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デネブ・プロキオン

12 二人の廃王子

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遡る事19年前。

時の王太子(現王)の3人の妃がほぼ同時に懐妊した。



その頃、王には絶大な信頼を寄せる予知占い師がいた。

王は重大な決定をする際には、その予知占い師を頼った。


くだんの予知占い師は、王太子妃達の懐妊を受けて占った。



占いによると ―――


3人の王太子妃は、みな男子を産み落とすであろう。

これは王位継承権を巡っての内乱の火種となろう。

王国安寧の為に、憂いは早々に取り除かねばならぬ。

王となるのに相応しいのは魔力の強さである。

3人の中で、最も強い魔力を持つ者を後継ぎと定めよ。

残りの2名は、臣籍降下させ、臣下として王国に貢献させよ。



果たして、占い通りに妃達はそれぞれ男の子を産み落とした。

殆ど同時に生まれた3人は、1才になるのを待って魔力測定された。



結果、北宮の王太子妃が産み落とした男子が後継ぎと定められた。

実は魔力量が一番多かったのではなかったが、安定していた為、選ばれた。



南宮の王太子妃が産み落とした男子は、魔力量は多かった。

いや、多すぎた。

それは、成長できずに早死にする事を意味していた。

しかも、測定中に魔力暴走を起こした。

測定場は破壊され、多数の怪我人を出しパニックを引き起こした。

黒髪に赤い瞳の男の子は、臣籍降下される事となった。

すぐに死ぬと思われていたのになかなか死なず‥‥

とうとう16才、成人まで生き、プロキオン公爵となった。


プロキオン公爵、デネブ・プロキオン。


私の事だ。




西宮の王太子妃が産み落とした男子は、魔力量ゼロだった。

王族で魔力無しはあり得ない。

しかも原因不明の発作に度々見舞われる。

この子も成長できないだろう。

いつ死んでもおかしくないだろう。

赤髪に金の瞳の男の子は、臣籍降下される事となった。

すぐに死ぬと思われていたのになかなか死なず‥‥

とうとう16才、成人まで生き、エリダヌス伯爵となった。


エリダヌス伯爵、シリウス・エリダヌス。


彼の事だ。



そして ―――
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