」
「無意識にしてしまったというのならフィカスは変態犯罪者だッ
ハレンチ犯罪者だッ」
「――ソレですか…」
「‥何だ?」
「『自分の方が1回足りない』とか言ってユウトの部屋に行きキスした――
そしてキスだけでは済まなかった!?」
「バッ‥何言って‥
そんな事するはずないだろう!?
俺はキスしかしてない!」
「吐きましたね」
「‥はッ!」
「部屋を訪ねるのは禁止事項のはず」
「中には入ってない!
廊下で」
「キスした――
それでユウトは混乱している、というワケですか…」
「混乱――
俺もしている」
「「‥‥‥‥‥‥」」
体育館舞台側入り口。
ここに高身長の目の覚める様なイケメンズ、ナイトとフィカスが立っている。
ユウトがライブ後半の衣装に着替えると言うので控室を出て待機していたところ、不意にフィカスがナイトに質問して来て――
沈黙に至る――
「ナイト、
フィカスさん」
二人の背後――控室のプレハブの方からユウトの声。
着替えが終わったのかと二人は振り向き、
「「‥ッッ!!」」
固まり、
見惚れて、
「き、綺麗だ…!」
「まさに女神だ!」
「よく似合ってる」
「纏う空気まで…」
「「美しいッ!」」
蕩ける様な表情と声で賛辞を贈る!
(息が合い過ぎてる)
「‥あ、うん。
すごい綺麗なドレスだよね。
着ててビビるよ」
「‥え?いや‥」
「ドレスじゃなくて、いや、ドレスも美しいけど、ドレスを着たユウトが‥」
「あの、ごめんね」
「「え?」」
「緊張してて、ジャージ脱がされてたの気付かなくてあんな事に‥」
ユウトを褒めたい気持ちが一切伝わらないまま話題が変わってしまった…
元々不器用なナイトにはありがちな事だが、器用なフィカスには珍しい事だ。
「ユウトは悪くない」
「謝る事無いよ?」
「…僕は…凄く嫌で…
自分で驚くくらい嫌で
実際、僕の足を見て自慰行為に至ってる人達がいて――
他の人に――ナイトとフィカスさんじゃない他の人にそういう目で見られてしまった事が許せなくて…」
「「‥ッッ!?」」
「だって僕は二人の…
ナイトとフィカスさんのものなのに――」
「「ッッッ!!!」」
突然の、まるで告白の様な、いやよく考えると告白じゃない様なユウトの言葉に真っ白になる二人。
「ユ…ユウト?
今のは一体…」
「どういう意味かな?
その…恋愛的な意味と受け取っていいのかな?」
「恋愛的にユウトは俺のもの――でいいのか?」
「ゴホン!
ナイト様と私のもの…
というのは恋愛的にはムリですよね…」
「そ、そうか…
恋愛的にではないという事か…」
何だか必死過ぎるナイトとフィカスに圧倒されて答えられないユウト。
と、体育館の舞台側入り口が開いて、桧木が顔を出す。
「舞台は準備OK――
‥ッッ!!
う、美しいッ!!
信じられな‥ハッ!
取り乱して失礼した!
後半…始められる?」
「あ‥はい」
「で、ではお手をどうぞ‥」
≪バシッ!≫
≪ビシッ!≫
「ユウトに触るな!」
「ユウトに触れない様に!」
「痛え、酷え!」
「い、行きましょう、
桧木先輩」
肝心な事が聞けないままでモヤモヤするナイトとフィカス。
ふわり‥‥
振り向くユウト。
「…後でね」
微笑みながらそう言うと、舞台へと向かって行く。
ナイトとフィカスは
動けない。
振り向いたユウトの謎めいた微笑みに囚われて微動だに出来ない。
「――フィカス、
俺達は完全に」
「やっと自覚されましたか」
11月だというのに、生暖かい風が吹き抜ける。
体育館の生徒たちは異様なほど静かだ。
白いドレス姿のユウトに見惚れている。
集団催眠に掛かっているかのような夢見る様な目――
どこか危険を孕んだ空気の中、ゆーとりんのライブの後半が始まる――
「質問の意味が分からない」
「月曜辺りからギクシャクしてますよね」
「そんな昔の事は覚えていない」
「カサ…」
「何だ?カサブタ?」
「いえ…日曜日の口移しは関係無いですよね――私に対しては普通ですし」
「‥そうだ、一言言わねばと思っていた!
アレは何だ!?
救助活動に乗じて、己の欲望を満たしている様に見えたぞ!?」
「液体を零さない様に気を付けた結果です」
「どんどん長くなっていったな」
「そうでしたか?
無意識でしたので分かりません」
「最後、救助活動は終了したのにどさくさに紛れてキスしただろうッ!」
「そうでしたか?
無意識‥」
「無意識にしてしまったというのならフィカスは変態犯罪者だッ
ハレンチ犯罪者だッ」
「――ソレですか…」
「‥何だ?」
「『自分の方が1回足りない』とか言ってユウトの部屋に行きキスした――
そしてキスだけでは済まなかった!?」
「バッ‥何言って‥
そんな事するはずないだろう!?
俺はキスしかしてない!」
「吐きましたね」
「‥はッ!」
「部屋を訪ねるのは禁止事項のはず」
「中には入ってない!
廊下で」
「キスした――
それでユウトは混乱している、というワケですか…」
「混乱――
俺もしている」
「「‥‥‥‥‥‥」」
体育館舞台側入り口。
ここに高身長の目の覚める様なイケメンズ、ナイトとフィカスが立っている。
ユウトがライブ後半の衣装に着替えると言うので控室を出て待機していたところ、不意にフィカスがナイトに質問して来て――
沈黙に至る――
「ナイト、
フィカスさん」
二人の背後――控室のプレハブの方からユウトの声。
着替えが終わったのかと二人は振り向き、
「「‥ッッ!!」」
固まり、
見惚れて、
「き、綺麗だ…!」
「まさに女神だ!」
「よく似合ってる」
「纏う空気まで…」
「「美しいッ!」」
蕩ける様な表情と声で賛辞を贈る!
(息が合い過ぎてる)
「‥あ、うん。
すごい綺麗なドレスだよね。
着ててビビるよ」
「‥え?いや‥」
「ドレスじゃなくて、いや、ドレスも美しいけど、ドレスを着たユウトが‥」
「あの、ごめんね」
「「え?」」
「緊張してて、ジャージ脱がされてたの気付かなくてあんな事に‥」
ユウトを褒めたい気持ちが一切伝わらないまま話題が変わってしまった…
元々不器用なナイトにはありがちな事だが、器用なフィカスには珍しい事だ。
「ユウトは悪くない」
「謝る事無いよ?」
「…僕は…凄く嫌で…
自分で驚くくらい嫌で
実際、僕の足を見て自慰行為に至ってる人達がいて――
他の人に――ナイトとフィカスさんじゃない他の人にそういう目で見られてしまった事が許せなくて…」
「「‥ッッ!?」」
「だって僕は二人の…
ナイトとフィカスさんのものなのに――」
「「ッッッ!!!」」
突然の、まるで告白の様な、いやよく考えると告白じゃない様なユウトの言葉に真っ白になる二人。
「ユ…ユウト?
今のは一体…」
「どういう意味かな?
その…恋愛的な意味と受け取っていいのかな?」
「恋愛的にユウトは俺のもの――でいいのか?」
「ゴホン!
ナイト様と私のもの…
というのは恋愛的にはムリですよね…」
「そ、そうか…
恋愛的にではないという事か…」
何だか必死過ぎるナイトとフィカスに圧倒されて答えられないユウト。
と、体育館の舞台側入り口が開いて、桧木が顔を出す。
「舞台は準備OK――
‥ッッ!!
う、美しいッ!!
信じられな‥ハッ!
取り乱して失礼した!
後半…始められる?」
「あ‥はい」
「で、ではお手をどうぞ‥」
≪バシッ!≫
≪ビシッ!≫
「ユウトに触るな!」
「ユウトに触れない様に!」
「痛え、酷え!」
「い、行きましょう、
桧木先輩」
肝心な事が聞けないままでモヤモヤするナイトとフィカス。
ふわり‥‥
振り向くユウト。
「…後でね」
微笑みながらそう言うと、舞台へと向かって行く。
ナイトとフィカスは
動けない。
振り向いたユウトの謎めいた微笑みに囚われて微動だに出来ない。
「――フィカス、
俺達は完全に」
「やっと自覚されましたか」
11月だというのに、生暖かい風が吹き抜ける。
体育館の生徒たちは異様なほど静かだ。
白いドレス姿のユウトに見惚れている。
集団催眠に掛かっているかのような夢見る様な目――
どこか危険を孕んだ空気の中、ゆーとりんのライブの後半が始まる――
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