束の間のアル《廃王子様は性欲ゼロなのに熱・愛・中！？》

第二章

33 危険な少年

「ご馳走様でした！
とても美味しかったです！」



あぁあぁあぁ～～～天使！

天使が可愛過ぎる笑顔を俺に向けてくれている～～～



「‥‥ところで、」



‥‥ハッ！？

可愛過ぎる笑顔がふいに別の‥‥

妖艶な笑顔に変化する‥‥

ッ、俺は体の芯がビクリと震えっちまう‥‥



「あなたは転生者だね？」

「‥‥なッ‥‥」



俺は頭の中が真っ白になってしまう。

何故‥‥創作料理は別に珍しくねえ‥‥

なのに何故バレた！？

俺は何か不用意に口を滑らせただろうか！？



「ああ、ゴメンね、誤解しないで。
別にあなたを追い詰めようというのじゃないんだ。
あなたは過去に世界を混乱させた転生者達とは違うようだし」



そう言って少し困った様に首をかしげる精霊王子様。

キュン！キュート！！

俺は焦りまくっているのに、一方で精霊王子様の様子に夢中だ。

可愛いと妖艶が不規則に入れ替わる様さまに目も心も奪われている。

フワリと美しく色を変えるその瞳には清廉な輝きと官能的な艶めきが同居する。

この少年は‥‥精霊王子様は‥‥



‥‥‥危険だ‥‥‥‥



彼を見てしまった者は彼を手に入れたくなっちまうだろう。

俺みたいな料理人には手が届かねえが‥‥

例えば権力者なら‥‥王なら‥‥

彼を巡って国家間で争いが起きても不思議じゃねえ。

彼は‥‥誰にも見せちゃなんねえ。

知られちゃなんねえ。

誰にも害されない、安全な場所に隠しておかなけりゃ‥‥



「アル‥‥料理長が困っている様だが‥‥」



ハッ‥‥黒髪の貴公子様が精霊王子様‥‥アル様？　を俺から隠す様に膝の上に抱きかかえて‥‥うう‥‥羨ましいッ