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アル

23 ドキリ

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「あの、大丈夫ですか?」


僕は、辛そうに蹲る男性に声を掛けるが‥‥


「‥‥ッ!?」 バッ


その人は驚いて、多分無意識に僕を払いのけた。

僕はその勢いで後方へ飛ばされながら、その人を見た瞬間 ―――



ドキリと、心臓が何かをしらせた。



同時に、その人‥‥彼の表情が僕を捉える。


捨てられた子供の様な表情‥‥


彼は軽く振り払っただけだけど、僕は弾き飛ばされ、尻もちをついてしまった。

衝撃で、体中の傷に電気が走る様な痛みが広がる。


でも僕はすぐに起き上がり、もう一度彼に駆け寄った。

僕は必死だった。


それ程に彼の顔に虚ろに浮かび上がった絶望と諦めは僕の心を締め付けた。


彼の手を両手で握る。

彼の痛んだ心を温められる様に。


シュオンッ‥‥‥‥


「!?」


彼の何かが切り替わったのが分かる。


ああホラ、彼の中で暴走し、彼自身を苦しめていた魔力が解放されたのが見える。

良かったね‥‥今まで、どれほど辛かっただろう‥‥

でも、突然こんなに大きな魔力を制御するのは大変だよね‥‥


「な‥‥これは一体、どうなっている!?
痛みが‥‥体中の痛みが‥‥消え去った‥‥!
君が治してくれたのか?」


僕を見て驚きながら訊ねて来る彼。


神秘的な金色の瞳。

ビックリするほど美しい顔。


β王国語だけど発音が少し変だから、外国の人だよね。

平民の様な格好をしているけど、どう見ても高位貴族。


‥‥ハッ!


ガヤガヤとした声が近付いて来る。


僕の捜索隊が近付いて来てる!?


それとは別に一人の男が近付いて来る。


ん? 泣いてるの?
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