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第一章
22 全ては考え方一つ
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伯爵様が掛けたかなり高度で複雑な魔法とは‥‥
まず、伯爵様が放った光のバリアで拘束します。
その状態で侵入者自身の魔力を使い、侵入者自身を攻撃させます。
自分の魔力が尽きるまで、自分を攻撃し続けるのです。
魔力量が多い者ほど、苦痛は大きく長くなります。
2人の侵入者は魔力量が大きく違っていました。
だから倒れるまでの時間差も大きかったのです。
そして‥‥
通常、魔力は回復します。
但し、魔力を全部使い切ってしまうと、回復出来なくなります。
そうなると死に至る人もいます。
死ななくても、一カ月は寝たきり状態になります。
体力回復後は、完全に魔力無しの、普通の人になってしまいます。
今まで魔力でブイブイ言わせてきたであろう2人には辛い事でしょう。
「――― 何と言うか、寒気がするような恐ろしい罰だな。
こいつ等、もう人生オワリだろう。」
崩れ落ちたまま気絶している男を見ながら、デネブ様が呟きます。
「チャンスでもあるんじゃないですか?」
素直に思った事を口に出してみると。
え? 何が?
という顔を皆にされてしまいます。
(*無表情除く)
あれ?
僕の考え方、何か変?
「その、今回の侵入者たちは多分、皆、平民だと思います。
ふつう、平民で魔力持ちに生まれたら、魔力に頼った仕事を選ぶでしょう。
降ってわいた幸運である魔力を使わない選択肢はほぼないはずです。
まず魔法使いか魔術師になる。
そこから冒険者になる人が多いですよね。
というか、冒険者一択。
平民が魔力を活かせる職業って、今の所冒険者ぐらいです。」
対して貴族には職業選択の自由は有りません。
魔力持ちであろうがなかろうが、家がらみの仕事に縛られています。
領地経営であったり、王宮勤めであったり。
商売をするにしても、家がらみである事が普通です。
魔力があるから魔法使いになって冒険者やります!
なんて許されないのです。
「彼等の中には、冒険者が合わない、簡単に大金を稼げる、などの理由で闇の依頼を受ける者もいます。
用心棒から誘拐、暴行、暗殺まで請け負う、犯罪者集団に堕ちる者達。」
「ああ、コイツ等がまさにそうだろう。」
デネブ様が相槌を打ってくれます。
よかった、相槌打ってもらえると、”独り言状態 ”じゃないと安心できます。
「もし、彼等が最初から魔力持ちではなかったら‥‥
容易に犯罪行為が出来てしまう魔力を持っていなかったら‥‥
犯罪者になったでしょうか?」
「いくら大金が稼げても、自分の命を危険にさらすとなると‥‥」
「よっぽどの事情があるか、根っからの悪党しかならないと思います。」
ベテルとギウスが考えながら答えてくれます。
マジメに聞いてくれて、お兄さん嬉しいです!
「そうだな、普通の人間なら、普通の仕事を選ぶだろう。」
あ、デネブ様の微笑マスクが復活してる!
粉々に砕けて消失したんじゃなかったんですね!
「この2人、普通の人間に生まれ変われたんだと捉えれば‥‥
人生をやり直す、すごいチャンスだと思えるんです。
彼等の悪行を知らない外国に行って、普通の人間として生き直す。
普通の人間なら、職業‥‥人生の選択肢がどーんと増えます。
本来の、自分が好きな事や、面白いと思える事‥‥
すぐには見つからなくても、新たに探すことが出来ます。
魔力の代わりに、努力が必要ですが‥‥」
「「「「 !! 」」」」
「‥‥なるほど。 だが‥‥
こいつ等に今更努力なんて出来るとは思えないが‥‥」
デネブ様がそう言うのも尤もな事。
魔力は持って生まれたもので、そこに努力は必要有りません。
魔術師になるにはかなりの努力が必要だけど、魔法使いは違います。
コントロールさえ覚えてしまえば感覚的に使えてしまうのです。
魔力は努力次第で増える、ということも有りません。
だから魔法使いの多くは努力しません。
あ、伯爵様やデネブ様の様に魔力量が桁違いに多い人は逆に制御が大変ですけど。
「努力して何かを習得できた時はとても嬉しいものです。
これは、もとから持っている人には得られない喜びです。
どんなに頑張ってもダメな時はかなり落ち込みますが‥‥
その分他人の痛みも分かるようになったりして、魂は成長できる気がします。
報われようが報われまいが、努力はする価値があると私は思うのですが‥‥」
――― なんて言ってもピンと来ないかな。
ここにいるのは僕を除けば皆魔力持ち。
伯爵様とデネブ様に至っては超魔力持ちだからね。
「全ては考え方一つ。
失くして、絶望の人生なのか、
新たな、可能性を追える人生なのか。
‥‥もちろん、その前に罪を償わなければならないでしょうけど。」
侵入者達を連行する為やっとやって来た騎士団を見ながら呟きます。
彼等は、パッと見生死不明の5人を見て固まっていますね‥‥
まず、伯爵様が放った光のバリアで拘束します。
その状態で侵入者自身の魔力を使い、侵入者自身を攻撃させます。
自分の魔力が尽きるまで、自分を攻撃し続けるのです。
魔力量が多い者ほど、苦痛は大きく長くなります。
2人の侵入者は魔力量が大きく違っていました。
だから倒れるまでの時間差も大きかったのです。
そして‥‥
通常、魔力は回復します。
但し、魔力を全部使い切ってしまうと、回復出来なくなります。
そうなると死に至る人もいます。
死ななくても、一カ月は寝たきり状態になります。
体力回復後は、完全に魔力無しの、普通の人になってしまいます。
今まで魔力でブイブイ言わせてきたであろう2人には辛い事でしょう。
「――― 何と言うか、寒気がするような恐ろしい罰だな。
こいつ等、もう人生オワリだろう。」
崩れ落ちたまま気絶している男を見ながら、デネブ様が呟きます。
「チャンスでもあるんじゃないですか?」
素直に思った事を口に出してみると。
え? 何が?
という顔を皆にされてしまいます。
(*無表情除く)
あれ?
僕の考え方、何か変?
「その、今回の侵入者たちは多分、皆、平民だと思います。
ふつう、平民で魔力持ちに生まれたら、魔力に頼った仕事を選ぶでしょう。
降ってわいた幸運である魔力を使わない選択肢はほぼないはずです。
まず魔法使いか魔術師になる。
そこから冒険者になる人が多いですよね。
というか、冒険者一択。
平民が魔力を活かせる職業って、今の所冒険者ぐらいです。」
対して貴族には職業選択の自由は有りません。
魔力持ちであろうがなかろうが、家がらみの仕事に縛られています。
領地経営であったり、王宮勤めであったり。
商売をするにしても、家がらみである事が普通です。
魔力があるから魔法使いになって冒険者やります!
なんて許されないのです。
「彼等の中には、冒険者が合わない、簡単に大金を稼げる、などの理由で闇の依頼を受ける者もいます。
用心棒から誘拐、暴行、暗殺まで請け負う、犯罪者集団に堕ちる者達。」
「ああ、コイツ等がまさにそうだろう。」
デネブ様が相槌を打ってくれます。
よかった、相槌打ってもらえると、”独り言状態 ”じゃないと安心できます。
「もし、彼等が最初から魔力持ちではなかったら‥‥
容易に犯罪行為が出来てしまう魔力を持っていなかったら‥‥
犯罪者になったでしょうか?」
「いくら大金が稼げても、自分の命を危険にさらすとなると‥‥」
「よっぽどの事情があるか、根っからの悪党しかならないと思います。」
ベテルとギウスが考えながら答えてくれます。
マジメに聞いてくれて、お兄さん嬉しいです!
「そうだな、普通の人間なら、普通の仕事を選ぶだろう。」
あ、デネブ様の微笑マスクが復活してる!
粉々に砕けて消失したんじゃなかったんですね!
「この2人、普通の人間に生まれ変われたんだと捉えれば‥‥
人生をやり直す、すごいチャンスだと思えるんです。
彼等の悪行を知らない外国に行って、普通の人間として生き直す。
普通の人間なら、職業‥‥人生の選択肢がどーんと増えます。
本来の、自分が好きな事や、面白いと思える事‥‥
すぐには見つからなくても、新たに探すことが出来ます。
魔力の代わりに、努力が必要ですが‥‥」
「「「「 !! 」」」」
「‥‥なるほど。 だが‥‥
こいつ等に今更努力なんて出来るとは思えないが‥‥」
デネブ様がそう言うのも尤もな事。
魔力は持って生まれたもので、そこに努力は必要有りません。
魔術師になるにはかなりの努力が必要だけど、魔法使いは違います。
コントロールさえ覚えてしまえば感覚的に使えてしまうのです。
魔力は努力次第で増える、ということも有りません。
だから魔法使いの多くは努力しません。
あ、伯爵様やデネブ様の様に魔力量が桁違いに多い人は逆に制御が大変ですけど。
「努力して何かを習得できた時はとても嬉しいものです。
これは、もとから持っている人には得られない喜びです。
どんなに頑張ってもダメな時はかなり落ち込みますが‥‥
その分他人の痛みも分かるようになったりして、魂は成長できる気がします。
報われようが報われまいが、努力はする価値があると私は思うのですが‥‥」
――― なんて言ってもピンと来ないかな。
ここにいるのは僕を除けば皆魔力持ち。
伯爵様とデネブ様に至っては超魔力持ちだからね。
「全ては考え方一つ。
失くして、絶望の人生なのか、
新たな、可能性を追える人生なのか。
‥‥もちろん、その前に罪を償わなければならないでしょうけど。」
侵入者達を連行する為やっとやって来た騎士団を見ながら呟きます。
彼等は、パッと見生死不明の5人を見て固まっていますね‥‥
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