束の間のアル《廃王子様は性欲ゼロなのに熱・愛・中！？》

第二章

17 前世様の在り方

前世様はどうして突然、現れてくれたんですか？

僕のそんな疑問に、前世様が口を開きます。


【そうだよね‥‥自分でもよく分からないけど‥‥
3人が恋に落ちるまでは私は意識‥‥魂の形になれなかった。
これは彼によるものというより、輪廻転生のルールなんだと思う。
正しい、絶対必要なシステムだと思うよ。
最初から私の意識があったら、今世を前世‥私の人生の延長にしてしまうからね。
つまり、アルの気持ちに関係なく彼の今世である二人に恋してしまっていた。
今世はアルの人生だから、それは出来ない。
アルがアルとして二人に恋するまでは私はただの記憶‥‥
それも想いの記憶ではなく、知識の記憶だけの状態で居たんだ。
その知識も曖昧で断片的だけどね。
私自身、魂の形になっても、曖昧で断片的なんだ。
自分の名前も、彼の名前も思い出せないんだから。
思い出せることは凄く細かく思い出せるのにね】


デネブ様とシリウス様と僕の3人はぽぅっとしながら前世様の話を聞いてます。

前世様が美し過ぎて話が入って来ません。

いや、入っては来るけど実感が湧かない？

僕の前世様は魅力的過ぎるから！！

改めて疑問‥‥本当に僕の前世様！？


【だから‥‥すまなかった、アル。
アルが辛い思いをしている時に助けになれなかった。
その事を、悔しく、苦しく思う】


そんな！


もったいないお言葉です！

美しく強くお優しい前世様‥‥

僕、恋してしまいそうです！


‥‥はっ‥‥


前世様が半目に‥‥

あ、そうか！

口に出さなくても前世様には僕の頭の中、丸見えなんだ！

うわぁ～～～‥‥