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14 決意

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「ただい…ひぃッ!?
ウチのボロ屋のコタツん中にワールドクラスの美青年と美少年が入っている!?
ハッ!
美少年の方は俺の孫のユウト!」

「じぃちゃ‥‥いや、
もうツッコまないよ。
友達のナイト君。
ウチでご飯食べてってくれるんだって♪」

「ハハ、ユウトご機嫌だなぁ?
カワイイカワイイ。
どうも、ユウトのじぃちゃんです。
ユウトが世話んなっとります」

「南都樫 騎士です」
ペコリ。

「ちょっとアンタ、
手ぇ洗ってうがいしてからでしょ?」



玄関から居間のコタツにダイレクトインしたユウトのじぃちゃんにばぁちゃんが台所からやって来て注意する。



「挨拶が先でしょうが!」

「これだから昭和のオヤジは‥‥
今は衛生第一なの!
それが相手に対するエチケットでしょうが!
大体、今日は早いじゃないのよ?
晩御飯の時間に帰って来るなんて。
さては、すき焼きの匂いを嗅ぎ付けたわね!?」

「おお、今日はすき焼きか!」

「すき焼き‥‥
コレ」



ナイトが持っていた箱をばぁちゃんに差し出す。



「‥ハッ!
ナイト、それ…ッ!」

「どうぞ」

「え?…あら何…
ひぃぃぃぃッ!?
国産高級和牛すき焼き用ッ!?」

「なッ‥‥本当だッ!
庶民の憧れ、牛肉の神スリーのうちの一つッ!」

「ダメだよ、ナイト!
こんな高級なお肉もらえないよ!」

「薄肉だ」

「すき焼き用だからねッ!?
いや、だけどすき焼き用だからって今日ウチがすき焼きだからってあうぅ‥」

「俺はすき焼き作れない。
どんな肉でも塩コショウして焼くだけ。
すき焼き用の肉ならすき焼きにしてもらった方が肉も喜ぶ」

「え、(ナイトが長文話した?)」

「ユウト…頂きましょう」

「ばぁちゃんッ!?」



その目の奥に静かな決意の炎を揺らめかせたばぁちゃんがそう言うのと同時に、じぃちゃんがコタツからスッと出て――



「ありがとう、ナイト君。
市販の割り下を使うとは言え、ウチのすき焼きはちょっとしたもんだ。
その肉のポテンシャルを最高に引き出して見せる‥‥!」



「じ、じぃちゃん!?
そりゃ確かに凄いお肉だけど、感謝の気持ちを表すのに土下座はヤメテ!
ナイトが少し蒼ざめてるから!」


バッ!


「ひッ!? じぃ‥」

「分かった!
感謝の気持ちは結果で示して見せる!
いくぞ、ばぁさん!」

「あいよ!じぃさん」



まだアラフィフ。

15才の少年の祖父・祖母としてはかなり若い二人は、背中にスーパーサ○ヤ人並みのオーラを燃やしながら並々ならぬ決意と覚悟をもって台所へと消えて行く。

その手に頂きものの三大和牛の一つをしっかり捧げ持ちながら。



「あの、ありがとう、
実は楽しみ。
ウチ、鍋物に肉の代わりにウインナ使うから。
ちゃんとした、しかも高級牛のすき焼きなんて初めて」

「良かった」

「それにさっき――
ナイトの長文も」

「え?」

「嬉しかった。
初めてで、珍しくて」



そう言ってフワリと笑った美少年は照れて直ぐに視線を外してしまった。

だから、長文よりはるかに珍しいナイトのレア表情には気付かなかったんだよね。
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