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第四章
01 船上夜会へ 1
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α王国が誇る、海中にそびえ立つ城の様な巨大船。
船上パーティーの為のこの船へは30人程が乗れるボート数隻に乗って行く。
臨時で増設されたマリーナには受付の奥にティールームやバーが設けられている。
ボートを待つパーティーの参加者達が心地よく過ごせるよう配慮がなされている。
ティールームには香り高いお茶に外国製の珍しいお菓子が並びダイエット中のレディ達を悩ませる。
バーにはやはり外国産の珍しい酒や気の利いた軽食まであり、もうここがパーティー会場でいいのではないかと参加者達を感心させている。
ある者はおしゃべりに興じ、ある者はほろ酔い気分で、マリーナを楽しんでいる。
本会場よりも気楽な空間という事以上に、受付で妙に緊張させられた反動だろう。
今回、受付に配されている三人の文官は名門伯爵家の子息達。
しかもその奥に二名、名門侯爵家関係の文官まで控えている。
今夜の夜会には外国からの賓客も出席されるので、失礼があってはいけない。
それでも受付にこれだけの人員を置くのは珍しい。
国内貴族で今夜のパーティーに参加できるのは伯爵家以上の高位貴族。
滅多に他人に引け目を感じない彼等であっても、受付で優秀な名門貴族家の若者達に緊張を強いられた様だ。
「やはり今夜は特別な様ですな」
「では、やはり‥‥」
「噂通り、王太子殿下の婚約発表があるのでしょう‥‥」
あらまあ、やっとですか。
奇特‥‥いえ幸せな御令嬢はどなた?
など喧しいほどのヒソヒソ声が飛び交う中、受付の方から何やら徒ならぬ気配が漂って来る。
「何をモタモタしているのだ、エリダヌス卿。
サッサと招待状を出し給え」
「? プロキオン卿の招待状で事足りるのではないのか?」
「私の招待状は私とアルに対してのものだ。
エリダヌス卿の記載は無い。
‥‥まさか置いて来たのか?」
「置いて来たわけではない。
気にしなかっただけだ。
結果、今私の手元には無い」
「呆れた事だな。
覚えておき給え。
招待状無しで参加できるのは主催者だけだ。
父上‥ゴホン、国王陛下の度重なる招待を全無視して来たからこんな常識知らずの不手際を起こすのだ」
オロオロオロ、オロオロオロ‥‥‥
つい先程まで国内外の高位貴族を緊張させていた受付担当の文官たち。
優秀で品位ある彼等でも、高位貴族達が自分達に緊張する様子にはどこか優越感を感じずにはいられなかった‥‥
だが今は、涙目でただひたすらオロオロしまくっている。
目の前にフワリと現れた三美神。
美しさ、存在感、放つオーラ‥‥
どれをとっても異次元過ぎて、瞬時に石化した文官たち。
その上、二美神が招待状をめぐって小競り合いを始めてしまった。
コソ…(廃王子様‥‥だよな?)
コソ…(ああ‥‥しかも、どちらか一人でも垣間見れれば一生話のタネに出来るのに、まさかの二人揃い踏み‥‥)
コソ…(ああ‥‥やはり違う‥‥尊い‥‥ありがたい‥‥忘れ物で言い争っている様にはとても見えない‥‥)
コソ…(だが、どうする?)
コソ…(分からないよ! こんなの、学校で教わらなかった‥‥!)
名門伯爵家の子息達がオロオロするなか、やや年嵩の名門侯爵家ゆかりの高位文官二名がキリッとした表情で颯爽と奥から現れる。
君達は最高の成績で貴族学園を卒業した優秀な若者達なのだろうが‥‥
如何せん、経験が不足しているな、ハッハッハ‥‥
こういう時は、マニュアル通りではなく、融通をきかせなきゃいけないのだよ‥‥
‥‥的な雰囲気を醸しながら、恭しく口を開く。
船上パーティーの為のこの船へは30人程が乗れるボート数隻に乗って行く。
臨時で増設されたマリーナには受付の奥にティールームやバーが設けられている。
ボートを待つパーティーの参加者達が心地よく過ごせるよう配慮がなされている。
ティールームには香り高いお茶に外国製の珍しいお菓子が並びダイエット中のレディ達を悩ませる。
バーにはやはり外国産の珍しい酒や気の利いた軽食まであり、もうここがパーティー会場でいいのではないかと参加者達を感心させている。
ある者はおしゃべりに興じ、ある者はほろ酔い気分で、マリーナを楽しんでいる。
本会場よりも気楽な空間という事以上に、受付で妙に緊張させられた反動だろう。
今回、受付に配されている三人の文官は名門伯爵家の子息達。
しかもその奥に二名、名門侯爵家関係の文官まで控えている。
今夜の夜会には外国からの賓客も出席されるので、失礼があってはいけない。
それでも受付にこれだけの人員を置くのは珍しい。
国内貴族で今夜のパーティーに参加できるのは伯爵家以上の高位貴族。
滅多に他人に引け目を感じない彼等であっても、受付で優秀な名門貴族家の若者達に緊張を強いられた様だ。
「やはり今夜は特別な様ですな」
「では、やはり‥‥」
「噂通り、王太子殿下の婚約発表があるのでしょう‥‥」
あらまあ、やっとですか。
奇特‥‥いえ幸せな御令嬢はどなた?
など喧しいほどのヒソヒソ声が飛び交う中、受付の方から何やら徒ならぬ気配が漂って来る。
「何をモタモタしているのだ、エリダヌス卿。
サッサと招待状を出し給え」
「? プロキオン卿の招待状で事足りるのではないのか?」
「私の招待状は私とアルに対してのものだ。
エリダヌス卿の記載は無い。
‥‥まさか置いて来たのか?」
「置いて来たわけではない。
気にしなかっただけだ。
結果、今私の手元には無い」
「呆れた事だな。
覚えておき給え。
招待状無しで参加できるのは主催者だけだ。
父上‥ゴホン、国王陛下の度重なる招待を全無視して来たからこんな常識知らずの不手際を起こすのだ」
オロオロオロ、オロオロオロ‥‥‥
つい先程まで国内外の高位貴族を緊張させていた受付担当の文官たち。
優秀で品位ある彼等でも、高位貴族達が自分達に緊張する様子にはどこか優越感を感じずにはいられなかった‥‥
だが今は、涙目でただひたすらオロオロしまくっている。
目の前にフワリと現れた三美神。
美しさ、存在感、放つオーラ‥‥
どれをとっても異次元過ぎて、瞬時に石化した文官たち。
その上、二美神が招待状をめぐって小競り合いを始めてしまった。
コソ…(廃王子様‥‥だよな?)
コソ…(ああ‥‥しかも、どちらか一人でも垣間見れれば一生話のタネに出来るのに、まさかの二人揃い踏み‥‥)
コソ…(ああ‥‥やはり違う‥‥尊い‥‥ありがたい‥‥忘れ物で言い争っている様にはとても見えない‥‥)
コソ…(だが、どうする?)
コソ…(分からないよ! こんなの、学校で教わらなかった‥‥!)
名門伯爵家の子息達がオロオロするなか、やや年嵩の名門侯爵家ゆかりの高位文官二名がキリッとした表情で颯爽と奥から現れる。
君達は最高の成績で貴族学園を卒業した優秀な若者達なのだろうが‥‥
如何せん、経験が不足しているな、ハッハッハ‥‥
こういう時は、マニュアル通りではなく、融通をきかせなきゃいけないのだよ‥‥
‥‥的な雰囲気を醸しながら、恭しく口を開く。
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