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4 戦い
94 イグニス・ジョーカー
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死体置き場にはソル、皇帝、テネブラエ公、レケンス、皇帝の側近2名と近衛騎士3名、騎士団総長&精鋭騎士5名がいる。
そして拘束された殺し屋『マレフィクス』の9名。
突如入室して来た巨躯の男に皇帝の優秀なる側近達と騎士達がポカンとしてしまう中、皇帝、テネブラエ公、レケンスが同時にソルを守ろうとソルの前に立ち並ぶ。
だが、ソルは3人の横からひょこっと顔を出して謎の男と視線を合わせる。
刹那、謎の男の両目からブワリと涙が溢れ出す。
男が誰か分かったレケンスが必死の声を上げる。
「ッ、ジョーカー王!…イグニス陛下ッ…
応接室でお待ち下さいと申し上げたはずです!
他国の…しかも『死体置き場』に勝手に入るなど‥」
あれが、新ジョーカー王国初代国王イグニス陛下!…
何故ここに…?
どうやってここに…?
スゲー泣いてるけど…
驚きのあまり声も出せない皇帝の臣下達。
沈黙を破ったのはさながら軍神の様な容姿の涙塗れのイケオジのドスの効いた声。
「あぁッ‥姉上ッ!」
「‥イグニス‥」
「あ~ね~う~え~」
「イグニスなのね…
まぁ、大きくなって…
別れた時はわたくしの半分ほどの背丈だったのに」
お‥大きくなり過ぎ…
部屋中の者の思いが一致する。
「ッ‥ソル姫‥不用意に近付いては‥」
皇帝たちの横を通ってイグニスに向かうソルに皇帝が焦り注意するが。
ソルは足を止めず金髪をフワフワと揺らしながら進みイグニスの傍に立ち、皇帝を振り返る。
「ルーナエ陛下、大丈夫ですわ。
この子はわたくしの一つ下の弟、イグニス・ジョーカーです。
イグニス、ダメでしょう?――あなたは1年前から新ジョーカー王国の王になったんでしょう?――1国の王が他国を訪れるのにこんな乱暴で礼を欠いた‥アッ」
「あねうえッ!」
イグニス・ジョーカー、37才。
新ジョーカー王国国王。
妃との間に5人の子を持つパパ。
寡黙な武闘派。
その一睨みで百獣の王すら恐怖で気絶する――
――と噂される大国の王は今、両膝をつき、溢れる涙はとめどなく、30年ぶりに会った姉に抱き着き、ドスの効いた低い声で…
「あねうえッ、よくぞご無事で!…この30年、あねうえを想わない日はありませんでしたッ‥あねうえは絶対どこかで生きていると信じてッ‥そうしたら外国の騎士が姉上の腕輪を持って現れて‥私は姉上の生存を確信して…腕輪の主はカード帝国の宮殿を訪問中だと聞いて駆けつけたのです!」
幼児の様に大泣きしながら説明する弟(37才)の頭を優しく撫でながら、姉ソル(もうすぐ38才)も嬉しさで震える。
「ええ、その騎士はレケンス…わたくし‥いえ皇帝陛下の騎士よ…そこにいるわ。
イグニスもよく無事で――驚いたわ、小さくて泣き虫だったイグニスがお父様そっくりに成長して…ふふ、今も泣き虫ね」
「色はアクワ姫と同じだな…折角美しい髪なのだから母上のように伸ばせばいいのに」
良いおじさん風に話しかけて来たのはテネブラエ公である。
イグニスの髪や瞳を懐かしそうに見つめる穏やかな様子はまさに久々に会った親戚の優しいおじさんだ。
「ああ…そうね、イグニスはお母様と同じ色ね…
(やっぱり色に拘るのね…癖なのね…)」
「そろそろ…」
ゴゴゴゴゴ…
地を這うような声と異音と冷気の発生源はもちろん…
そして拘束された殺し屋『マレフィクス』の9名。
突如入室して来た巨躯の男に皇帝の優秀なる側近達と騎士達がポカンとしてしまう中、皇帝、テネブラエ公、レケンスが同時にソルを守ろうとソルの前に立ち並ぶ。
だが、ソルは3人の横からひょこっと顔を出して謎の男と視線を合わせる。
刹那、謎の男の両目からブワリと涙が溢れ出す。
男が誰か分かったレケンスが必死の声を上げる。
「ッ、ジョーカー王!…イグニス陛下ッ…
応接室でお待ち下さいと申し上げたはずです!
他国の…しかも『死体置き場』に勝手に入るなど‥」
あれが、新ジョーカー王国初代国王イグニス陛下!…
何故ここに…?
どうやってここに…?
スゲー泣いてるけど…
驚きのあまり声も出せない皇帝の臣下達。
沈黙を破ったのはさながら軍神の様な容姿の涙塗れのイケオジのドスの効いた声。
「あぁッ‥姉上ッ!」
「‥イグニス‥」
「あ~ね~う~え~」
「イグニスなのね…
まぁ、大きくなって…
別れた時はわたくしの半分ほどの背丈だったのに」
お‥大きくなり過ぎ…
部屋中の者の思いが一致する。
「ッ‥ソル姫‥不用意に近付いては‥」
皇帝たちの横を通ってイグニスに向かうソルに皇帝が焦り注意するが。
ソルは足を止めず金髪をフワフワと揺らしながら進みイグニスの傍に立ち、皇帝を振り返る。
「ルーナエ陛下、大丈夫ですわ。
この子はわたくしの一つ下の弟、イグニス・ジョーカーです。
イグニス、ダメでしょう?――あなたは1年前から新ジョーカー王国の王になったんでしょう?――1国の王が他国を訪れるのにこんな乱暴で礼を欠いた‥アッ」
「あねうえッ!」
イグニス・ジョーカー、37才。
新ジョーカー王国国王。
妃との間に5人の子を持つパパ。
寡黙な武闘派。
その一睨みで百獣の王すら恐怖で気絶する――
――と噂される大国の王は今、両膝をつき、溢れる涙はとめどなく、30年ぶりに会った姉に抱き着き、ドスの効いた低い声で…
「あねうえッ、よくぞご無事で!…この30年、あねうえを想わない日はありませんでしたッ‥あねうえは絶対どこかで生きていると信じてッ‥そうしたら外国の騎士が姉上の腕輪を持って現れて‥私は姉上の生存を確信して…腕輪の主はカード帝国の宮殿を訪問中だと聞いて駆けつけたのです!」
幼児の様に大泣きしながら説明する弟(37才)の頭を優しく撫でながら、姉ソル(もうすぐ38才)も嬉しさで震える。
「ええ、その騎士はレケンス…わたくし‥いえ皇帝陛下の騎士よ…そこにいるわ。
イグニスもよく無事で――驚いたわ、小さくて泣き虫だったイグニスがお父様そっくりに成長して…ふふ、今も泣き虫ね」
「色はアクワ姫と同じだな…折角美しい髪なのだから母上のように伸ばせばいいのに」
良いおじさん風に話しかけて来たのはテネブラエ公である。
イグニスの髪や瞳を懐かしそうに見つめる穏やかな様子はまさに久々に会った親戚の優しいおじさんだ。
「ああ…そうね、イグニスはお母様と同じ色ね…
(やっぱり色に拘るのね…癖なのね…)」
「そろそろ…」
ゴゴゴゴゴ…
地を這うような声と異音と冷気の発生源はもちろん…
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