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1 「運命を… 動かしてみようか」
15 姉弟の『幸せ』
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ザッ!
「アステリスカス様…」
姉アザレアの家で姉と共にソワソワと来訪を待ち、やっとやって来たアステリスカスにレケンスは跪く。
アステリスカスは困った様に注意する。
「駄目よ、あなたはカード帝国の近衛騎士。跪くべき主はカード皇帝陛下なの」
「9才の時アステリスカス様に騎士の誓いを立てました。
あの時から私はアステリスカス様の騎士です。誓約書は書きましたが、皇帝陛下に誓いは立てていません…近衛騎士になったのはただ身分獲得の為です」
穏やかな微笑をたたえ爽やかに不敬なことを言うレケンス。
カード帝国の属国であるラミー王国のヘリオトープ伯爵家に生まれたアザレアとレケンスだが、生家とは縁を切って平民となっている。
平民には何の権限も無いが近衛騎士になれば『伯爵扱い』となる。
そうすれば『人を保護する、引き取る』ことが許されるのだ。
半年前にレケンスはアステリスカスの不安定な未来を知った。
38才を迎えたら修道院を出てよく分からない男と結婚する――
と言われているのだが、アステリスカスに結婚の意志は無いし結婚予定の男に嘘をついてしまっているのできっと罰せられるだろうし、 どうなるか分からないけどその時の事はその時考える――なんて呑気な話を聞いてしまえば、レケンスは必死になって『身寄りのない成人女性を引き取れる身分』を手に入れた訳で。
「身分獲得の為‥まぁ、レケンス、あなたまさか‥!」
「はい、これでいつでもアス‥」
「そう、何だ、心配する事無かったのね!
レケンスったら結婚するのね!?」
「え!?」
「身分獲得の必要があるなんて、お相手は貴族令嬢かしら?
何にしろおめで‥」
「違います!まさか!
私はアステリスカス様の騎士でそれ以外にはなりません!
この身は生涯アステリスカス様に捧げております故、結婚などあり得ませんから!」
生涯1騎士。
主はアステリスカス限定――
9才の時から変わらずそう言い続けて来たレケンスは爽やかにブレない。
「困ったわ…わたくしはレケンスに幸せになってほしいのに」
「私の唯一の幸せはアステリスカス様の騎士として在ることです」
この堂々巡りは10年以上ずーーーっと続けられている。
アステリスカスと出会う前から騎士になるべく勉強していたというレケンスだから、騎士になりたいというのは間違いなく彼の夢だろう。
だが、主がアステリスカス限定というのは…とアステリスカスは困惑する。
「ちょっと、レケンスったらいつまでアス様を玄関に立たせておくつもりなの?
さ、アス様奥へ。お茶の準備が出来ておりますわ」
アステリスカスの前では侍女モードになるアザレアが膠着状態を解消する。
ちなみに侍女モードがアザレアの基本スタイル。酒場で働いているのは、パトロールで立ち寄るアステリスカス目当てなのだ。
「失礼致しました」
そう言ってすっと立ち上がり手を差し出すレケンスだが、アステリスカスはクスクス笑いながら断る。
「わたくしは今『フードの男』なのだから、エスコートは必要ありませんよ?
その魅力的な手は可愛いご令嬢に差し出しなさい」
オヤツを貰い損ねたワンコのような顔をする爽やかイケメン。
パサリ‥
「「‥ッッ‥」」
アステリスカスはフード付きのマントを脱ぐ。
アステリスカスの金髪金眼は珍し過ぎる為、本来は絶対に隠さなければならない。
それは安全であるはずの修道院内でも、だ。
金髪金眼がバレてしまえば、修道院に聖女認定される危険性が高い。
そうなれば『御付の者』が侍る様になり今の様に夜に修道院を抜け出てパトロールなんて出来なくなってしまう。
アザレアとレケンスの姉弟には出会った時に姿を見せてしまったので今更隠す理由は無いし、この二人は決して口外しないと信用している。
「アス様…本当に毎回感動に打ち震えてしまいます…何てお美しいのでしょう…」
「――――――ありがとうね、二人もとても素敵よ」
「「今の間、お世辞だと思ってますね?」」
「まぁ!息ピッタリね!二人には魂レベルの強い結びつきがあるからこそね」
「「…………」」
当たらずといえども遠からず。
二人には共通の執着があるのだ。
「バカね…素直にプロポーズすればいいじゃない。…あなたは男なんだから、そう出来るんだから」
冷めてしまったお茶用のお湯を沸かし直す為に台所に下がったアザレアがお茶用のミルクを取りに来たレケンスに少し剣のある声で言う。
「姉上、誤解されては困ります。私は我が主をそんな眼で見ておりません」
「…ふぅん?だったら結婚して所帯でも持ったらどう?あなたの幸せをアス様は心から願っているのだから」
「私の幸せは騎士として主に仕える事だけ――姉上なら分るでしょう?」
「……………」
現在26才のアザレアは16才、19才、23才の時にスピード結婚からのスピード離婚を経験している。
3回ともほぼ一目惚れから恋が燃え上がり、『ずっと一緒にいたい』と永遠を誓い合い、周りが赤面するほどの熱々ぶりで幸せオーラを振り撒いて…
数ヶ月後に離婚に至った。
私、何であんなにこの人の事好きだと思ったんだった?
あんなにのぼせ上がった相手が不意に色あせる感覚。
3人ともイケメンで優しくて経済力もあり――だけど、『飽き足らなく』なる。
まるで祭の様な、それこそ嵐の様な激しく甘い日々に急に白ける自分がいる。
足りない、だって私は心を全て捧げている人がいる。
母であり、姉であり、妹であり、親友であり、教師であり、憧れであり、神である――アス様。
同性だから『恋人』にはなってもらえないけど…
嵐の様な恋愛期間が過ぎれば、心がこれほど求める人、その存在が膨らんで来て、もはやすっかり色を失った結婚生活は破綻する他ないのだ。
アザレアはこの経験からある結論に達している。
『恋』
それは体が心を支配するための罠。
子孫繁栄だけを望む体は手ごろな相手を見つけたら『欲しい』の信号を発信する。
ドキドキ、キュンキュン、赤面、胸が締め付けられる感じ――
体は体だけが欲しい。
相手の人間性はどうでもいい。
心はそうはいかない。
尊敬出来ない相手、常識が許せない相手、悪い相手と関係するなんてオゾマシイ。
そんなオゾマシイ相手でも強い子種があるなら体は全力で心を騙しあの手この手で懐柔する。
悪い相手だと分かっていても『理由なんかない、好きだからどうしようもない』と心に思わせる。
体が心の神になる。
悪魔かな?
だからアザレアはもう立ち直っている。
アステリスカスに依頼され『ブリッジ修道院に菓子を届けてほしい』と頼んだ旅人風のあの男。
いい男だったけど、もう顔も思い出せないわ。
「アザレア、ありがとうね!あの旅人風の人にちゃんと会えたわ」
「お役に立てて光栄です!」
嬉しい。
アステリスカスが喜んでくれることがアザレアの幸せなのだ。
「お陰で手紙を託すことが出来たのよ…ちゃんと届いたかどうかは確認できないのだけれど…」
「手紙ですか?‥誰に宛てたものか伺っても?」
飲んでいたお茶をテーブルに戻してレケンスが爽やかに質問する。
どうやら『爽やか』はレケンスの仮面の様である。
(私の、私だけの主が誰かに手紙だと?)
と、忠実なる騎士の心は穏やかなはずがないのだから。
「ええ。皇帝陛下よ」
「…えッ?」
「へいか??」
「カード皇帝陛下よ」
―――ちょ!
「アステリスカス様…」
姉アザレアの家で姉と共にソワソワと来訪を待ち、やっとやって来たアステリスカスにレケンスは跪く。
アステリスカスは困った様に注意する。
「駄目よ、あなたはカード帝国の近衛騎士。跪くべき主はカード皇帝陛下なの」
「9才の時アステリスカス様に騎士の誓いを立てました。
あの時から私はアステリスカス様の騎士です。誓約書は書きましたが、皇帝陛下に誓いは立てていません…近衛騎士になったのはただ身分獲得の為です」
穏やかな微笑をたたえ爽やかに不敬なことを言うレケンス。
カード帝国の属国であるラミー王国のヘリオトープ伯爵家に生まれたアザレアとレケンスだが、生家とは縁を切って平民となっている。
平民には何の権限も無いが近衛騎士になれば『伯爵扱い』となる。
そうすれば『人を保護する、引き取る』ことが許されるのだ。
半年前にレケンスはアステリスカスの不安定な未来を知った。
38才を迎えたら修道院を出てよく分からない男と結婚する――
と言われているのだが、アステリスカスに結婚の意志は無いし結婚予定の男に嘘をついてしまっているのできっと罰せられるだろうし、 どうなるか分からないけどその時の事はその時考える――なんて呑気な話を聞いてしまえば、レケンスは必死になって『身寄りのない成人女性を引き取れる身分』を手に入れた訳で。
「身分獲得の為‥まぁ、レケンス、あなたまさか‥!」
「はい、これでいつでもアス‥」
「そう、何だ、心配する事無かったのね!
レケンスったら結婚するのね!?」
「え!?」
「身分獲得の必要があるなんて、お相手は貴族令嬢かしら?
何にしろおめで‥」
「違います!まさか!
私はアステリスカス様の騎士でそれ以外にはなりません!
この身は生涯アステリスカス様に捧げております故、結婚などあり得ませんから!」
生涯1騎士。
主はアステリスカス限定――
9才の時から変わらずそう言い続けて来たレケンスは爽やかにブレない。
「困ったわ…わたくしはレケンスに幸せになってほしいのに」
「私の唯一の幸せはアステリスカス様の騎士として在ることです」
この堂々巡りは10年以上ずーーーっと続けられている。
アステリスカスと出会う前から騎士になるべく勉強していたというレケンスだから、騎士になりたいというのは間違いなく彼の夢だろう。
だが、主がアステリスカス限定というのは…とアステリスカスは困惑する。
「ちょっと、レケンスったらいつまでアス様を玄関に立たせておくつもりなの?
さ、アス様奥へ。お茶の準備が出来ておりますわ」
アステリスカスの前では侍女モードになるアザレアが膠着状態を解消する。
ちなみに侍女モードがアザレアの基本スタイル。酒場で働いているのは、パトロールで立ち寄るアステリスカス目当てなのだ。
「失礼致しました」
そう言ってすっと立ち上がり手を差し出すレケンスだが、アステリスカスはクスクス笑いながら断る。
「わたくしは今『フードの男』なのだから、エスコートは必要ありませんよ?
その魅力的な手は可愛いご令嬢に差し出しなさい」
オヤツを貰い損ねたワンコのような顔をする爽やかイケメン。
パサリ‥
「「‥ッッ‥」」
アステリスカスはフード付きのマントを脱ぐ。
アステリスカスの金髪金眼は珍し過ぎる為、本来は絶対に隠さなければならない。
それは安全であるはずの修道院内でも、だ。
金髪金眼がバレてしまえば、修道院に聖女認定される危険性が高い。
そうなれば『御付の者』が侍る様になり今の様に夜に修道院を抜け出てパトロールなんて出来なくなってしまう。
アザレアとレケンスの姉弟には出会った時に姿を見せてしまったので今更隠す理由は無いし、この二人は決して口外しないと信用している。
「アス様…本当に毎回感動に打ち震えてしまいます…何てお美しいのでしょう…」
「――――――ありがとうね、二人もとても素敵よ」
「「今の間、お世辞だと思ってますね?」」
「まぁ!息ピッタリね!二人には魂レベルの強い結びつきがあるからこそね」
「「…………」」
当たらずといえども遠からず。
二人には共通の執着があるのだ。
「バカね…素直にプロポーズすればいいじゃない。…あなたは男なんだから、そう出来るんだから」
冷めてしまったお茶用のお湯を沸かし直す為に台所に下がったアザレアがお茶用のミルクを取りに来たレケンスに少し剣のある声で言う。
「姉上、誤解されては困ります。私は我が主をそんな眼で見ておりません」
「…ふぅん?だったら結婚して所帯でも持ったらどう?あなたの幸せをアス様は心から願っているのだから」
「私の幸せは騎士として主に仕える事だけ――姉上なら分るでしょう?」
「……………」
現在26才のアザレアは16才、19才、23才の時にスピード結婚からのスピード離婚を経験している。
3回ともほぼ一目惚れから恋が燃え上がり、『ずっと一緒にいたい』と永遠を誓い合い、周りが赤面するほどの熱々ぶりで幸せオーラを振り撒いて…
数ヶ月後に離婚に至った。
私、何であんなにこの人の事好きだと思ったんだった?
あんなにのぼせ上がった相手が不意に色あせる感覚。
3人ともイケメンで優しくて経済力もあり――だけど、『飽き足らなく』なる。
まるで祭の様な、それこそ嵐の様な激しく甘い日々に急に白ける自分がいる。
足りない、だって私は心を全て捧げている人がいる。
母であり、姉であり、妹であり、親友であり、教師であり、憧れであり、神である――アス様。
同性だから『恋人』にはなってもらえないけど…
嵐の様な恋愛期間が過ぎれば、心がこれほど求める人、その存在が膨らんで来て、もはやすっかり色を失った結婚生活は破綻する他ないのだ。
アザレアはこの経験からある結論に達している。
『恋』
それは体が心を支配するための罠。
子孫繁栄だけを望む体は手ごろな相手を見つけたら『欲しい』の信号を発信する。
ドキドキ、キュンキュン、赤面、胸が締め付けられる感じ――
体は体だけが欲しい。
相手の人間性はどうでもいい。
心はそうはいかない。
尊敬出来ない相手、常識が許せない相手、悪い相手と関係するなんてオゾマシイ。
そんなオゾマシイ相手でも強い子種があるなら体は全力で心を騙しあの手この手で懐柔する。
悪い相手だと分かっていても『理由なんかない、好きだからどうしようもない』と心に思わせる。
体が心の神になる。
悪魔かな?
だからアザレアはもう立ち直っている。
アステリスカスに依頼され『ブリッジ修道院に菓子を届けてほしい』と頼んだ旅人風のあの男。
いい男だったけど、もう顔も思い出せないわ。
「アザレア、ありがとうね!あの旅人風の人にちゃんと会えたわ」
「お役に立てて光栄です!」
嬉しい。
アステリスカスが喜んでくれることがアザレアの幸せなのだ。
「お陰で手紙を託すことが出来たのよ…ちゃんと届いたかどうかは確認できないのだけれど…」
「手紙ですか?‥誰に宛てたものか伺っても?」
飲んでいたお茶をテーブルに戻してレケンスが爽やかに質問する。
どうやら『爽やか』はレケンスの仮面の様である。
(私の、私だけの主が誰かに手紙だと?)
と、忠実なる騎士の心は穏やかなはずがないのだから。
「ええ。皇帝陛下よ」
「…えッ?」
「へいか??」
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