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5 皇帝は求婚を無かったことにされる

105 イチモツを守れ!

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「駄目ッ‥あぁッ‥」


今正に己のイチモツへ短刀を振り下ろす皇帝――ソルと皇帝の距離5~6メートル!

駆け寄っていては間に合わない!

なので!


〈カッ〉‥サッ!

「‥ッ‥!」


ソルは瞬間移動し、皇帝のイチモツの上に両手をかざしガードした!

すんでのところで皇帝は短刀を止める。

ソルの手を傷つけるわけにはいかない皇帝はギリギリの所で何とか短刀を止めたのだ。


「危ないではないか!‥君の手を刺してしまうところだったぞ!‥何と馬鹿なことを‥」
「馬鹿はあなた様ですわッ!‥一体何をなさろうというのです!?」
「見ての通り、イチモツを切り落とすのだ!
すぐに済む…その手をどけてくれ!」
「すぐに済むようには思えませんわ!‥その短刀では切り落とすのに手こずるのではなくて?」
「‥いや、俺もこの状態で切り落とすことになるとは」
「‥ヒッ!?‥つッつつ突き上げないでくださいましッ!」
「あッすまない‥君が近くにいるだけで…近くに居なくても想うだけで俺はこうなってしまうのだ…」
「じ、自在なのですね‥」
「違う!
制御不能なんだ!
‥だ、だがもう切り落とすのだから恐れないでほしい」
「まぁ…制御不能…不便なのですね…
でもいけませんわ!
不便だからといって大切な御身を傷つけてはなりませ‥ハッ!」


『金髪金銀の者の肉を食べたり、金髪金眼の者と交われば古代人が持っていた魔法の力を手に出来る』

――そんな言い伝えを信じる輩から身を守る為に知っておかなければならないだろうと幼い頃に受けた『閨教育』――男女の『営み』をウサギさんとクマさんのぬいぐるみを使って説明された。

ソルは遠い昔、幼児の頃に受けた『閨教育』のあの部分を思い出す。


(‥確か、ベッドに入ったクマさんの股間が大きいものに取り換えられた…
『ベッドの中で起こる現象』だと講師は説明した…今、陛下の股間に起きている現象はあのクマさんの現象の事なの!?)

「ッどういう事ですの?‥この現象はベッドで起こる現象のはず…
ベッド以外でこうなってしまうなんて…つまり陛下は御病気なのですね!?
だから切り落とそうと‥」

「姉上違います!
カード皇帝陛下の下半身は病気とは真逆――元気溌剌です!
その現象はベッド限定の現象ではなく時と場所を選ばず起こってしまうもので‥」

「まぁ…イグニスもそうなの?」

「えぇッ!?‥ええぇ
ま…まぁ、まぁま…」


姉の性的無知ぶりに思わず口を出さずにいられなかったジョーカー王イグニス。

だが、思いがけず質問が自分に向かって口ごもる。


「そう…大変なのね…
人知れずそんな不便な思いをしていたのね…
イグニスはどんな時に起こってしまうの?」

「エッ‥そ、それはッ
いくら姉上でも答えづらいといいますか、姉上だからこそ答えづら‥」

「答えづらくても答えて頂戴。
だってこんな事、他の誰に聞けばいいの?
可愛い弟のイグニスだから聞けることよ?」

「姉上…可愛‥は、はいッ!(キラキラ)
姉上の為なら、羞恥心と気まずさを乗り越えて答えてみせます!」

「ごほんッ!
そうやってイチャイチャするから俺は心にもない事を言ってしまうのだ!
『いい年した姉弟』などと思ってもいないことを…」


やはり近すぎる様に感じる姉弟関係に苛立ち、吐き捨てる様に思いを吐露する皇帝。


「イチャイチャって…弟ですのよ?」

「弟だろうが何だろうが俺は妬いてしまうのだ…情けないがな…」


そう言って俯きさらに横を向く皇帝。

半ば伏せられた目。

瞳はさらにソルから逃げる。

初めて会った瞬間から誰よりも強い人だと思ってきた皇帝が見せる弱々しい表情に、ソルの胸は締め付けられるようで――
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