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20 波乱の入学式当日

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パンパンパンパン!


「ぅわぁッ!?」



今日はユウトの入学式

こんな日に限って寝癖が酷過ぎた髪と格闘し、何とかジェルで固め玄関を一歩出たところで、乾いた破裂音に見舞われたユウト。



「な、何?
撃たれた!?
――あ、クラッカー…
え…えぇぇぇぇ!?」

「おめでとうございま~~す!!」



玄関から3メートルほどの所にある門。

その門の向こう側に10名の男たち。

私立橘高校の先輩たちだ!

その内3名は長い棒を手に持っており、棒の先には結構大きめのくす玉がぶら下がっている。


――ちょっと待って?

細いとはいえソコは公道。

体の大きい高校生達が占領していい場所じゃないし、まさかとは思うけど、そのデカいくす玉、そこで割る気じゃないよね!?


サッと顔色を失ったユウトが『ちょっと待って』と口に出す前に、



「行けッ」

という声――この声!
大きい先輩たちに隠れて姿は見えないけど桧木先輩の声だね!?

その声を合図に恭しくくす玉の下に垂れ下がった糸を先輩の一人が引くと、

≪パカッ!≫

とくす玉が割れて、

『八桐ユウト君、橘高入学おめでとう!』

の幕が!

いや、ソレ、口で言って下さい!

何でわざわざくす玉にする必要が‥



「続いて、行けッ」
「え、ちょっと待」

≪パカッ!≫

2番目のくす玉には、

『八桐ユウト君、アイドル就任おめでとう!』

の幕が!

ヤ、ヤメテ!

近所の人に見られたら恥ずかし過ぎて死ぬ!



「最後に、行けッ」
「あぁッもうヤメ」

≪パカッ!≫

3番目のくす玉には、

『アイドル名、『ゆーとりん』に決定!』

の幕――ひぃぃッ!?

終わった、近所での僕、終わった…!



ユウトは怒涛のお祝い攻撃に茫然自失状態である。

ジェルで固めた髪にはクラッカーの中身が貼り付き、門の周りにはくす玉の中身が散らかっている。


(で、出掛ける前に、ここ掃除しないと御近所迷惑に‥‥)


風に舞ったくす玉の中身が近所に飛んで行く前に片付けてしまわないとと、箒とゴミ袋を取りに行こうとしたところで、先輩たちが5名5名で左右に別れる。

それで出来た真ん中の道を桧木先輩が歩いて来る。

その手にはプチくす玉が。


「そしてこれは‥」
「待っ‥これ以上汚さないで‥」

≪パカッ!≫

必死に制止しようとするユウトを丸無視して割られた桧木が手持ちしている小さなお手製くす玉には、

『30万円達成、文化祭ライブ決定!』

の幕――えぇッ!?



えぇえぇえ~~~!?
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