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第二章

2の23 ファースト・ラブ 3

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例のアレ。

「名前の無い罪‥‥」

「えッ??」

「あ、いや、」



ゴブリンはキョトン顔が目に入らない様に注意深く目を逸らせてから続ける。



「こ、恐かったのだな、
その男の不愛想で冷たい物言いが。
ブルーフィンの者として、申し訳なく思う」

「いいえ、恐かったわけではないのです!」



少女は焦った様に否定する。

大切な想い出を誤解されたくない!

とばかりに、首をブンブン左右に振るので、その勢いに驚き、ゴブリンは無意識に少女に視線を戻す。

少女はシッカリと視線を合わせると、一生懸命説明する。

ゴブリンはもう視線を外せない。



「だって、その人のシーブルーの瞳は、」
《ジッ‥‥》

「‥‥ゥッ‥‥」



少女は潤んだローズレッドの瞳でゴブリンのシーブルーの瞳を見つめる。

あからさまな様でいて、その心は読めない。

ローズレッドの迷宮‥‥

ゴブリンは視線を外せない。



「‥‥その人のシーブルーの瞳は、恐い顔をしていても優しかったんです。
だから、何で体が震えたのか‥‥感動だったのか‥‥
その御方も私が怯えたと思った様で、
『す、すまなかった。
君が心配で、キツい言い方をしてしまった。
ただでさえ私は不愛想で、冷たい態度なのに』
って仰いましたから、私は‥‥あ」

「‥‥ん?」

「‥‥不思議です。
瞳だけではなくて、話し方もよく似ていらっしゃいます。
あなたと、あの御方と。
何故か懐かしく嬉しく思います」

「‥‥‥!
そ‥‥いや、
女性に不慣れな不器用な男は大体こんな話し方になってしまうというだけだ。
不器用なだけだ」

「いいえ、クールでカッコイイです!」

「‥‥ッッ」

「あの御方が謝るから、あの時の私もそう伝えました。
『いいえ、クールでカッコイイです。
心配して下さって、ありがとうございます』
と言って‥‥」

「‥‥笑った」



花が綻ぶように‥‥



「‥‥はい、嬉しくて笑った様な気がします。
嬉しくて、嬉しくて、
救護室まで抱きかかえられたまま運ばれている間も嬉しくて。
恥ずかしさと申し訳なさで居たたまれない気持ちになりながらも、嬉しくて。
‥‥あぁ、そういう事なのですね。
私はこの3年間、自分の心を誤解していました」
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