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第一章
36 『私』?『彼』?誰?
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「ハァッ‥‥ハァッ‥‥あぁ、アル‥‥‥蕩けそうだ‥‥」
熱っぽい眼で、声で、息で、伯爵様が仰います。
【フフッ‥‥、私もだよ‥‥】
だ、誰の声!?
いや、僕の声だけど!!
こ、こんな艶っぽい声、何で僕の口から!?
「‥‥ッ!!」
伯爵様は瞳を震わせ、折れるほど僕を抱きしめます。
痛ッ‥‥そ、それよりも!
絶対、翼竜に乗って飛行中だって忘れてますよね!?
うわッ!? ま、まだキスするつもり!? や‥‥‥
伯爵様が熱い唇を再び重ねてきます。
ダメッ‥‥あ‥‥
【‥‥ゥンッ‥‥ンンッ、ハッ、アン‥‥チュッ‥‥チュゥッ‥‥】
狂った様に、求め合い、奪い合い、与え合う様なキス。
激しくて、甘くて、狂おしくて‥‥‥
【‥‥ハッ‥‥!】
え‥‥と、僕の中の僕‥‥
”私 ”がハッとしたようです。
スッと身を引き唇を離します。
「‥‥ッ!? アルッ!?
もっと‥もっと欲しいッ‥」
伯爵様が僕を引き寄せようとするけど‥‥
”私 ”がサッと手で制します。
え‥‥不敬じゃない?
大丈夫?
【そう‥‥そうなんだね‥‥
バカだね‥‥】
不敬じゃないっ!?
「アル!?
何を言って‥‥‥」
【‥‥あなたは‥‥ ”彼 ”は‥‥
自分で自分に呪いをかけたんだね‥‥‥】
「呪いをかけた!?
私が私に!?
”彼 ”!?
ア‥‥アル、君は何を知っているんだ!?
こんなに私をかき乱す‥‥‥
君は私の何なんだッ!?
教えてくれッ!!」
伯爵様が必死過ぎる顔で僕‥‥
いえ、 ”私 ”に訴えます。
【バカ‥‥‥
どうして自身の事も私の事も縛る?
‥‥ッ、どうしたらいい‥‥‥?
どうしたら呪いを解ける?】
途中から独り言の様に言い、”私 ”はクルリと前を向くと、
【ベガ、もう降りていいよ。】
と言います。
≪キュッ!≫
ベガは返事する様に鳴くと、スイッと下降します。
「‥‥なっ!?
ベガは私の魔力の制御下にあるはず‥‥」
【この子は元々私のものだよ。
可愛い事に、私を追って来たんだね‥‥フフ‥‥
翼竜は誇り高い。
誰の魔力の影響下にあろうとも、完全には支配されない。
真の主である私の言う事を聞くのは当然の事だよ。】
な‥‥な‥‥何を言っているンだろう、”私 ”は?
あ、ベガが着陸した。
屋敷の屋上だ‥‥‥広っ!
ああ、もう着いていたんだ、伯爵様の西の屋敷に。
そっか、上空をグルグル回ってたんだ‥‥
キ‥‥キスの為に?
うわぁぁ‥‥‥‥(赤面)
熱っぽい眼で、声で、息で、伯爵様が仰います。
【フフッ‥‥、私もだよ‥‥】
だ、誰の声!?
いや、僕の声だけど!!
こ、こんな艶っぽい声、何で僕の口から!?
「‥‥ッ!!」
伯爵様は瞳を震わせ、折れるほど僕を抱きしめます。
痛ッ‥‥そ、それよりも!
絶対、翼竜に乗って飛行中だって忘れてますよね!?
うわッ!? ま、まだキスするつもり!? や‥‥‥
伯爵様が熱い唇を再び重ねてきます。
ダメッ‥‥あ‥‥
【‥‥ゥンッ‥‥ンンッ、ハッ、アン‥‥チュッ‥‥チュゥッ‥‥】
狂った様に、求め合い、奪い合い、与え合う様なキス。
激しくて、甘くて、狂おしくて‥‥‥
【‥‥ハッ‥‥!】
え‥‥と、僕の中の僕‥‥
”私 ”がハッとしたようです。
スッと身を引き唇を離します。
「‥‥ッ!? アルッ!?
もっと‥もっと欲しいッ‥」
伯爵様が僕を引き寄せようとするけど‥‥
”私 ”がサッと手で制します。
え‥‥不敬じゃない?
大丈夫?
【そう‥‥そうなんだね‥‥
バカだね‥‥】
不敬じゃないっ!?
「アル!?
何を言って‥‥‥」
【‥‥あなたは‥‥ ”彼 ”は‥‥
自分で自分に呪いをかけたんだね‥‥‥】
「呪いをかけた!?
私が私に!?
”彼 ”!?
ア‥‥アル、君は何を知っているんだ!?
こんなに私をかき乱す‥‥‥
君は私の何なんだッ!?
教えてくれッ!!」
伯爵様が必死過ぎる顔で僕‥‥
いえ、 ”私 ”に訴えます。
【バカ‥‥‥
どうして自身の事も私の事も縛る?
‥‥ッ、どうしたらいい‥‥‥?
どうしたら呪いを解ける?】
途中から独り言の様に言い、”私 ”はクルリと前を向くと、
【ベガ、もう降りていいよ。】
と言います。
≪キュッ!≫
ベガは返事する様に鳴くと、スイッと下降します。
「‥‥なっ!?
ベガは私の魔力の制御下にあるはず‥‥」
【この子は元々私のものだよ。
可愛い事に、私を追って来たんだね‥‥フフ‥‥
翼竜は誇り高い。
誰の魔力の影響下にあろうとも、完全には支配されない。
真の主である私の言う事を聞くのは当然の事だよ。】
な‥‥な‥‥何を言っているンだろう、”私 ”は?
あ、ベガが着陸した。
屋敷の屋上だ‥‥‥広っ!
ああ、もう着いていたんだ、伯爵様の西の屋敷に。
そっか、上空をグルグル回ってたんだ‥‥
キ‥‥キスの為に?
うわぁぁ‥‥‥‥(赤面)
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