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14.母さんの過去

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翌日。 午前10時。


俺は陸城の母・瑛子さんと会っている。
瑛子さんは芸術家で、自宅近くに仕事場、アトリエを持っている。
仕事場アトリエに陸城が来ることは無いそうなので、陸城に隠れて会えるのだ。


彼女には昨夜のうちに連絡して、ゴリラズに内緒で会ってもらえるように頼んでおいた。瑛子さんは3人の母親の中でもリーダー格だし、さばさばしていて話しやすいしな。


今日の彼女は、何色とも言えない黄系の変わった形のシャツ素材のロングコートの様な服を着ており、ミュージカル“アニー”のアニー的な髪形なのだが何色とも言えない赤系のグラデーションで・・・ちょっと凡人の俺には分からない。
前回会った時は和装で色っぽくて、似合ってたんでちょっと残念・・・


「・・・・・・」


ここまでの話で、俺は陸城・深海・真空について何も知らなかった事を思い知らされている。


まず、幼馴染だと思っていた3人は、異母兄弟だった。


3人の父親は 田中 恭介さん、やはり母さんと友達だったというが、俺は会った事無い人だ。


それにしても・・・


陸城・深海・真空は3人とも9月生まれ・・・


陸城の母・瑛子さん、深海の母・美依子さん、真空の母・思惟子さん・・・あぁもう面倒くさい、A子さん、B子さん、C子さんと呼ばせてもらおう・・・。


彼女達は、とても仲良しだ―――そんな事あるのか?
恭介さんを巡る争いにはならなかったのか?


彼女達は同時期に妊娠、出産・・・恭介さんはその誰とも結婚はせずに子供達は認知・・・。
皆 納得ずくのハーレムってヤツ?
そんな男が現代の日本にいるとは・・・
何か、ちょっと、憧れる・・・かも。


恭介さん、A子さん、B子さん、C子さん。
俺の母さんはそんな4人とどう関わっていたんだろう?
・・・ま、まさか・・・


「まさか、俺の父親も、その・・・」


俺は、父親の事を何一つ知らない。
どこの誰なのか、生きているのかすら。


「あ、ソレはないわ。
サラは何年か行方不明になった後、フラリとあなたを連れて戻って来たのよ。
私達死ぬほど心配してたのに、あっけらかんと、ね。」


「行方不明中に俺を産んだって事・・・ですか・・・」


「一応、念の為 遺伝子検査したから間違いない。恭介はあなたの父親じゃないわ。」


・・・やっぱ疑ったんだね。
恭介さんは相当の女好きなんだね・・・。


「私達5・・4人はね、本当はもっといたんだけど、中心は4人ね。――は、サラの親衛隊だったのよ。」


「!!」


ばーちゃんが言ってた通りだ・・・
ゴクリ。
拉致監禁・・・いや、母さんは彼女達とずっと仲良くしてたから、彼女達が犯人のはずない・・・それでも・・・何か嫌な気持ちになる。


「・・・ソレ・・・何なんですか? 親衛隊って・・・」


俺の変化に気付かない様に、A子さんが答える。


「ええと・・・う~~ん、説明、難しいなぁ・・・。
当然、友達よ?
だけど同時に憧れてもいて、それに・・・知ってるよね、サラの・・・持病っていうか・・障害っていうか・・・?・・・はっ」


「‥君、・・れん君!?・・あれん君!!」


「・・えっ?」
・・・あ、そうだった、A子さんと話してるんだった・・・


「だ・・・大丈夫!?」
小さいが鬼気迫る声で尋ねながらA子さんが俺を覗き込む。


「あ、すいません。
母さんのその・・・の事・・・考え込んでしまって・・・」


俺は考えに集中しすぎて、A子さんの呼びかけを何度かスルーしてしまったらしい。


「あ・・・よかった・・
サラの“”の時と似てたから・・・よかった、違うのね、よかった・・・」


A子さんは、目にうっすら涙を浮かべてそう言ってくれる。


俺は、フイに、わかった。


「おばさん、だから、ですね?」


多分そうだ。
ばーちゃんも、陸城・深海・真空も、こんな探るような目をよくする・・・
そうか、当事者の俺だけが気にしてなかったのか。


「俺にも母さんと同じが出るかも・・・
だから陸城・深海・真空を常に俺の側に置いて、見守らせていたんですね・・・」


そうだ・・・だからいつ見ても目が合うんだ。
俺に変なが出てないか、常に目を光らせてくれてたのか・・・



母さんのは、泉一族の・・・だから。
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