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第一章

39 赤い子来た!

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≪キュアッ!≫

突然ベガが驚いた様な声を上げ、上空を見上げています。
僕とシリウス様もベガが見つめる先に視線を向けます。


「「 ハッ!! 」」


何て、何てカッコイイんでしょう!
満月を背に赤い翼竜に乗る美青年!
長い黒髪をなびかせるその雄姿‥‥
月光に縁取られ輝く輪郭は何とも尊く、ありがたく‥‥
姿絵にして売り出せば老若男女が列をなして買い求めることでしょう!
ぼ、僕も絶対買いますっ
鑑賞用と保存用、2枚買いますっっ


本当にあなたは、いつも罪レベルでカッコイイのですね!
デネブ様‥‥!!


「プロキオン卿‥‥
追って来たのか‥‥
何とシツコイ‥‥
気持ち悪い男だな‥‥」

シリウス様が唸る様に仰います。
ええ!?
あんなにカッコイイのに‥‥
何でシリウス様には分からないんでしょう??

デネブ様を乗せている赤い翼竜は‥‥
きっとベガと双子の子です!
真っ赤な体に金色の瞳‥‥
キレイ、カワイイ!


≪キュゥンッ!≫

ベガが興奮して鳴‥‥


「うわわッ!?
何!? ベ‥‥」

ベガが僕を鼻でサッとすくい上げるとポンと背中へ。
そのままブアッと急上昇して‥‥
ついさっき下りたばかりなのに、再び上空です。


「アルッ!!」


「デネブ様‥‥!」


≪キュアッ!≫


≪キュォンッ!≫


さすが双子ちゃん。
鳴き声を交わすと、並行して一緒に飛びます。
楽しそう‥‥ん?
赤い子が僕を見てる‥‥
ベガと同じ様に眼が色々な色に変化します。

(フフ、凄く綺麗だね‥‥)

!?
今の‥‥”私 ”!?
いや‥‥でも‥‥ぼくの感覚の様でもあるし‥‥
そもそも僕と ”私 ”の関係って何なんだろう?
二重人格って感じじゃない。
何者かに体を乗っ取られたっていうのはもっと違う。
だけど、同一じゃないのも確か。
だって、”私 ”は僕の知らない事を知っていて、
僕よりずっと強くって、
僕ではあり得ないほどの魅力がある‥‥


≪キュアンッ!キュウッ、キュッ、キュッ、キュゥ~~~ン!!≫


「!? どうした?
何を興奮しているんだ!?」

騒ぎ出した赤い子に、デネブ様が困惑します。
僕にも分からな‥‥
あ‥‥ぼうっとする‥‥

この感じ‥‥出る‥‥彼が‥‥


僕にも分からない僕の中の ”私 ”が‥‥
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