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第一章
31 双子の翼竜
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「さておきます! ハァ、ハァ‥‥(笑いを堪えています)
この子‥‥ベガは確か‥‥多分、双子ですよね?
この子とは色違いの、赤い子がいたはずですが‥‥
なぜ、今独りなのですか?」
何となく『双子で、赤い子がいた、絶対!』と思うんです。
「え‥‥いや、卵は一つだけだった。
念の為西の屋敷の森中を探したから、間違いない。
卵は一つだったよ。」
伯爵様がそう仰います。
ん‥‥おかしいな。
双子だったと思うんだけどなぁ‥‥
「3年前‥‥私の南の屋敷の庭園にも‥‥卵が落ちていた。
普通の鳥類のものとは思えない、大きな、赤い卵だった。
『何だコレ』と思いながら足でコンコンしていたら‥‥
孵化した。
卵の色と同じ、赤い翼竜だった。
そこの真っ黒い翼竜の、まさに色違いの‥‥
真っ赤な翼竜が私の南の屋敷の庭にいる。」
デネブ様が放心したように仰います。
そう、そうだよね!
良かった、迷子かと心配した‥‥
「ああ、やっぱり双子ちゃんですね!
そうですか、デネブ様の南の屋敷に‥‥
元気に成長していますか?」
デネブ様は普段は王都の屋敷に住んでいます。
僕もそこに居候させてもらっています。
なので僕は南の屋敷には行った事がありません。
「私は翼竜の生育に関与していない。
放置している。
南の屋敷の使用人たちに任せている。
丁度先日屋敷に寄った際久々に見たが‥‥
大きさもまるで一緒だったな‥‥」
「‥‥君はこの3年間、殆ど王都中心地にある館に居たようだな。
それまでずっと引き籠っていた王都南端の屋敷ではなく。
なるほど、王都中心地に居たい理由があったワケだ‥‥
幽閉という形をとらず人を隠すには、田舎より都会がいい。
王都中心地は外国人も多い。
人々は見慣れない人に慣れている。
例えば、珍しい髪をした美少年を見掛けた人がいても、田舎ほど騒がれない。
さらに君は突然いくつも商売を始めその全てを成功させている。
本来なら学校へ通うはずの年齢の少年に仕事の実践の勉強をさせる為か。
商売に関しては学校へ通うよりずっと為になる。
何より常に自分の傍に置いて、守る事が出来る。
この3年間で耳にした君の噂は全て一つの目的の為だったんだな。」
伯爵様がデネブ様にそんな風に仰います。
何の話? 翼竜の話からズレてない?
‥‥あれ? 何か急に冷え込んできたような‥‥
あ、もう夕刻も終わり夜ですもんね。
「あの、デネブ様の南の屋敷と伯爵様の西の屋敷は遠いのですか?
双子達を会わせられないでしょうか?」
ごめんなさい、伯爵様。
僕の頭の中は翼竜双子ちゃんでいっぱいです!
あの子達、会ったらきっと喜ぶ!
ワクワクしながら聞いたんだけど‥‥
「私の所にいる翼竜は、一切人間に懐かない。
一番面倒をみている者ですら時々喰われそうになるらしい。
とても移動なんてムリだし、その黒いのに来てもらってもなぁ‥‥
‥‥アルが言う通り、実際に双子だったとしても、3年も離れていたんだ。
多分、共喰いが始まるんじゃないか?
太古の翼竜は群れで行動したらしいが、今は違う。
単独行動を好み、同種族であっても他の個体は攻撃の対象だ。
翼竜同士で喰い合う事も少なくないらしいから。」
デネブ様は僕を気遣ってくれながらも、否定的です。
う~~~ん‥‥ん?‥‥あれ?‥‥ぼ~っとする?
【‥‥フウン、そうなんだね‥‥
でも、会わせてあげて欲しい。
‥‥フフ、大丈夫だよ。
もしケンカになったら私が止めるからね。】
あ‥‥何? これ‥‥今‥‥僕が喋ってる‥‥?
「「 ?!! 」」
≪キュッ!!≫
伯爵様とデネブ様、ベガまでもが眼を剥いて僕を見ています‥‥
え‥‥と‥‥?
この子‥‥ベガは確か‥‥多分、双子ですよね?
この子とは色違いの、赤い子がいたはずですが‥‥
なぜ、今独りなのですか?」
何となく『双子で、赤い子がいた、絶対!』と思うんです。
「え‥‥いや、卵は一つだけだった。
念の為西の屋敷の森中を探したから、間違いない。
卵は一つだったよ。」
伯爵様がそう仰います。
ん‥‥おかしいな。
双子だったと思うんだけどなぁ‥‥
「3年前‥‥私の南の屋敷の庭園にも‥‥卵が落ちていた。
普通の鳥類のものとは思えない、大きな、赤い卵だった。
『何だコレ』と思いながら足でコンコンしていたら‥‥
孵化した。
卵の色と同じ、赤い翼竜だった。
そこの真っ黒い翼竜の、まさに色違いの‥‥
真っ赤な翼竜が私の南の屋敷の庭にいる。」
デネブ様が放心したように仰います。
そう、そうだよね!
良かった、迷子かと心配した‥‥
「ああ、やっぱり双子ちゃんですね!
そうですか、デネブ様の南の屋敷に‥‥
元気に成長していますか?」
デネブ様は普段は王都の屋敷に住んでいます。
僕もそこに居候させてもらっています。
なので僕は南の屋敷には行った事がありません。
「私は翼竜の生育に関与していない。
放置している。
南の屋敷の使用人たちに任せている。
丁度先日屋敷に寄った際久々に見たが‥‥
大きさもまるで一緒だったな‥‥」
「‥‥君はこの3年間、殆ど王都中心地にある館に居たようだな。
それまでずっと引き籠っていた王都南端の屋敷ではなく。
なるほど、王都中心地に居たい理由があったワケだ‥‥
幽閉という形をとらず人を隠すには、田舎より都会がいい。
王都中心地は外国人も多い。
人々は見慣れない人に慣れている。
例えば、珍しい髪をした美少年を見掛けた人がいても、田舎ほど騒がれない。
さらに君は突然いくつも商売を始めその全てを成功させている。
本来なら学校へ通うはずの年齢の少年に仕事の実践の勉強をさせる為か。
商売に関しては学校へ通うよりずっと為になる。
何より常に自分の傍に置いて、守る事が出来る。
この3年間で耳にした君の噂は全て一つの目的の為だったんだな。」
伯爵様がデネブ様にそんな風に仰います。
何の話? 翼竜の話からズレてない?
‥‥あれ? 何か急に冷え込んできたような‥‥
あ、もう夕刻も終わり夜ですもんね。
「あの、デネブ様の南の屋敷と伯爵様の西の屋敷は遠いのですか?
双子達を会わせられないでしょうか?」
ごめんなさい、伯爵様。
僕の頭の中は翼竜双子ちゃんでいっぱいです!
あの子達、会ったらきっと喜ぶ!
ワクワクしながら聞いたんだけど‥‥
「私の所にいる翼竜は、一切人間に懐かない。
一番面倒をみている者ですら時々喰われそうになるらしい。
とても移動なんてムリだし、その黒いのに来てもらってもなぁ‥‥
‥‥アルが言う通り、実際に双子だったとしても、3年も離れていたんだ。
多分、共喰いが始まるんじゃないか?
太古の翼竜は群れで行動したらしいが、今は違う。
単独行動を好み、同種族であっても他の個体は攻撃の対象だ。
翼竜同士で喰い合う事も少なくないらしいから。」
デネブ様は僕を気遣ってくれながらも、否定的です。
う~~~ん‥‥ん?‥‥あれ?‥‥ぼ~っとする?
【‥‥フウン、そうなんだね‥‥
でも、会わせてあげて欲しい。
‥‥フフ、大丈夫だよ。
もしケンカになったら私が止めるからね。】
あ‥‥何? これ‥‥今‥‥僕が喋ってる‥‥?
「「 ?!! 」」
≪キュッ!!≫
伯爵様とデネブ様、ベガまでもが眼を剥いて僕を見ています‥‥
え‥‥と‥‥?
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