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第三章
3の05 先ずは、仕事を探さなきゃ
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ベビーピンクの額に青筋を何本も立てながらの交渉の末、シレーヌは朝8時から夕方6時迄、1日に10時間もの自由時間を勝ち取った。
さらに自由時間の間に、自由に仕事を探していいとも。
だが、シレーヌにとって、かなり不満のある自由時間だ。
何故なら制限が酷い。
まず、シレーヌは離宮 ”湖の貴婦人 ”から出て、同じ宮殿敷地内でも主宮殿に近い離宮 ”妖精の午睡 ”に移されるという。
ゴブリン姿のシレーヌが、女好きの国王陛下に見初められる心配は無くなったという判断からだそう。
これで第二王子も敷地内とは言えはるばる遠くの離宮に足を運ばなくてもシレーヌに会えるし、近くで見守れるので安心だという。
(『自由時間』なんて魅惑の言葉に騙されたわ!
宮殿敷地内限定の自由で、宮殿敷地外に出るのは危険だから禁止だなんて‥‥
市井で仕事を探すつもりだったのに‥‥
‥‥でも、丁度いいのかも。
確かにゴブリンは差別の対象だというし。
何も出来ないまま市井に出ても相手にしてもらえるとは思えない。
何より、ゴブリンになってから、物凄く不器用になってしまった。
宮殿敷地内はかなり広い。
故郷の島より大きいかも。
その中で色々な人が様々な仕事をしている。
ここで色々試させてもらって、自分にも出来そうな何かを探して、基本を身につけて、それから市井へ出て弟子入りさせて貰えばいい‥‥
その頃には第二王子も諦めて、美しい妃を娶っているでしょう‥‥)
早速、庭師を目指すべく庭園の草むしりをしながら、シレーヌはそう納得する。
何度納得しても不満がぶり返すので、その度同じ考えを反芻する。
今朝なったばかりだから断言は出来ないが‥‥
どうも自分はゴブリンになってから辛抱が無い様だ。
以前なら忖度して口に出さなかった不満も、気付けば口にしてしまった後だ。
第二王子がイヤラシイ目をしなくなったのも大きい。
以前は会話しようにも、舐めまわす様に見て来る第二王子が気持ち悪くて軽めの気絶を繰り返し言葉を返せず、まともな会話にならなかった。
ゴブリンになってからは欲情まみれの視線が無くなったので、普通に話せる。
普通‥‥と言うより、随分言いたい放題かも。
これが噂の『ゴブリン・モード』なのだろうか?
いや、そもそもゴブリンなんだから、モードも何も無いか‥‥ハッ!
『ここは誰も来ないから、好きなだけ草むしりしていい』
そう言われて草むしりをしている庭園――
神殿の庭園に、誰かの足音が聞こえて来る!
‥‥すぐ近くで‥‥立ち止まったみたい?
その後聞こえて来た絞り出すような声に、ゴブリン・シレーヌの心臓が跳ねる!
「私を人間に戻してほしい」
こッ、この声は―――
さらに自由時間の間に、自由に仕事を探していいとも。
だが、シレーヌにとって、かなり不満のある自由時間だ。
何故なら制限が酷い。
まず、シレーヌは離宮 ”湖の貴婦人 ”から出て、同じ宮殿敷地内でも主宮殿に近い離宮 ”妖精の午睡 ”に移されるという。
ゴブリン姿のシレーヌが、女好きの国王陛下に見初められる心配は無くなったという判断からだそう。
これで第二王子も敷地内とは言えはるばる遠くの離宮に足を運ばなくてもシレーヌに会えるし、近くで見守れるので安心だという。
(『自由時間』なんて魅惑の言葉に騙されたわ!
宮殿敷地内限定の自由で、宮殿敷地外に出るのは危険だから禁止だなんて‥‥
市井で仕事を探すつもりだったのに‥‥
‥‥でも、丁度いいのかも。
確かにゴブリンは差別の対象だというし。
何も出来ないまま市井に出ても相手にしてもらえるとは思えない。
何より、ゴブリンになってから、物凄く不器用になってしまった。
宮殿敷地内はかなり広い。
故郷の島より大きいかも。
その中で色々な人が様々な仕事をしている。
ここで色々試させてもらって、自分にも出来そうな何かを探して、基本を身につけて、それから市井へ出て弟子入りさせて貰えばいい‥‥
その頃には第二王子も諦めて、美しい妃を娶っているでしょう‥‥)
早速、庭師を目指すべく庭園の草むしりをしながら、シレーヌはそう納得する。
何度納得しても不満がぶり返すので、その度同じ考えを反芻する。
今朝なったばかりだから断言は出来ないが‥‥
どうも自分はゴブリンになってから辛抱が無い様だ。
以前なら忖度して口に出さなかった不満も、気付けば口にしてしまった後だ。
第二王子がイヤラシイ目をしなくなったのも大きい。
以前は会話しようにも、舐めまわす様に見て来る第二王子が気持ち悪くて軽めの気絶を繰り返し言葉を返せず、まともな会話にならなかった。
ゴブリンになってからは欲情まみれの視線が無くなったので、普通に話せる。
普通‥‥と言うより、随分言いたい放題かも。
これが噂の『ゴブリン・モード』なのだろうか?
いや、そもそもゴブリンなんだから、モードも何も無いか‥‥ハッ!
『ここは誰も来ないから、好きなだけ草むしりしていい』
そう言われて草むしりをしている庭園――
神殿の庭園に、誰かの足音が聞こえて来る!
‥‥すぐ近くで‥‥立ち止まったみたい?
その後聞こえて来た絞り出すような声に、ゴブリン・シレーヌの心臓が跳ねる!
「私を人間に戻してほしい」
こッ、この声は―――
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