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第二章

43 新しい朝 その3

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少年が頭を後ろへ仰け反らせ、目を閉じ思わず笑みを漏らしたその頃‥‥‥



屋敷の五階、夫婦の寝室のバルコニーと繋がっている左右のバルコニー。

そこに、目の前で起こった事に驚き固まっている美丈夫二名。

左に屋敷の主・エリダヌス伯爵、右に客人・プロキオン公爵。


彼等は昨夜、アルを寝かせた後、『私が添い寝する!』『いや私が!』と散々もめた後、エリダヌス伯爵は本来の自分の寝室で、プロキオン公爵は本来は奥様の為の寝室で寝る事に落ち着きました。

それぞれ夫婦の寝室の続き部屋で、お互いを牽制し合い、監視する為に。



「‥‥分かっているだろうが、ぬけがけは許さない!」

「勿論だ!
呪いが解けたその時に、アルに私達のどちらかを選んでもらう。
アルの意思、決定を尊重する。
それまでは、互いにアルに手を出さず、成長を見守ろう!」



「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」



「う、ゴホン、”手を出さない ”‥‥というのは、つまり、ゴホゴホッ‥‥」

「‥‥え?‥‥ゴホッ‥‥あ‥‥ウン‥‥まぁ‥‥ゴホゴホゴホッ‥‥」

「さっきの‥‥ゴホッ‥‥大浴場での様な事はしない、という‥‥?」

「‥‥ウッ‥‥ゥゴホッ‥‥む‥‥そ、そうな‥‥る?‥‥ゴホゴホッ‥‥」

「キッ‥‥ゴホゴホゴホッ!‥‥キスもッ、ゴホホホッン、しない、‥‥と!?」

「んなッ!‥‥キスも!?‥あの柔らかくて気持ちイイ唇‥‥ゴホォッ!ブホォッ!」



「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」



「‥‥‥こういった事は、アルも含めて議論するべきだ」
「‥‥‥私としてはアルの気持ちを一番に大切にしたい」



「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」



「‥‥というワケで、とりあえず寝よう」

「‥‥ああ、では失礼する」



――― そんな不毛な会話をした後、伯爵と公爵はそれぞれ眠りにつきました。

アル同様に、それまで経験した事が無いくらいグッスリと、深く眠れた様です。
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