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第一章

46 僕、大人になりますッ

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【あなた達二人と私の三人で、アルの傷を完全に治そう。】

前世様のその言葉に、デネブ様とシリウス様が驚きます。


「「治す!?
魔力が込められた傷は誰にも…
どんな治癒魔法でも治すことは出来ないのでは!?」」

あ、それは嘘。
子供の頃読んだ歴史書にもそう書かれてたけど、嘘なんだよね。
そうか、僕がナゼか色々知ってるのは、前世様の知識なんだ‥‥


【出来るよ。
確かに、魔力が絡んだ傷は普通に治癒魔法を掛けても治せない。
だけど実は簡単な事なんだよね。
傷に絡んだ魔力を読み解き、傷から浮かび上がらせ、消滅させる。
残った傷は魔力が絡んでいた影響を受けているものの、治癒魔法を変化させることで治癒出来る。 単純な事だよ。】

だけど、理屈は簡単だけど、実際出来る人がいなかったんだろうな、今まで。
傷に絡んだ魔力は状態変化を起こしていて、読み解くのは不可能だもんね‥‥

(彼ならこんな面倒な手順も踏まずに一瞬で治せたんだけどね…)

え!?
デネブ様とシリウス様の前世、凄すぎる!!


【フフ、アルも気付いたよ。
理論上は出来るけど、それだけの力を持った人が今までいなかっただけ。
まず大量の魔力を持っていなければ出来ない。
傷の大小に関わらず、魔力の影響を受けた傷は、その魔力を取り去っても治癒するのに大量の魔力を消費するからね。
そして、傷に込められた魔力を読み解く‥‥意外と、コレが出来る人が少ない。
更に、魔力の影響を受けた傷の状態に合わせて治癒魔法を変化させるのも、かなり高度な技術だ。
この3つを同時にこなす人間は、今まで存在していない。
だから、魔力が込められた傷は治すことは出来ないと言われているんだろうね。】

!?
でも、前世様の彼は出来たって‥‥
ま、まさか前世様の彼って‥‥


【私は魔力が視えるから、アルの体にこびりついている黒い魔力を読み解く。
デネブは私が読み解いた黒い魔力を粉砕、消滅して欲しい。
シリウスは緻密な魔法を使えるから、治癒魔法を頼みたい。
デネブはシリウスが治癒魔法に専念出来るように魔力補助もしてほしい。】

えぇっ!? そんなっ‥‥
僕はいいです!!
そんな、相当大変な作業‥‥ひぃぃ‥‥
3人に迷惑掛けるわけにはっ‥‥


【アルがあなた達に迷惑掛けたくないって内(なか)で騒いでるんだけど。
アルもバカなんだね‥‥
アルがちゃんと治って成長しないと、呪いは解けない。(と思う)
アルの呪いが解ければデネブ、シリウスの呪いも解けるはず。(多分ね)
だからアルを治すのはデネブ、シリウスの為でもあるんだよ。(間違いないでしょ)】

‥‥ハッ!
そうか‥‥そうなんだ‥‥
恥ずかしい‥‥そんな事にも気付けないなんて‥‥


「よ、よろしくお願いしますッ!
お二人の呪いが解ける様に、僕、頑張って大人になりますッ」


「「 !! アルッ!?
戻ったのか!?
前世の人から‥‥」」


【ハイ、終了。
アル本人に頼まれた方があなた達のモチベーション上がるでしょ?
大丈夫、私が出しゃばるのはアルの体を治すまでだから。】


「「 ‥‥‥‥ッッ 」」


【複雑な顔しないの。
出来るだけ早く治したいんだけど。
今からでいい?】


「「もちろんだっ!!」」

うッ…れしいです。
そんなに力強く、真剣なお二人…嬉しいですッ!

そ、それで、僕は何をしたら‥‥?
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