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第三章

01 この一カ月

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「どっちから先に‥‥って、そりゃ良いニュースからでしょ」



少し困った様に眉を下げ、魅惑の美少年アルが言います。

ソファでアルの両隣りに陣取る美青年貴族、プロキオン公爵とエリダヌス伯爵も頷きます。




ここ、エリダヌス伯爵家の西の屋敷に三人揃って滞在する様になって一カ月近く。

その間、プロキオン公爵は自分が居なくてもいい事業だけ継続させ、他の‥‥

例えば、美少年の館 ”ドルチェ ”などは休業する事にしました。

そこで働く人たちには生活の保障の他に、バカンス手当も出し、さらに転職したければ協力する旨も伝えています。


『とにかく誰にも文句を言わせずアルとイチャイチャしたいからな』―――プロキオン公爵・談



エリダヌス伯爵の方はシンプルに、妻カペラとの婚姻解消を目標にしてきました。

‥‥と言っても、本人の作業としては手紙を書くくらい。

従者達に頑張ってもらっています。

彼本人が動くとなると、アルとプロキオン卿を二人きりにしてしまいます。

そうなればプロキオン卿は抜け駆けするかも‥‥いや、絶対する!


『安心し給え。抜け駆けなんて卑怯な事はしない』


真面目な顔でそう言って来る異母兄弟の目が笑ってしまっています。


『‥‥信用できるか!
完全監視だ!』―――エリダヌス伯爵・断



――― というワケでこの一カ月、三人はエリダヌス伯爵家の西の屋敷に籠り、ひたすらイチャイチャして過ごしました。

男三人なので‥‥いえ、愛し合う三人なので歯止めがききません。



一カ月前の大浴場から今日まで、ほとんど着衣する時間が無かったアルは‥‥


『前世様とうまく融合できたようだな‥‥』


と公爵と伯爵に言われ、実感は無いものの『‥‥確かに‥‥』と思う所もある様です。


二人に対する愛情と欲求のどうしようもない昂まり‥‥

ただ姿を見るだけで幸せだった、憧れの様な恋から‥‥

今は、見れば触れたくなる、感じたくなってしまう‥‥

湧き上がる欲望は当然の事と抑える気など全く無く‥‥

棒も玉も穴も二人の手に指に舌に時に優しく時に狂った様に愛撫され‥‥

感じやすい体は容赦の無い執拗な愛撫に悦び狂い啼き乱れて‥‥

疲れ果てた体を包むのは羞恥ではなく充足感‥‥


一カ月前までのアルなら考えられない事‥‥


さらに意識せずに変わってしまった態度や言葉遣い‥‥


それでも、

”まるで別人になってしまった ”

とは本人も美青年貴族たちも感じていません。


アルはアルなのです。
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