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80 管理者たち

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山の中腹にあるこじんまりとした別荘風の建物。

ナイトとフィカスは『お待ちしておりました』と通され――入ってすぐに地下室への隠し階段を降りて通された部屋には三人の男達――『管理者』がいた。

内二人は先日の雨の事故現場に現れた二人だ。


普通に日本人の40代会社員に見える三人の男たち。

だが、いわゆる『宇宙人』だ。

と言っても、地球人自体が宇宙から移住して来た移民なので。


もう昔過ぎて一部の者しか知らない事だが。

現在人類と呼ばれている者達は、幾つかの死にゆく惑星から青く美しい惑星・地球を新天地として飛来し根を下ろした移民の子孫である。

『組織』による高度な計画のもと地球へやって来た選ばれし者たちは特に何かが優れていたわけではなく、いや、金儲けに優れていた裕福な者たち。

欲深く自然に感謝しなかった彼等はそれぞれ自分が住む惑星をダメにした。

金儲けの為に惑星の滅亡を全力で推し進めた張本人である彼等は、いざ惑星がもうダメだとなったら金の力で移住者名簿に名前を連ねまんまと自分達だけ助かった。

だから地球人の多くは欲深く、今もせっせと地球を壊し続けている。

遺伝だ。

相当の努力なしには逃れられない血の要求なのだろう…?


この移住者たちを管理する為『組織』から派遣されているのが『管理者』だ。

『管理者』たちの仕事とは――不法移住者を取り締まること。

『組織』による移住計画で正規に地球に移住した者を『正規地球人』として守り、

正規の手続きを踏まず不法に地球に住みついた不法移住者を『非正規地球人』と呼び、殺す。

何故なら『非正規地球人』は罪人であり、追われ地球に逃げて来た逃亡者だから。

ナイトの父とその一族はソレである為、殺された。

その際、ナイトが死を免れたのは母が保護対象である『正規地球人』だからだ。

――とは言え死ぬまで監視対象であり、命運は『管理者』が握っている。




「「「‥ッッ!」」」



入室して来たナイトを見て『管理者』たちは息を呑む。


(凄まじく美しい)
(何と堂々たる姿)
(オーラも凄まじい)


威風堂々たる佇まい――非の打ち所のない美貌――これがバンダの生き残り――『半罪人』だと‥


管理者たちはその立場にそぐわない輝きを放つナイトの姿に言葉を失くす。

目を見開いたままただただ見て来る管理者たちに対してナイトが口を開く。



「要請により来た。
用件を聞きたい。
時間が無い。
急げ」



挨拶――とか色々なものが欠落している感じが逆にその存在の尊さを際立たせている感じがして、管理者たちは平伏しそうになるが、すんでのところでとどまる。

わ、忘れるな!
自分達の方が立場が上なんだぞ!



「ウッ、ゴホン!
バンダ族の末裔、現バンダ王――
南都樫ナイト君だね。
さすがにご立派な御姿だ。
御足労感謝‥」

「バンダは国も種族も滅んだ――俺はただの日本人だ」

「あ‥はは‥殊勝な」
「用件は」



管理者たちは気まずそうに顔を見合わせ、立場の違いを誇示する事を諦める。



「分かった、本題に入ろう。
実は観測所からの報告で、最近地球上で大きな『力』が使われている様だと。
場所は日本でほぼ間違いないと。
日本に居る『監視対象者』は君だけだからね。
君が関わっているのかを判断したいのだ」

「関わってない。
未覚醒の俺に大きな力は無い」

「証明出来ますか?」

「関わっているという証明は?」

「――いいでしょう。
もうお帰り頂いて結構ですよ」

「…では失礼する」




ナイトたちが部屋を出たのを確認して、管理者たちはカーテンの影に隠れていた人物に駆け寄る。



「ドロセラ様、南都樫はどうでしたか?」



カーテンの影からナイトを鋭い目で睨んでいたドロセラは断言する。



「危険だ!
危険極まりない!」

「で、では‥‥!」

「ああ。
生きていてはいけない
――処刑が妥当だ」

「「「‥何と!」」」

「だが、確かに。
証拠だ証明だと言われても難しい
――だから、」

「「「ゴクリ」」」

「自滅してもらおう」

「「「‥は?」」」

「クッ、クヒヒヒッ」



ドロセラは醜く顔を歪ませ笑い、言い放つ!



「簡単な事だ!
フィカスと仲良く死んでもらおう!
そう、覚醒させればいいのだよ!」
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